直接血糖値を上げるのは糖質だけですが…
血糖値を直接上げる食物は、糖質が含まれたものだけです。脂質は一緒に食べた糖質の吸収をゆるやかにすることはありますが、食べた脂質が血糖に変わることはありません。
しかし、少々難しいのがタンパク質です。
タンパク質が直接血糖に変わるわけではないのですが、ある種のアミノ酸(リジン・ロイシン・アルギニン)はインスリンを分泌させます。
その際に低血糖にならないのは、同時にインスリン拮抗ホルモンのグルカゴンも分泌されて、効果が相殺されるからです。
このとき、1型糖尿病でインスリンの自己分泌がゼロ~かなり少ない方の場合はインスリンは分泌できずにグルカゴンだけが分泌されるので血糖値がかなり上がるそうです。
2型糖尿病でも、グルカゴンを多く分泌する体質の方はインスリン分泌能力が残っていてもタンパク質で血糖値が上昇するのではないかと江部康二先生が推測していらっしゃいます。
グルカゴンとはどのようなものでしょうか
グルカゴンの主な作用は、肝臓のブドウ糖産生を増加させ、血糖値を上昇させることです。
糖尿人では、インスリンの分泌不足だけではなく、グルカゴンの過剰分泌が起こっていることが多いそうです。
糖尿人が急に強度の高い運動を行うと、ストレスを感じてグルカゴン・カテコラミンが分泌されてかえって血糖値が上がることがあるそうです。
グルカゴンの過剰分泌を抑制する薬として、糖尿病薬のDPP-4阻害剤(グラクティブ、ジャヌビア等)がありますが、内科医の水野雅登先生は「DPP-4阻害薬で、HbA1cは低めなのに眼底出血する症例がある」とおっしゃっています。
どんな薬にも必ず副作用はありますので、安易に「じゃあ薬を飲めばいいんだね!」と言うわけにはいかないようですね。
糖尿病と診断された時は眼底検査で異常なしだったよっしーが、病院食を食べてインスリン強化療法を始め、その後1日1回のインスリン注射+DPP-4阻害薬のBOT療法に切り替えて糖尿病網膜症を発症したのも、もしかしたら…??
タンパク質を食べないわけにはいかないのです
アミノ酸(リジン・ロイシン・アルギニン)を完全に避けることはまず不可能です。これらは牛肉だけに含まれているのではなく、大豆や魚介類にもたっぷりと含まれています。
お米にも、もちろん含まれていますよ。
お米やパンを食べなくても健康体であればまったく支障はありませんが、タンパク質が血糖値を上げるからと言ってタンパク質食品を極端に制限することはできません。
それこそ筋肉が落ちてゲッソリするでしょうし、肌や髪もボロボロ、タンパク質不足から浮腫やさまざまな病気になるでしょうね。
たとえインスリンを分泌させるとしても、血糖値を上げる可能性があるとしても、やはり体に必要な量のタンパク質はしっかりと摂取しなければいけません。
1度にたくさん食べるとより血糖値が上がりやすくなるので、タンパク質で血糖値が上がる方は食事の回数を多くして、1度に食べる量を減らすのも良いと思います。
タンパク質でも血糖値が上がるのなら、なおさら、食べなくても大丈夫な糖質をたくさん食べている場合ではないのではないかと思います。まずは体に絶対に必要なタンパク質を優先的に摂らなくてはね。
筋肉を減らさないためにも、タンパク質は各自工夫してきちんと摂取するようにしましょう。