糖尿病内科の主治医が糖質制限をしてはいけないと言う…
このごろ、「糖質制限しようと思っているんだけど主治医から糖質制限はダメ、バランスよく主食も食べなさいと言われたのでどうしたらいいか分からなくなった」と言う方を立て続けに見かけました。
そうですよね~、お医者さんのおっしゃることだからきっと正しいに違いない…と不安になる気持ちはよく分かりますよ。
でもね、糖質制限を勧めている先生方もお医者さんなんですよ。「お医者さんのおっしゃることは正しい」と考えるのなら、ここで矛盾が生じますよね?
それも、江部康二先生や宗田哲男先生、アメリカのバーンスタイン先生などは医師でありながら糖尿病患者でもいらっしゃいます。
ご自身が糖尿病の当事者となられて、普通に患者さんたちに指導している方法では血糖値が良くならないということに気付かれたわけです。
仕事でやっている先生と、仕事+自分自身の切実な問題として取り組んでいらっしゃる先生。もちろん、仕事でも本当に親身になってくださる先生はたくさんいらっしゃいますけど…
※バーンスタイン先生は元はエンジニアで、自分で編み出した糖質制限とインスリンの少量頻回注射について「素人が何を言うか」と相手にされなかったのでそれじゃあと40代で医師になられました。
でも実際問題として、せっかく糖質制限してみようかなと思っているのに主治医や管理栄養士からダメ出しされたら困ってしまいますよね…
なぜあなたの主治医は糖質制限に反対するのでしょうか?
結論から書きますが、あなたの主治医が「糖質制限はいけません、ご飯を食べましょう」とおっしゃるのは現状ではある意味当たり前なんです。
2016年の調査では糖質制限に肯定的な医師は約6割というアンケート結果が出ております。日本の医師の過半数が糖質制限を良いと思っているのに、なぜ患者にはそう言えないのでしょう?
この記事を書いている時点で、糖尿病診療のガイドラインでは糖質制限を正式には認めておりません。いわゆるバランスの良いエネルギー制限食が勧められています。
もっとも医師だけの集まりではこっそり本音で「今の指導は昔の日本人の食事の平均があのぐらいだっただけで科学的根拠はない」「糖質制限をしてもらっても構わない」とおっしゃった先生もいらっしゃるようですがw
どんな職場でも、たとえマニュアルよりも良いと思う方法があったとしても勝手にマニュアルとは異なる方法で仕事をしたら上からこっぴどく叱られますよね!?そういうことです。
病院主催の糖尿病教室で20代の若い管理栄養士さんは糖尿病患者さんから「あのー、ご飯を食べると血糖値がすごく上がるんですけど、なぜわざわざご飯を食べないといけないのですか?」と質問されて答えにつまっていました。
そして彼がおっしゃったのは「確かに…ご飯を食べると血糖値は上がりますが…主治医が糖質制限をしてもいいと言ったら糖質制限して構いません…すみません、今はこんなことしか言えなくて」でした。
問題になりますので、特に勤務医や管理栄養士さんは好き勝手なことは言えるはずがありません。本音とは違うことを患者に指導しなければいけないこともあります、それは分かってあげたいですね。
「糖質制限にはエビデンスがないでしょ」と言われたら?
また「糖質制限は確かに短期的には血糖値が下がると思うけど、何十年も継続して大丈夫かどうかまだエビデンスが無いから慎重にならないといけないでしょ?」という先生方も多いです。
じつは、よっしーも3年前に主治医からそう言われたんですが「でも先生、先生が出してくださってる糖尿病薬のグラクティブもそれは同じではないでしょうか」と返すと「うん、確かにそれはそうだね…」とおっしゃいました。
糖尿病の飲み薬で50年も飲み続けてもたぶん大丈夫だと言えるのはメトホルミンぐらいじゃないでしょうか?それもけっこうな確率で胃腸の副作用が出る人はいらっしゃいますけどね。
そしてこれは非常に重要で残念なことですが「カロリー制限をしたらほとんどの糖尿病患者は血糖値が正常値まで下がるし絶対に糖尿病合併症にもならない」というエビデンスは無いんです。。。
従来の治療法であまり効果がなく合併症が進行してしまう人たちがいると分かっているのなら、たとえエビデンスがまだ少なくても自己責任でもっと可能性がありそうな方法を試してみたいと思う患者を、責めることはできないでしょう?
アメリカのバーンスタイン医師は12歳の時に1型糖尿病を発症され、低カロリー食とインスリン注射で血糖値は乱高下し、30代の頃には糖尿病合併症がいろいろ出てしまったそうです。
でもその後、試行錯誤を繰り返され、とうとう糖質制限(朝食の糖質6gまで、昼食と夕食は12gまで)や運動、インスリン少量頻回注射などでコントロールする方法を見出されたのです。
その結果、すでに出てしまっていた糖尿病合併症はすべて治り、80代の現在も医師として活躍なさっておられます。
糖質制限が「正式」に日本で認められる日は来るでしょうか
医学研究を行うためには、それなりの研究資金が必要になります。日本の場合、その資金の半分は国ですが残り半分は民間の大手企業などから出ています。
もし誰かが糖質制限が糖尿病に良いということを証明するために大規模な医学研究を行おうとしても、そのために資金を提供してくれる企業があるかどうか心配です…
よっしーがどこかの会社の社長だとしたら、自分たちの儲けにつながりそうな研究にならいくらでも資金を提供するけど、トクするどころか損をしそうな研究には絶対お金出さないw
いくらよっしーたち個人が糖質制限の効果を実感していても、研究で証明しなければ「そんなの個人の体験じゃん」で済まされちゃうんですよね。
そうかといって、研究のためにお金を出してくれる企業があるかどうか、あるいは国が糖質制限の良さを証明するために研究資金を出してくれるか…あなたはどう思いますか?
さまざまな事情から、日本でアメリカのように正式に糖質制限が治療法として認められるかどうかは分かりません。
でも、私たちは何十年も結論が出るのを待っているうちに糖尿病合併症で命を落とすかもしれないんです。そんなことはしていられないので、自ら「実験用マウス」にもなる気持ちでいます。
もしあなたが主治医から「糖質制限はダメです」と言われても「そうかお医者さんがダメっていうからダメなんだろうなぁ…」とすぐ諦めるのはもったいないことです。
自分自身が糖質制限を実践なさって、患者さんたちにも勧めて確かな効果を感じていらっしゃる医師は日本にもたくさんいらっしゃいます♪
どうしても反対されるなら、主治医から指示された通りの食事を食べて食後血糖値がどれだけ上がったか記録を主治医に見せてください。
そして「私はこれだけ食後血糖値が上がる、こんなに上がるのは不安だし薬やインスリンには副作用もあるのでできれば使いたくない、だから糖質制限をしたいのです」と相談してみてください。
ケンカ腰ではなく、きちんと伝えれば大部分の医師はあなたの気持ちを分かってくれると思いますよ。もちろん診察にはきちんと通って、何かあればすぐ主治医に相談すると言ってください。
よっしーの主治医は「よく分かっていそうにない人にはやらせたくない」とおっしゃっていました。きちんとできそうだという所を見せれば、主治医も安心するのではないでしょうか。
何を信じて実践していくかは、あなた次第です。患者は何の利害もしがらみもありませんから、純粋に自分の健康のことを考えてやりたい方法を選択していいのですよ。