筋肉増強目的でインスリンを注射するなんて!

糖尿病ではないボディビルダーがインスリンを使用!?

先ほど、悲しいニュースを知りました。イギリスの35歳の男性が突然死なさったのは、筋肉を付けるためにインスリンを使用していたせいではないかと言われているそうです。

この男性はプロレスラーで、ボディビルもなさっていたそうですね。また昨年、散髪中に突然倒れて亡くなった人気ボディビルダーの別の男性は生前「自分は糖尿病ではないが筋肉をつけるためにインスリンを使用している」と公言なさっていたそうです。

死因は検死でもはっきりと断定することは出来なかったそうですけど、イギリスのボディビルダーたちが筋肉を付けるために糖尿病でもないのにインスリンを使用する例が多いのは事実だそうです。

 

 

ボディビルダーの薬物乱用について研究している医師によれば、インスリンは規制薬物ではないので入手しやすい上、検査されても証拠が残らないので手を出す者が後を絶たないのだとか…

よっしーは重度の2型糖尿病患者で、最初は1日4回インスリン注射をしていました。糖質制限を始めてからも約半年間は1日1回のインスリン注射が必要でした。

インスリン注射は強力に血糖値を下げてくれます。特にインスリン自己分泌のない1型糖尿病の方には絶対に欠かせないものです。

しかし…使い方を間違えれば死の危険がある劇物なのですね。今回はこのことについて考えてみようと思います。

 

インスリンは筋肉をつける効果があるの?

インスリンは血糖値を下げる唯一のホルモンですが、同時に同化作用もあり、筋肉を成長しやすくするのです。インスリンが成長を促すのは筋肉だけではなく、ガン細胞の成長をも促してしまいます…

だから肥満や糖尿病患者で見られる「高インスリン血症」がある種のガンのリスクを上げるので気を付けましょうと言われているのです。

決して「インスリンさえ打っておけば何でも好きなものを好きなだけ食べてOK」ではないということなんですよね、ただちに影響は無いと思いますけど…

 

 

 

 

インスリンの他にステロイドにも筋肉を成長させる働きがあるため、ボディビルダーの中にはインスリンやステロイドに手を出す人が少なくないんだとか。なんとステロイドは日本人でも簡単に手に入るそうですね(´・ω・`)

インスリンもステロイドも、強い副作用があり、生命の危険すらあります。これらを使用することによって「手っ取り早くゴリマッチョになれる」としても、死んでしまったら何の意味もないじゃないですか…

よっしーは若い頃、筋肉をつけてアメリカのフィットネスモデルみたいな体になりたいと思っていました。そのため、高強度の筋トレ後にプロテインと糖質を同時摂取してインスリンをあえて分泌させていました…しかし糖尿病になってしまいました。

まだ、糖尿病になったぐらいで済んで良かったのかもしれません。死んでしまうことを思えば…

 

 

 

大量にインスリンを分泌させなくても、正しいトレーニングとタンパク質摂取で筋肉を発達させることは不可能ではありません。糖質制限ダイエットを取り入れながら、すごい体を作り上げているボディビルダーの方たちもいらっしゃいます。

インスリンやステロイドを使えば、「早く」筋肉は増えるかもしれませんけど、そもそもそれは何のためなのでしょうか?健康のためではありませんよね、間違いなく。

野生のライオンやトラは糖質をほとんど食べませんが、健康に生きていくためには十分な筋肉が発達しています。肉しか食べなくても少量のインスリンは24時間少しづつ分泌されているのです。それで彼らはヒョロヒョロのモヤシ体型になることはありません。

わざわざ「薬物」を使用して不自然なまでにゴリマッチョにならなくても彼らは糖尿病にはなりませんし、ガンにもほとんどならないでしょう?

ヒトは他のどの動物よりも健康に気を使っていろいろやっているはずなのに、どの野生動物よりも病気にかかります。皮肉なものです…

 

低血糖は死に直結します!

高血糖はもちろん大いに問題です。血糖値が180を超えるぐらいになると血管内皮が障害されますし、高血糖が長く続けばいろいろな糖尿病合併症も出てきますよね。

しかし、ある意味高血糖以上に危険なのが低血糖です。低血糖はほとんどの場合、食事の糖質量に対してアピドラやノボラピッドなどのインスリンを多く打ちすぎた時に起こります。

下の図はメディマグ様のサイトからお借りしました。血糖値が低下すると軽いうちは空腹感やあくびが出る程度ですが、重い低血糖になると意識を失って昏睡状態に陥るのです。

 

 

以前にも書きましたが、糖尿病の年配の男性の方が車の中で低血糖を起こして亡くなっていたことがあるそうです。とても悲しいことです。

また亡くなるまではいかなくても、低血糖で倒れた時に顔を地面に強打したらしく、ふと気が付くと顔が血だらけになっていたという女性の話も聞いたことがあります。

低血糖は眼底出血のトリガーとなるそうですし、高齢者の方では重い低血糖が脳の神経細胞にダメージを与え認知機能が低下するんだそうです。低血糖はとても危険なことだと心得なければいけませんよね。

 

インスリン殺人事件をご存知ですか?

オーストラリアの病院で、4人の看護師が49人の老人患者にインスリンや睡眠薬を投与して殺害するという事件がありました。事件にかかわった4人の看護師は「無駄な治療を省くのが目的だった」と自供したそうですよ…恐ろしいですね。

また日本でも、インスリン注射による殺人事件や殺人未遂事件が起きています。言うまでもなくインスリンは劇薬であり、注射する量を間違えると大変なことになります。意図的な殺人ではなく、うっかりして注射量を間違えたことによる医療事故も起きていますよね…

糖尿病治療を開始した時、よっしーはランタスというインスリンを注射していました。1日の注射量は8単位だったので、1か月ごとの診察のたびに病院のすぐそばにある薬局で300単位入りのランタスを1本出してもらっていました。

 

 

 

 

そのうち病状が落ち着いてきて診察の間隔が空くようになると、1度に2本出してもらうようになりました…保険の関係で1度に2本以上出せなかった時期もあるらしいですが。

もし仮に当時のよっしーが妙な気を起こして、ランタス2本をいっぺんに注射してしまったとしたら、どうでしょう!?

…アピドラやノボラピッドなどと比べれば持効型インスリンのランタスによる低血糖のリスクは低いと思われるかもしれませんが、実際にランタスを300単位注射して緊急搬送された患者さんはいらっしゃいます。

インスリンは、本人か家族が糖尿病患者で病院から処方されていれば簡単に手に入ります。だから危険なのですね。その気になれば命を奪うこともできる劇薬、それがインスリンなのです。

 

まとめ:インスリンは適切に使用しなければいけません

筋肉増強目的で糖尿病ではないのにインスリンを注射するボディビルダーたちが存在するとは、とても恐ろしいことです。

きっとその方たちは注射量に見合っただけの糖質は摂取なさっているんでしょうけど、時に不幸な事故が起こるということですよね。

摂取する糖質量と血糖値が上がるタイミングや運動量などとインスリン注射の量をぴったり合わせるのは、とても難しいことです。

 

 

 

 

健康な方の場合、すい臓のベータ細胞は絶妙なタイミングと量でインスリンを分泌してくれますけど、外から人工的に打つインスリンはそういうわけにはいきません。

インスリンはヒトにとっては絶対に必要なホルモンですけど、その量が多くなりすぎるととても危険です。しかも注射のインスリンは、自分のすい臓のベータ細胞が分泌しているものと完全に同じわけではありません。インスリン製剤の中には、体内で働く時間を調整するために遺伝子の配列を変えてある物があります

どうか、インスリン注射は正しく使用してください。そしてインスリン注射には必ず副作用の危険も伴うのだということを忘れないでくださいね。

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