日本人は穀物摂取に適応した民族!?
確かに「日本人は昔から米を中心とした生活をしているので、日本人の腸は穀物摂取に適応しているのです」とか「糖質制限は欧米人にはいいかもしれないけど日本人には…」などと言われますよね。
よっしーは100%日本人ですが、若い頃から玄米や魚、納豆、野菜、海藻などを中心に食べていて糖尿病になってしまいました。少なくとも、よっしーのすい臓は穀物摂取には適応することが出来ていなかったようですね…
今回は「本当に日本人の体は穀物摂取に適応できているのか」という疑問について考えていこうと思います。
糖尿病有病率はどうでしょう?
日本人が穀物中心の食生活に適応できているなら、2型糖尿病を発症するのは肥満者および欧米型の食生活をしている人だけに限られるはずです。
しかし実際にはよっしーや江部康二医師のように玄米食で運動もしていて糖尿病になる方もいらっしゃいますし、食べすぎでも肥満でもないのに妊娠糖尿病になる若い女性もかなり多いのです。
アメリカでは2015年のデータで全人口の9%が糖尿病です。中国は11.6%で、世界平均の8.3%を上回っています。イギリスでは7.3%だそうです。
日本では2016年のデータで「糖尿病が強く疑われる者(HbA1cが6.5%を超えている者)」はなんと12.1%(男性16.3%、女性9.3%)にも上ることがわかりました。
HbA1cが6.5を超えているということは、過去2か月ぐらいの血糖値の平均値が140以上あったという計算になります。残念ながら、糖尿病でない方がこんな数値を示すことはまずないでしょうね。
日本人は欧米諸国と比較して痩せている方が多く、高度肥満の方は少ないにも関わらずこんなに糖尿病発症率が高いのです。それも2型糖尿病の割合がかなり高いです。
ちなみに江戸時代中期の「一本堂行全医言」には糖尿病と思われる病気について次のように書かれているそうです。京都大学様のサイトより引用させていただきます。
胃が乾燥するためいくら飲んでも乾きが止まらず、いくら食べても飢餓がつづく、しかも摂取した飲食物は身体の栄養にならない、小便多く尿は白っぽく甘味がする
このほか、糖尿病だとできものができやすいこと・目の症状・EDなどについても記述されているそうです。当時すでに日本にも糖尿病患者はそれなりにいたのでしょうね、平均寿命が短かったので患者が今より少なかっただけで。
2型糖尿病は、発症してからかなりの年月が経過するまで自覚症状が分かりにくい病気ですしね…明治時代になると糖尿病は「蜜尿病」と呼ばれ、今でいう糖質制限食のような食事「厳重食」が治療として行われていたそうです。
お米中心の低脂肪食で糖尿病は改善するでしょうか?
「糖尿病になる人は高脂肪食を食べていたせいだ!」という方たちもいらっしゃいます。確かに、カツカレーやドーナツなどの高糖質かつ高脂肪な食事を大量に摂取することはよくありません。
大量の糖質と脂質を同時に摂取すると、エネルギーとして使われずに余ってしまった脂質が行きどころがなく、筋肉などに異所性脂肪として沈着し、糖尿病などを発症しやすくなります。
このようなものばかり大量に食べていた方がちょっと食生活を改めれば、血糖値も改善するでしょうね。場合によってはほぼ寛解と言える状態まで良くなるかもしれません。
しかし、それだけではほとんど良くならない方が多いのが現状です。もともと太っているわけでも暴飲暴食したわけでもない糖尿病患者は特にそうです。
よっしーは糖尿病と診断されて入院しているとき、病院食を野菜から順番にゆっくり噛んで食べても血糖値は爆上がりでした、インスリンも打ってたのに…
短期間ではヒトは「進化」はできません
食べるものによって腸内細菌のバランスは変化し、ある程度適応できるのだそうです。糖質制限を始めた時に一時的にお腹の調子が悪くなる方がいるのはそのためと思われます。
しかし、腸内細菌は短期間で「適応」できますが、残念ながらすい臓などの内臓そのものは穀物をたくさん食べても大丈夫なように「進化」するためには相当な時間が必要でしょうね。
ヒトがネズミのように穀物を中心に食べても平気な体に進化(?)する時がやってくるかもしれませんが、気が遠くなるような年月がかかるでしょう。ちなみに、日本人の腸が長いというのは都市伝説だったようですね。