適度な運動は糖尿病にも効果的だけど…
みなさんは何か運動をしていますか?糖尿病の予防と改善のためには、運動不足は良くないことは間違いないと思います。
食後にウォーキングなどを行うと安定して血糖値の上昇を抑えることができますし、定期的に運動をすることでインスリンの効きが良くなりますし、筋肉量が減少すると血糖の消費量も減りますもんね。
そして食べてばかりで運動をしないと、太りやすくなります。特にロクに運動もしないのにランチに糖質ばっかりの食事をしたり、夜は寝るだけなのに糖質をたくさん食べて寝たりすると太ってインスリン抵抗性が増すばかりです。
よっしーは若い頃、週5日ジムに通って毎日2時間ぐらいハードな運動をしていました。具体的に言うと、高強度筋トレやランニング、ボディコンバットやボディアタックなどのスタジオプログラムです。
それで主食を玄米にしてしっかり食べても太らなかったので「よく食べてよく運動するのは大事だよね~」なんて言ってました。
でもこれってよく考えると、毎日2時間も運動してようやく体重をキープできていたとも言えるんですよね。運動は大事とはいえ、そこまで運動しないと体重をキープできないのは何か問題があると思いませんか?
糖尿病教室でベテランの糖尿病専門医が「自分は若い頃と比べて12~13kgも太った。ジムに通ってるけど3年半で4kgしか痩せてない。だから運動を過信してはいけません」とおっしゃってました。
まぁそうでしょうな。運動だけで何とかしようとしても素人レベルでは所詮ムリというものです。食事も同時に何とかしなければね。
運動はとても大事で、極端な運動不足はもちろん良くありませんが逆に「運動さえしていれば何もかも大丈夫」というわけでもありません。今回はそんなお話をさせていただきます。
有酸素運動と筋トレを使い分けましょう
食後の軽い有酸素運動は安定して食後血糖値を抑制します。強度の高い運動ではインスリン拮抗ホルモンが分泌されて逆に血糖値が上がることすらありますけど、ラクな運動であればそのような心配はほぼありません。
また定期的な有酸素運動はインスリンの効きを改善します。まだインスリン注射をしていたときジョギングを始めたら、別に体重が減ったわけでもないのに急に空腹時血糖値が下がってあわててあわてて注射量を減らしたことがありました。
この効果は2日に1度ぐらい運動することでずっと続くようです。週に1度程度の運動では、残念ながらあまり効果は期待できないかも…ゆるく続けることが大事です。
また筋肉が減少していると血糖の消費量も減りますし、内臓脂肪の割合に対して筋肉の割合が高いほどインスリンの感受性も良いとされていますので筋トレも良いと思います。
ただし糖尿病合併症がある場合は高強度の筋トレはとても危険なので、主治医に許可をもらってから無理のない筋トレを行ってください。
よっしーは昔は筋トレも有酸素運動も高強度で行っていましたが、現在は危ないので強度を落としています。それでも別に筋肉量が減ったりはしていないです。
見た目をゴリマッチョにするのと健康のために筋トレをするのは目的が違いますので、安全第一に無理をしないで行ってくださいね♪
糖尿病にならない野生動物はどの程度運動しているの?
野生動物は肥満や糖尿病にはほとんどならないと考えられています。しかし猫や犬もヒトに飼われると糖尿病になりやすくなります。人工的に作り出した品種の犬や猫で糖尿病になりやすい体質も存在します。
「野生では十分な食べ物が手に入りにくいので肥満になることがない、だから糖尿病にならないのは当たり前だ」と思われるかもしれませんが、ヒトは太っていなくても糖尿病になりますよね?
ほとんど糖尿病にならない野生動物たちは、獲物を捕まえるときや敵から襲われて逃げるときは全力疾走しますけど、必要ない時はむやみに体を動かしません。
動物園で見かける動物たちだけではなく、多くの野生動物は必要ない時はむしろ体を休めてムダなエネルギーを消耗しないようにしているそうです。
ちなみに、肉食動物よりも草食動物のほうが睡眠時間は短い傾向があるんだそうです。植物はエネルギーの効率が悪いので大量に食べなければならないので、牛や馬は長時間起きてずっと草を食べ続けているんでしょう。
また、草食動物は常に襲われる危険があるのでそうゆっくり寝てもいられないのでしょうね!なかなか大変なことだと思います。
野生動物たちは1日3食規則正しく食事をするわけでもなく、またジムで筋トレをするわけでもなく、必要に迫られたときだけ走ります。それでも肥満や糖尿病にはなりません。
彼らは「運動不足にならない程度」に体を動かしていることになるんじゃないでしょうか。運動不足は良くありませんが、野生動物と同じ程度に体を動かしていれば糖尿病予防としては本来十分のはずですね。
たくさん食べても運動すればチャラになる!?
野生動物は必要以上に食べないのでそれほど運動しなくても太らず糖尿病にもなりません。でもヒトは必要以上に糖質を好んで食べる者がほとんどです。
ではその分たくさん運動していれば、糖質をどんどん食べても大丈夫じゃないの?と思いますよね。ここに落とし穴があるのです。
確かに糖質をたくさん食べても、いっぱい運動していれば血糖値は上がりにくいと思います。筋肉が血糖を使ってくれますもんね。
でも、筋肉が血糖を消費するとしても、摂取した糖質の約半分は肝臓でいったん処理されます。肝臓はいろいろな仕事をしています。
大昔から行ってきた「糖新生」は多くの方がスムーズに行うことができます。人類の歴史は飢餓との戦いの連続でしたからね、ごく近年までは。
しかし大量の糖質やアルコールの処理などは本来ヒトが大昔から日常的に行ってきたことではないので、肝臓には相当な負担がかかっていると思われます。
糖質制限を始めたら肝機能の数値が改善したという方はたくさんいらっしゃいます。よっしーは糖尿病と診断される直前までジムで運動してましたが、腹部CTを受けて脂肪肝と診断されましたよ。もちろん現在は解消しています♪
血糖値だけに注目して「運動すれば血糖値が上がらないから好きなだけ糖質を食べても大丈夫」ではないかもしれないということです。肝臓にはそれなりに負担がかかっているかも…
運動量に見合っただけの栄養が摂取できていないとどうなる?
昔、通っていたジムに同年代の女性インストラクターさんがいました。彼女はほっそりしていてスタジオレッスンもとても上手でかっこいいなと思っていたんです。
でも彼女、どういうわけかしょっちゅう風邪を引いてレッスンを休んで他の人に代行してもらってました。
彼女はいつもランチは近くのパン屋で買ってくるかファーストフードだと話していましたっけ。たくさん運動するからカロリーは消費できても、栄養は足りなかったのではないかと思います。
運動量が多いと、たくさん汗もかきますし、それほど運動しない人と比べていろいろなビタミンやミネラルが多く消費されます。もちろん、タンパク質もたくさん必要になります。
かなり運動しているにもかかわらず、体重が減りすぎないようにカロリーばかり増やしてビタミンやミネラルの補給がおろそかになってしまうと…病気がちになるのも当然かもしれません。
また、体脂肪が少なすぎることも風邪を引きやすい原因の一つになると思います。女性の場合は妊娠出産ができにくいことも考えられます。
激しい運動を日常的に行っていると体内で活性酸素が大量に発生しますが、このことが病気の原因になります。
プロのアスリートだった方たちが意外に長生きしないことがあるのは、このせいかもしれませんよ。運動は適度にとどめておいたほうがいいのかもしれません。
生活に無理なく楽しく運動を取り入れましょう
健康のために適度に運動するのは大切です。めったに病気にならない野生動物のように、運動不足にならない程度に体を動かすことは大事ですよね。
「運動さえしていれば何をどれだけ食べても平気だ」というのも「食事さえきちんと管理していれば運動は全くしなくても良い」というのもどちらも極端すぎる気がします。
やはり食事と運動は健康に欠かせない車輪の両輪だと思います、どちらか一方だけではうまくいきません。
そして運動療法は、まず絶対に安全に行わなければいけません。安全で無理なく継続できて、しかもちゃんと効果が期待できる…それが理想です。みなさんも楽しみながら無理なく続けられる運動を探してみてくださいね♪