十分痩せている2型糖尿病患者にカロリー制限?
よっしーの父は学生時代は運動部で活躍していましたが、よっしーと同じく30歳前後で2型糖尿病と診断されました。私は発見が遅れただけで、そのぐらいの年齢ですでに発症していたと思われます💦
診断された当初は少し太めの父でしたが(ぽっちゃり程度)、すぐにジムに入会して筋トレや水泳を頑張って痩せても、血糖コントロールは今一つでした。
すでにかなり痩せていて痩せすぎじゃないかと母が心配しているのにHbA1cが「優」になることはなく、医師から「もっとカロリー制限をきちんと守れ」と言われて途方に暮れていた父。
味気ない3度の食事では満足できるわけがなく、何か食べたいと言って台所をウロウロしては母から叱られていた父の姿を覚えていますよ💦
よっしーがまだ糖尿病と診断される何年も前、江部康二医師の「主食を抜けば糖尿病は良くなる! 実践編」という本を書店でたまたま見つけて父にプレゼントしました。
父は「チーズやナッツを食べていいのか」ととても喜び、間食をするようになり体重は3kgほど増えてちょうどいい体型になり、HbA1cはそれまでより改善して主治医を驚かせました。
よく考えてみたら、太り過ぎで大食いの2型糖尿病患者ならともかく、もともとそうではない患者にカロリー制限をやらせても血糖値が劇的改善するわけがないですよね?
よっしーも糖尿病で入院した時、病院食がそれまで自分が食べていた食事とあまり変わらないのを見て「これで良くなるとは思えないな…」と不安になりましたもの。
それは辛かったでしょうね。
野菜やコンニャクで胃袋を満たしても、心までは満たされないこの気持ちを分かってもらえるかしら💦
2型糖尿病患者と健常者のエネルギー消費量は同じ
「なぜ肥満ではない2型糖尿病患者にもカロリー制限をさせるのだろう?」とずっと疑問に思っていましたが、山田悟先生の記事を見てようやく納得がいきました。
山田先生によれば、1963年の食品交換表第1回作成委員会において、糖尿病患者のエネルギー必要量は健常者より約10%低いとされたのです。
それが肥満ではない患者も含めて2型糖尿病患者にカロリー制限をさせる根拠になっていたようなのですが、じつはその数字はどこから出てきたのかはっきり分からないんだとか💦
そして国立健康・栄養研究所が日本人2型糖尿病患者のエネルギー消費量を検討したところ、健常者と全く同じであることが判明したそうです。
つまり2型糖尿病患者も健常者と消費エネルギーは同じなので、少なくとも肥満ではない2型糖尿病患者にカロリー制限をさせるのは無意味だと山田先生はおっしゃっています。
カロリーをいくら控えめにしようが脂質制限をしようが、糖質がたっぷりの食事を食べれば糖尿病患者の血糖値はかなり上がります。
もともと太り過ぎで発症した人は、痩せるだけで寛解するかもしれません。また普通の人の3倍ぐらい食べていた人は、食事量を1人前に減らすことでやはり劇的に血糖値は下がるでしょう。
問題は、そのような「イージーモード」の患者ばかりではないという事です。特に日本人を含むアジアの2型糖尿病患者には、極端な肥満や大食いの方はそう多くないのでは?
糖尿病患者たちが無駄に苦しむことのないように…
子供の頃から父を見ていたのでよく分かるのですが、カロリー制限つまり脂質制限はとても辛いものです。
とても辛い上、もし鉄の意志でやり通しても大食いや高度肥満ではない患者にはそれほど効果がないことが多いという💦
よっしーも自分が糖尿病と診断される前は「脂質を全く使用しないパンのレシピ本」を愛用していましたし、栄養計算サイトに登録していて100点満点を目指して頑張っているつもりでした。
でも「ああ…サンマ1尾まるごと食べるとカロリーが…でも玄米ごはんは減らしちゃいけないし」なんて思っていました。その結果が、今の私。
記事の最後、山田先生は次のような言葉で締めくくっておられます。全くその通りだと思ったのでその言葉を記事から引用させていただきます。
来年2019年は、3年ごとに『糖尿病診療ガイドライン』が改訂される年である。今度こそ、きちんと科学的にシステマチックレビューがなされ、不要な制限食が患者に強いられ、患者がひもじさに苦しみながら、あるいは骨や筋肉を削りながら、なんらメリットを得られないなどということがなくなるように願うばかりである。
山田先生は私たち糖尿病患者がなるべく苦痛を感じることなく血糖コントロール良好となることを願ってくださっています。
「カロリー制限で血糖値が下がらない?じゃあ薬を飲めばいいじゃない、インスリンを打てばいいじゃない」と簡単にはおっしゃらないのです。
「太り過ぎている患者が痩せる」「あまりにも大量に食べ過ぎている患者の食事量を減らす」という意味でカロリー制限に一定の意味はありますが、すべての2型糖尿病患者に必要とは限らないことを忘れないでください。
これから糖尿病患者の食事療法の選択肢が増えれば、患者さんたちも自分に合った方法を選べるようになりますね。
そうね、既得権益を守ろうとする方たちも多いのでいろいろあるでしょうけど、私たち自身の健康は自分で守らないとね!