日本人の9人にひとりが「血糖値スパイク」
以前放送されたNHKスペシャル「血糖値スパイクが危ない」をご覧になった方も多いのではないでしょうか?とても興味深い放送でした。
放送を観ていない、あるいは観たけど忘れてしまったという方のため、今回は血糖値スパイクについて簡単に説明していきたいと思います。
「血糖値スパイク」とは、空腹時の血糖値は正常値なのに食後だけ血糖値が急上昇することなんです。会社の健康診断などは普通は空腹時に行われるので、空腹時の血糖値だけを見て「正常です」と言われてしまうんですね。
なんと、この血糖値スパイクがある人は、日本人の9人にひとりなんですよ!!それも、ちっとも太っていない若い女性たちにもあるとか…
糖尿病が進行してくると、何も食べていない時でも血糖値が高くなります。 これは、肝臓が糖新生によってどんどん糖を放出するのを止めるだけのインスリンの働きがないからです。
よっしーが糖尿病と診断されて緊急入院した時、血糖値は前夜から何も食べていないにも関わらず475もありました。当時、よっしーの体内ではほとんどインスリンが作用していなかったのでしょうね。
血糖値スパイクの段階では空腹時血糖値は正常ですが、食後のみ血糖値が急上昇します。普通、健康診断は空腹時に行われるので、この状態だと見逃されてしまうでしょうね。
若い人にもあるのか…それは怖いな💦
2型糖尿病はある日突然起こるのではなく、ずっと前からすこーしずつ進行しているのよね。
血糖値スパイクはまだ糖尿病ではないの?
「血糖値スパイク」は空腹時血糖値が正常値の範囲内にあるのに糖質をたくさん食べた時だけ食後血糖値が跳ね上がる状態です。
これは血糖値を下げるホルモン・インスリンの働きが不十分であるか、インスリンの分泌量がやや不足気味になっているか、インスリンの分泌されるタイミングがズレていることが考えられます。
この段階では空腹時の血糖値を正常値に保つことはできても、食事の後の血糖値を正常に保つことは出来なくなり始めた段階…つまり「糖尿病の前段階から、糖尿病の初期段階」と考えることができるわけです。
この段階で発見して対策を始めることが出来れば、それ以上の進行はありません。完全に正常型に戻った方たちもいらっしゃいます。でも、ここで気が付くことはとても難しいのが現状です…
だって健康診断で空腹時血糖値は正常値ですし、過去2か月ぐらいの血糖値の平均を反映するHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)も「ちょっと高めだけど正常値の範囲内です」ということが多いもの。
空腹時血糖値とHbA1cの両方が正常値の範囲内なら何も言われませんが、じつはすでに糖尿病に片足を突っ込んでいるかも…何も言われないから気付かないだけで💦
血糖値スパイクが起こっているとどうなる?
血糖値スパイクが起こると、血管内皮にキズができます。そして動脈硬化が進行していくのです。いわゆる「糖尿病合併症」と言われる血管障害は、糖尿病予備軍の段階から少しづつ進行しているのだそうです!
健康診断でも「正常です」と言われ「私は大丈夫だから」と油断して甘い物やパンやおにぎりを食べまくっているうちに、あなたの血管は少しづつボロボロになっているかもしれないんですよ。
糖尿病と初めて診断されたときには、もうすでに合併症が出てしまっていたという方も決して珍しくないんです。「最近どうも目がかすむ」…と思って眼科に行ったところ、糖尿病が発覚した方もいます。
また、怖いのは動脈硬化や糖尿病だけではありません。血糖値スパイクが起こるような状態では、上がりすぎた血糖値を何とかして下げようと、すい臓のβ細胞は一生懸命インスリンを分泌します。
インスリンが大量に分泌されると、アルツハイマー型認知症や発がんのリスクが上昇することが分かってきました。インスリン分泌能力が高い人の場合は血糖値はさほど上がりませんが、インスリンが出すぎることは大きな健康上の問題となります。
インスリン分泌が多い人の脳では「アミロイドベータ」というゴミのようなものが大量に蓄積しています。このゴミが、脳の神経細胞を死に至らしめるのです。
またインスリンは細胞の増殖を促す働きがありますが、正常な細胞だけではなくがん細胞の増殖をも促すんですね。
どうしたら血糖値スパイクをなくせるか
血糖値スパイクを起こらなくするためには
・血糖値を上げる食べ物(糖質)を食べすぎない
・ゆっくりと吸収される食べ物を選ぶ
・食後に運動する
・太っている方は痩せる
・タバコをやめる
これが大切です。テレビや雑誌などで「〇〇を食前に食べると血糖値が上がりにくい」などとよく紹介していますが、ああいうものは誰にでも効果があるとは限りません。
本当に自分にも効果があるかどうかは、自己血糖測定を行わない限り確かめることは出来ないです。血糖値を測りもしないで過信するのはやめましょう。
運動することはとても大切なのですが、大量に食べた後でちょっとばかり運動しても消費しきれるとは限りません。あくまでも運動は補助で、食事で気を付けることを心がけてくださいね。
しかも、すでに糖尿病合併症が出てしまっている場合は、激しい運動をしてはいけないことになっています。運動により、合併症が悪化する危険性があるからです。
血糖値スパイクがあることに早く気づいて対策を始めることが大事なんだよね。
そうよ、うんと悪化してからではもう遅いということだってあるわ。なるべく早く対策を始めないといけないわね。