気をつけていたのに結局妊娠糖尿病になってしまった私
糖尿病の治療にもいろいろありますけど、食事療法と並んで重要なのが運動療法です。食事と運動だけで糖尿病をコントロールできている方も多いです。
よっしーが小学生の時に父が2型糖尿病と診断されました。子供ながらに恐怖心を覚え、太らないように気を付けてなるべく体を動かさなければいけないと思いました。
スポーツはあまり得意ではなかったので中学高校で部活は文科系でしたが、大学の友達と一緒に週5日ジムに通うようになりました。卒業後はジムでスタッフとして働きました。
本格的な筋トレを始めると、食事にもこだわるようになりますね。アメリカの筋トレ雑誌などを愛読し、主食は玄米にして砂糖は使わず低GI食材を取り入れました。
20代半ばで結婚して長男を授かったことが分かるとスタジオレッスンはやめましたが、仕事自体はパートでそのまま妊娠7か月の終わりまで継続しました。
仕事は立ち仕事で、妊婦だから重いものを運んだりは免除されていましたけどけっこうハードだったと思います。通勤も徒歩通勤でかなり歩いていました。
その前に1度、結婚してすぐに妊娠した時は稽留流産になったこともあり、とにかく赤ちゃんのために体に悪いことは極力やめようと思いました。
だからもちろんお菓子も食べないし、清涼飲料水も飲まないし、揚げ物などもまったく食べなかったんですよ。
出産直前までに体重は5kgしか増えませんでした。ほとんど赤ちゃんと羊水の分だけですよね。それなのに妊娠糖尿病になってしまいました。
当時のHbA1cは4.8で、現在使用されている基準に換算しても5.2ぐらいで正常値です。妊娠する前は糖尿病ではなかったはずです。
そんな私が他の妊婦さんと比較しても健康に気をつけていたにも関わらず妊娠糖尿病になってしまったのはいったいなぜなのでしょうか。
人間ってそんなに高い確率で妊娠糖尿病になるのか?大変だなぁ…
妊娠糖尿病になる女性はたくさんいるのよ。なぜかしら。
妊娠前は、ハードすぎる運動でギリギリ防いでいただけ?
妊娠した時点でHbA1cは正常値だったにもかかわらず空腹時血糖値が高くなり、経口ブドウ糖負荷試験でも引っかかりました。
これはおそらく、妊娠前はギリギリ糖尿病にならないラインをキープできていたのが、妊娠して胎盤から出るホルモンの影響でインスリン抵抗性が生じ、そのラインを超えてしまったということでしょう。
現在、日本では妊婦さんの8~10人にひとりが妊娠糖尿病になりますが、逆に言うと残りの妊婦さんたちはセーフなわけです。
妊娠前の20代ぐらいの若い女性ですでに2型糖尿病と診断されている女性はかなり少数だと思います(MODYは若くても痩せていても学生時代から発症することが多いです)。
「若くて糖尿病ではない若い女性」の中には、糖尿病発症からうんと遠い位置にいる人もいれば、あと少しで実は糖尿病になるかも…というギリギリの位置にいる人もいるのではありませんか?
上の図でAさんは妊娠しても妊娠糖尿病にはなりませんが、Bさん(昔のよっしーはこのタイプ)は妊娠すると妊娠糖尿病になってしまいます。
そしてCさんは妊娠していない時でも糖尿病で、妊娠中はさらにインスリン注射の量を増やす必要があります。
よっしーは最初Bさん状態だったのですが、その後のコントロールが悪くていつの間にかCさん状態になってしまったのでしょうね。。当時の食事はずっと玄米魚菜食でした。
妊娠前は、毎日何時間も運動して糖尿病の発症をギリギリのところで防いでいただけなのかもしれません。何しろ仕事でしたし勤務時間外も運動していましたからね💦
そして次男が1歳になった頃から実家に短時間預けてささっとジムに行って筋トレしていたんですけど、おそらく当時すでにCさん状態になっていたであろう私は知らない間にどんどん病気が悪化していったんです。
のどがやたらと乾くようになった頃、ベンチプレスに夢中でした。のどが渇くのはハードなトレーニングのせいだろうと自分に言い聞かせたりして。
でも、もう遅すぎたんです。結膜炎を3度も繰り返したり高熱で寝込んだりと、妙に免疫力が弱ってきたのを感じてジムにも行けなくなり、とうとう糖尿病性ケトアシドーシスで入院…
今と同じ運動をずっとこの先も継続することができますか?
生まれつきお酒が飲めない方がいるように、糖質の処理が苦手な体質というものは間違いなく存在します。2型糖尿病は体質が関わっていることが多いのです。
その体質は、複数の色々な遺伝子によって決定されています。残念ながら現代の医学ではその遺伝子を書き換えて体質そのものを変えることはできません。
もし糖尿病が完治するとしたら2型糖尿病ではなく1型糖尿病のほうが先だろうと言われているのは、そういうことなんですよね。
若い頃のよっしーの「筋肉をつければ血糖をたくさん消費してくれるから太らないし糖尿病にもならない」という考えはあまりにも甘かったですね。痩せている患者さんもいっぱいいますし。
運動は大事です。現代の日本ではデスクワークでずっと座りっぱなしの方も少なくないはず。野生動物やヒトのご先祖様と同じぐらいに歩いたり走ったりするのは良いことです。
でも、うーーんとハードに運動して「これだけ運動しているんだから何を食べてもチャラになるよね♪」という考えには、落とし穴があるんです。
運動をやりすぎると活性酸素もたまりますし、運動によって普通の人以上に消費されるビタミンやミネラルなどをきちんと補給できていない人もいるはず。
よっしーは若い頃すでに貧血の自覚症状がありました。あの状態で妊娠するとは、何も知らなかったとはいえ無謀なことをしたものです…
また「糖質を摂取したほうが筋肉が肥大しやすいだろう」と考えると、もともと糖質に弱い体質の方にとっては危険なんですよね…太るとか痩せるだけの問題だと思っている方がまだまだ多いのでは?
運動は良いことなので出来る範囲でやるといいのですが、運動を過信して糖質を食べまくるのは危険なことです。そして糖尿病患者さんは、合併症があり高強度の運動を禁じられていることも。
若くて健康な頃は問題が表面に出てくることはないかもしれませんが、妊娠・ケガ・高齢になるなど何らかの理由で現在と同じだけの運動が行えなくなることがあります。
運動にもいろいろな目的があるとはいえ、糖尿病予防・血糖値の改善・健康を目的として運動している方は「運動は健康のための手段のひとつである」ことを忘れないようにしましょうね。
そして、運動だけに頼らないことです。昔のよっしーのように、とりあえず問題が無いように見えてもじつは体はギリギリのところで耐えているのかもしれないのですから…
食後のウォーキングのような運動をバカにしないで継続するといいんだぞ。
運動は強度が高ければ高いほど良いと信じていたのは若くて健康だったころの話。今は安全第一よ!