お米の消費量が減っているのに糖尿病患者が増えたのはなぜか考えてみる。

おにぎり

昔は良かった!?そうとも言えないかも…

「昔の日本には糖尿病患者はほとんどいなかった、だから糖尿病の原因は食生活の欧米化なのである」とよく言われますね。

確かに昔は現代ほど糖尿病患者は多くなかったですが、確かに患者は存在しました。藤原道長は遺伝性の強い2型糖尿病で糖尿病網膜症もあったようです。

戦国武将の織田信長も糖尿病で、糖尿病合併症の神経障害に悩まされていたのではないかと考えられています。

江戸時代には糖尿病合併症に関してかなり詳しい記述が残されています。香川修徳の『一本堂行全医言』です。

 

 

なるほど、昔の日本人は確かに現代ほどは糖尿病(やガンなどその他の病気)にはならなかったかもしれません。

でもその原因の一つは、平均寿命がかなり短かったことにあるのではないでしょうか?平均寿命が40歳そこそこの時代では、長生きするが故の病気は少なくて当然。

よっしーのように比較的若いうちに発症する人もいますが、現代でも2型糖尿病は40歳以降に発症することが多い病気です。

しかも昔は血糖測定器尿糖検査紙もありません。ゆっくり進行する2型糖尿病では、自分がそれと気づかぬまま寿命を迎えていた方も相当多かったでしょうね。

 

にゃご
2型糖尿病って年月が経って相当悪くなるまでは自覚症状ってほとんどないのが普通だよなぁ。

よっしー
そうよね、何となくだるいと思っても昔の人がそれを血糖値のせいだと分かっていたかと言うと…

 

日本人のお米の消費量は確かに減っています

「日本人のお米の消費量は減り続けているにも関わらず糖尿病は増えている、だから糖質が糖尿病の原因ではないのだ!悪いのは肉だ」とおっしゃる方も多いです。

下のグラフはライブドアニュース様のサイトからお借りしました。なるほど、確かに年々お米の消費量は減っていますよね。

確かにこのグラフだけを見れば「お米は悪くない、むしろたくさん食べたほうがいい」と思えなくもありません。

まぁロクに肉を食べず白米ばかリ食べていた江戸の人々にも糖尿病患者はいましたし、何より脚気(かっけ)患者が続出していたわけですけどね。

 

 

ではここで、お米に限定せずに「糖質」全体の摂取量はどう変化してきたのかを見てみましょう。下のグラフは日本ローカーボ食研究会様のサイトからお借りしました。

お米の消費量は半分に減っていますが、糖質全体の摂取量はかつての75%程度になっただけですね。お米の消費量が減っても、パンなど他の糖質食品の摂取量はある程度増えているのでしょう。

そして、タンパク質摂取量は昔からあまり増えておらず、脂質摂取量は増えています。「ほーら見ろ、やっぱり脂質が糖尿病の原因なのだ」と言われそうw

 

 

糖質と脂質を同時に大量摂取するのは良くない!

糖質は確かに血糖値を急激に上げます。昔のように過酷な労働を日常的に行っている場合、摂取した糖質は最終的には減少したグリコーゲンを補充するのに充てられます。

しかしデスクワークが多く運動不足になりがちな現代では、食後血糖値が急激に上がる「血糖値スパイク」が健康上大きな問題となります。

それで、ご飯をチャーハンにするなどして脂質と一緒に食べると血糖値の上昇が緩やかになるのでこれを試みる方が多いということを昨日記事にしました。

 

 

その場合確かに血糖値のピークは低いかもしれませんが、結局食べた分だけ血糖値は上がるのでこれを処理するために長時間ダラダラとインスリンが分泌され続けます。そのとき、活性酸素によるダメージを受けます。

血糖値スパイクは良くないですが、長時間ダラダラとインスリンが分泌され続けることも良くない、ことによると前者よりも後者の方がむしろ悪影響があるかもしれない…のです。

上の棒グラフをもう1度ご覧ください、1946年は糖質の摂取割合は80.6%もありましたが脂質はわずか7.0%でした。

ところが2005年には糖質は60.4%で脂質は24.9%です。このPFCバランスの食事は日本糖尿病学会が勧めている食事まさにそのものです。

 

 

でもね、糖質60%の食事というのは、食後に追加インスリンを大量に分泌するには十分なのです。さらに言えば、糖質の摂取割合が30~40%まで減っても十分に追加インスリンは出ます

追加インスリンがガッツリ分泌されている状態で脂質も大量に摂取すると、インスリンの作用で糖質が中性脂肪になる上大量に脂質も来るので、余った大量の中性脂肪は皮下脂肪に蓄えきれずに脂肪肝の原因に…

糖質摂取量がちょっとばかり減っても糖尿病が増えたのは、「糖質と脂質を一緒に食べるから」とは考えられませんか?もちろん、運動不足も大きな原因の一つではありますが。

 

「ゆるやかな糖質制限」にご注意!

よっしーはいわゆるストイックな糖質制限をしています。1日あたりの糖質摂取量は30g未満です。このぐらいの量だと、追加インスリンの分泌はかなり少ない量で済んでいると思われます。

糖質と一緒に食べなければ、脂の多い肉などをたくさん食べても太りにくいですし中性脂肪も正常です。スーパー糖質制限をしているみなさんの多くは中性脂肪は正常値でしょう?

ところが「ご飯も食べるバランスの良い糖質制限」だの「極端な糖質制限は体に悪い」などと言って、ほんの少しだけ糖質を減らして肉はガッツリ…という方も少なくないですね。

 

 

このような方は無理せず体に優しいことをしているつもりで、実は最も良くないことをしてしまっている可能性があるのです。

アンチ糖質制限な方々はよく「糖質制限すると糖尿病になる」とおっしゃいますが、正確に言うと「(ゆるゆるの)糖質制限(もどき)をすると糖尿病になる(こともある)」だと思います。半分は当たっているのかも。

ただ、「ゆるやかな糖質制限」を永久に続けるわけではなく、まずは少しずつ慣らしていくために取り入れている方もいらっしゃいます。いずれスーパー糖質制限へ移行するわけ。

それなら問題は無いと思います。「ゆるーい糖質制限」を長期間継続することには健康上の問題が生じる可能性もあるので、みなさん気を付けてください。

 

 

糖質と脂質を同時に大量摂取するのが良くないといっても、じゃあ脂質を避けて糖質ばかりの食事をすればいいのかと言うともちろんそうではありません。糖質単独では血糖値スパイクが起こります。このときインスリンも大量に分泌されます。

脳を含め、人体の構成成分としてはまずタンパク質、そして脂質が重要です。糖質は必要な分は肝臓や腎臓で作ることができますが、ある種のアミノ酸や脂肪酸は作ることは出来ません。

昔の日本人に脳卒中がかなり多かったのは、タンパク質、特に動物性タンパク質の摂取量が不足していたために血管が脆かったためと考えられています。長生きできず身長も低かったですよね。

人体にどうしても必要な脂質はしっかり摂取するべき、でも糖質と脂質を同時に摂取するのは良くない…これで、どのような食事をするべきかが分かるはずです。

 

にゃご
まず体に必要なものを優先して食べるようにしないといけないよな。

よっしー
猫は肉食動物、ヒトは肉食寄りの雑食動物だもんね。ネズミとは違うのね。

 

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