カゼインが1型糖尿病に関わっている?
日本人の糖尿病患者の約95%は2型糖尿病で、生まれつきの体質に何らかの後天的な原因が加わって発症すると考えられています。
しかし1型糖尿病は主に自己免疫によって起こる病気です。 自分の体のリンパ球があやまって内乱を起こし、自分自身のインスリン工場であるすい臓のβ細胞の大部分を破壊してしまうことで発病します。
1型糖尿病は生活習慣病ではなく(2型糖尿病を生活習慣病と呼ばれることは正直不本意ではありますが💦)ある意味防ぎようがない病気だと思われがちですよね。
Twitterでフォロワーさんから「乳製品に含まれるカゼインが1型糖尿病を引き起こす原因なのかどうかを知りたい」と言われて、よっしーもふと気になりました。
日本の子供の1型糖尿病年間発症率は10万人あたり1.5〜2.5名で、北欧と比較すると約30分の一と言われています。
北欧では日本よりずっと多く乳製品を摂取しますから「カゼインが良くない」と言われると何となくそうかなぁと思ってしまいますよね。
なるほどなぁ…そういわれるとそういう気もするよな。
でも日本の小学生はみんな学校給食で牛乳を飲んでいるのよね💦
カゼインを除去すれば1型糖尿病は予防できる?
カゼインは牛乳のタンパク質のうち約80%を占めるタンパク質です。ヒトの母乳のタンパク質も40%がカゼインです。
母乳よりも牛乳の方がカゼインを多く含むので「粉ミルクで赤ちゃんを育てると1型糖尿病になりやすいのではないか」と言われるんですよね。でも本当のところはどうでしょう?
2型糖尿病は遺伝とのかかわりが大きい病気ですが、1型糖尿病も遺伝と明らかにかかわりがある病気です。下の表はWikipediaのサイトからお借りしました。
1型糖尿病も2型糖尿病も、一卵性双生児では普通のきょうだいと比べて明らかに一致率が高いので遺伝子が大きく関与していることは間違いありません。
で、1型糖尿病の場合、遺伝子が100%一致している一卵性双生児で片方が発症してももう片方が発症する確率は2型より低いので、遺伝に加えて「発症の強いきっかけ」となる何かがあるわけです。
そのきっかけのひとつがカゼインではないかという説があったのですね。ちなみに2型糖尿病の場合、朝食に牛乳を飲んだほうが飲まないよりも1日を通して血糖値が良好になるとされますが…
どうやら遺伝的に1型糖尿病を発症するリスクが高い赤ちゃんにカゼインを分解したミルクを与えても1型糖尿病のリスクは減らないようです。
もしかしたらカゼインがちょっぴり影響している可能性があるかもしれないとしても、母乳のタンパク質だって4割もカゼインなんですから…赤ちゃんを粉ミルクで育てているお母さんは自分を責めないでくださいね。
糖質の過剰摂取が良くないかも?
ヨーロッパの調査で、ここ最近1型糖尿病は年に3.4%ずつ増えていることが分かりました。この傾向が続くと今後20年で1型糖尿病患者が2倍に増える勢いだそうです。アメリカでもやはり増えています。
この原因の一つとして「ウイルス感染」が考えられるそうですが、実際のところどうなのでしょうか。急増の原因が遺伝だけではないのは明らかですよね。
カルピンチョ先生のブログにとても興味深い記事を発見しました。1型糖尿病の発症には生まれ持った体質が関与していますが、後天的な発症のきっかけのひとつが「食後高血糖」でないかというのです。
インスリンを分泌するすい臓のβ細胞も、体の他の細胞と同じように新しいものと入れ替わっているのだそうです。
あまりにもハイスピードで特定の細胞が死に続けて処理が間に合わない場合、自分の体で作った分子なのにそれを異物であるかのように認識してしまうことがあるそうです💦
大量にインスリンが分泌されるような食事をずっと続けていると、特定の遺伝子を持つ人たちでは食後高血糖の繰り返しがやがて自己免疫疾患を引き起こして1型糖尿病の引き金となるのでは…という記事です。
タイプにもよるので全ての方に当てはまるとは言えないようなのですが、もともと1型糖尿病になりやすい体質を持つ方の一部が糖質制限によって発症を防げる可能性があるということです。
すでに1型糖尿病を発症している方で、糖質制限の継続+αによってまだβ細胞が残っているにも関わらず抗GAD抗体が陰性化して2型糖尿病と同じ状態をキープして血糖値が良好な方もいらっしゃいます。
もっとも気を付けるべきことは何だろう?
カゼインの除去が明らかに1型糖尿病の発症を予防できるかと言われれば、残念ながらそこまではっきりとしたデータは今のところないようです。でも気になる方はやってみてもいいんじゃないでしょうか?
それよりもむしろ、1型糖尿病のリスクが高い子供は糖質の過剰摂取を避けるほうがより効果的な可能性はありますよね。
すでにインスリンの自己分泌がゼロになっている1型糖尿病の方でも、糖質制限をすることで血糖値の乱高下を最小限にでき、インスリン注射の使用量を抑えることが出来ます。
12歳で発症したアメリカのバーンスタイン先生は、40年以上糖質制限をなさっていて84歳の現在でもお元気で医師として活躍していらっしゃいますよ♪
1型も2型も遺伝が関わる病気だけどそれだけで全て決まるわけじゃないんだね。
自分でできることはなんでもやりたいわよね!