糖尿病では心臓病のリスクが高い
糖尿病の人は、狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患になるリスクが高いことがわかっています。なんと、そのリスクは健常者の3倍にもなります。
血糖値が高い状態が続くと、血管が傷つきやすくなって、動脈硬化が進行していくのです。しかもその変化は、まだ糖尿病予備軍と言われる段階から少しずつ始まっています。
(画像は国立循環器病研究センター様のサイトからお借りしました。)
心臓の筋肉は、冠動脈という太い血管から酸素や栄養を受けとっています。
血液の流れが悪くなると狭心症が起こり、血管が詰まって血液が流れなくなると心筋梗塞が起こります。そして、心筋の細胞が死んでしまうと、命に関わります。
普通、狭心症や心筋梗塞の発作が起きると胸に激しい痛みがあるのですが、糖尿病神経障害があると痛みを感じにくい(=無痛性心筋虚血)ことがあります。
そのため、心臓発作に自分で気づかないこともあります。こうなると治療が遅れてしまい、大変危険ですよね…
心拍数は自律神経によって調節されている
自律神経は内臓の活動、発汗による体温調節、血圧の維持など、人間が生きていくために必要なさまざまな機能を調節している神経です。 心拍数もまた、自律神経系により調節されています。
ヒトの安静時の心拍数は主に迷走神経により調節されています。糖尿病のコントロールが悪くて自律神経障害になると、心拍数を調節する働きが低下してしまいます。
糖尿病の自律神経障害により迷走神経が障害された場合には、迷走神経の心拍数を低下させる作用が弱くなるため、心拍数が高めになります。
よっしーは糖尿病と診断される前の年、ジムで運動開始前に心拍数が120もあったり、そのくせエアロバイクなどを漕いでもなかなか心拍数が上がっていかなかったりして、何か変だと感じていました…現在はこの状態は解消され、正常化しています。
また神経障害があると、危険な不整脈も出やすくなり、時にそれが突然死を招くことすらあります。普段は何ともないことがほとんどなので検査をしないと分かりません。
このように、糖尿病患者は心臓の健康に気をつけないといけないのです。血糖コントロールによってこのリスクを下げることは出来ますが、すでに血管に蓄積してしまったダメージはなかなかゼロには出来ないので、ずっと気を付けていかなければいけません。
運動は医師の許可を得てから慎重に
高血糖による動脈硬化は、まだ医師から「あなたは糖尿病です」と診断されるよりも前の段階、糖尿病予備軍の段階からゆっくりと進行していきます。
「お医者さんから体重を落とすようにと言われたことだし、軽くジョギングでもするか…」と張り切って運動など始めると、狭心症の発作で…ということもあるんですよ。
運動に誘発されて心臓発作が起こることもありますからね…運動によって不整脈を起こしやすい体質の方とそうでない方がいるそうです。そんなの、普段分からないですよね!
もともと高血圧の方や不整脈のある方、糖尿病で心臓が心配な方などは、高強度の筋トレやジョギング中に不幸にして亡くなることもあるんです。
タレントの松村邦洋さんは糖尿病ですが、彼が2009年の東京マラソンで走っている途中、急性の心筋梗塞を起こして倒れ、AEDで蘇生したことはショックでしたよね…
診断された後にどんなに良好な血糖コントロールを保ったとしても、それまでの間に動脈硬化が進行した分は、そう簡単には無くなることはありません。
過去に高血糖だった方が健康のためにと運動を始める前には、どうか1度きちんと心臓の検査を受けてください。そして、決して無理のないように行ってくださいね。
心臓の検査を受けましょう
対策としては、きっちり血糖コントロールを行うのがまず基本です。
よっしーも糖尿病と診断されるまでは安静時の心拍数が高く、当時は「うーん…何だか変だけど、運動不足かな?」と思っていたのですが…糖尿病神経障害だったのでしょうね。現在はすごく安定しています。
ただ、症状がかなり進行している場合は血糖コントロールだけでは改善が難しいので不整脈を防ぐ薬などを服用する必要がある場合もあるんです。
運動は糖尿病のコントロールには役立ちますが、すでに神経障害のある人が自己判断で高強度の運動を始めると心臓突然死のリスクがあります。
できればひととおり心臓の検査を受けて医師の許可を得てから運動を始めることを強くおすすめします。
普段何も自覚症状が無くても、心電図をとると異常が見つかることもあります。運動で強い負荷がかかった時や睡眠中に不整脈が起こりやすいタイプの方もいらっしゃいます。
糖尿病合併症についてよく知らないまま「糖尿病は運動して血糖を消費してやればOK」とただひたすら運動を勧める方たちもいらっしゃいますが、彼らはあなたにもしものことがあっても何も責任は取ってくれません。くれぐれも気を付けてくださいね。