軽症糖尿病患者と重症糖尿病患者の食事療法に温度差がある理由

同じ2型糖尿病なのになぜこんなに個人差があるの?

同じ2型糖尿病患者でも「暴飲暴食をやめてバランスのいい腹8分目の食事にするだけでほとんど治ったも同然になっちゃった」という方から「きっちり糖質制限食をして、ようやく何とか…」という方まで。

この差はいったい何なのでしょう?やっぱり遺伝による体質や、糖尿病を発症してからの年月などによる違いでしょうか。

 

 

上の表を見てください。

Aさんはもともとインスリンの分泌能力が高くて、暴飲暴食して糖尿病になりました。でも、糖尿病になって多少インスリン分泌能力は失われたとはいえ、毎食ごはん1杯程度の糖質量(図の中の水色のライン)であれば血糖値は正常値をキープできます。

いっぽう、もともと糖尿病になりやすい体質のBさんは糖尿病発症前はごはん1杯程度であればなんとかギリギリ血糖値は正常値でしたが、発症後はその量は多すぎて高血糖になってしまいます。

Aさんは「僕は普通に食べても血糖値は上がらない。だから極端な糖質制限は必要ない」と言い、Bさんは「僕は糖質制限しないと無理だ」と思うわけです。ここに温度差が生まれます。

 

にゃご
「これぐらいなら大丈夫」という糖質摂取量に個人差があるっていうことだな?

よっしー
そう思うわ。よっしーはもともと他人よりその量が少なかった上、糖尿病になってますます許容量が減ってしまったんだと思うわ。

 

遺伝による体質の違い…

Aさんのようなタイプは欧米人に多いです。かなり暴飲暴食したとか、太りすぎたとか、よほどのことをしないと糖尿病にはならないタイプです。

家族に誰ひとりとして糖尿病患者がいないのに自分だけ不摂生して糖尿病になったという方です。この場合は食事の量を減らすだけで容易に改善することも多いそうです。

クロちゃんはこちらのタイプなのかな~なんて思ったりします。だからこそ、よっしーのように重症になる前になんとか頑張ってほしいです。

先日はテレビでクロちゃんの糖尿病教育入院の様子が放送されていましたが、ごはんは200gでした。結構…いや、かなり多いですよね?よっしーは150gのご飯でも無理です。

 

 

一方、Bさんのようなタイプはアジア人に多いです。日本では2型糖尿病と診断される時、医学的には肥満ではなく標準体重の範囲にある人が半分を占めています。

じつは昨日も、「2型糖尿病は太った人しかならないと思っていました」と言われたばかりです。世間ではそのように思われているのでしょうね。実際は痩せている方、スポーツをしていた方、いろいろいらっしゃいますよ。

なんとも不公平な気がしますが、インスリン分泌能力が低いのは遺伝による体質だと思われます。よっしーの知る限り、痩せているのに若いうちから糖尿病になった方はほぼみなさん親御さんのどちらかが糖尿病です。

体重が100kg近くありそうなのに血糖値はなんともないという方もいれば、ほっそりスリムなのにご本人も兄弟も糖尿病または予備軍という方もいます…

 

運動療法には「限界」があります

もちろん、自分の出来る範囲で運動して血糖を消費することも効果的ですが、運動で消費できる血糖にも限界があります。

元プロ野球選手の清原和博さんが若いころからあんなに本格的に筋トレをして鍛えていたのに重度の糖尿病になってしまった(血糖値900まで行った!?)のは、それ以上に食べすぎていたせいでしょうね。

アントニオ猪木さんも現役時代からの糖尿病で、血糖値600になったこともあるとか。体づくりのために普通の人の何倍も食べていたとおっしゃっていましたね。

 

 

運動は、しないよりはしたほうが良いに決まっています。よっしーも出来る範囲で運動しています。ただし運動するからといって何をどれだけ食べていいわけではありません。

また糖尿病患者の場合、すでに合併症があると行っていい運動の内容や強度に制限がかかります。このことを知らないでやたら運動すると危険な場合もあります。

重要なのは「今の自分に残っている、糖を処理する能力の範囲内で食べる」ことじゃないでしょうか? 運動を過信したり、自分よりもその能力が高い人と比較してマネをしてもダメなのですね。

 

軽度だと思って油断していると後で泣くことになるかも

もともと糖尿病になりやすい体質ではなく不摂生で糖尿病を発症した方は、さっさと食生活を改善してちょっと体を動かすだけで痩せて血糖値も改善するでしょう。

しかし、最初は「イージーモード」だったとしても、糖尿病というものをナメてかかって油断してしまうと、糖尿病を発症してから時間が経過するとともにどんどんインスリン分泌能力は低下していくかも。

よっしーの主治医は以前「他の患者さんたちはもっと血糖値が高いよ」とおっしゃったことがあります。たぶん、多くの患者さんは発症時はよっしーよりも軽症だったでしょうに…もったいないことです。

 

 

糖尿病治療にもいろいろありますけど、弱っているすい臓にムチ打ってインスリンを分泌させるような薬では最初は血糖値は上がらないかもしれませんが、年月とともにインスリン分泌能力はだんだん悪化していきます。

現在の血糖値だけ見ても、あなたのすい臓にはどれぐらいのキャパシティがあるかは分かりません。もしかしたら、相当無理をしているかもしれないんです。

だから、これ以上すい臓に無理をさせないような食事をすることにより、これ以上インスリン分泌能力を低下させないように現状でキープすることが大事ではないでしょうか?まぁ誰でも加齢と共に多少はインスリン分泌能力は衰えていくそうですけど、出来るだけ。

インスリン分泌能力にはもともと個人差がある上、糖尿病発症後にどう対処するかによって「どの程度糖質を食べても大丈夫か」は異なります。誰かがご飯1杯食べて大丈夫だからといって、他の糖尿病患者がみんな同じというわけではないんです。

 

糖尿病のためだけに糖質制限しているわけではないです

よっしーが糖質制限を始めたキッカケは、もちろん糖尿病と診断されて血糖値のコントロールが必要になったためです。もともとご飯が大好きだったので、しぶしぶ…やむを得ずという感じでした。

ごく軽症の糖尿病の方は「糖質制限しないといけないなんて気の毒だな、俺は軽度で良かった~」という感じでしょうか?

しかし現在は、血糖値を上げないためだけに糖質制限しているわけではありません。糖質制限は他にもいろいろな健康へのメリットがあることを身をもって体験したからです。

糖質の過剰摂取と関係があると言われている病気は、じつは糖尿病以外にもたくさんあるんですね。ある種のガンや認知症、動脈硬化、高脂血症、アレルギー疾患などなど。

 

 

猫はヒトに飼われるとヒトと同じように2型糖尿病になることがありますし、ヒトと同じような色々な病気にかかります。

ヒトが与えている食事に原因があるのではないかと考えるのは自然なことでしょう?ヒトは健康に気を使っているはずなのに、他のどの動物よりも病気になりますよね。

糖尿病患者だからと言って血糖値「だけ」見ていると「俺はこのぐらい食べても血糖値は大丈夫だから~♪」と言って油断して食べまくり、そのうち別の病気で…ということもあるでしょうね。気を付けなければ。

 

にゃご
糖尿病以外の病気で命を落とすなんてことになったら意味がないもんな。

よっしー
そうよ、血糖値を上げないことはもちろん大事だけど、それだけがすべてじゃないわね!

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