糖尿病は治るのか?

糖尿病は不治の病なのか

健康診断などで「血糖値が高いです」と言われたり、病院で「あなたは糖尿病ですね」と言われてしまった人たちがまず考えるのが「糖尿病を何とかして治すことはできないのか…」ということではないでしょうか。

残念ですが、ごく一部の例外を除いて、現代の医学ではまだ糖尿病を「完治させる」ことは不可能なのです。その理由はいったい何でしょうか?

 

 

 

すい臓のベータ細胞が死んでしまう

糖質の多い食品をたくさん食べていたり、そのわりに運動量が少なかったり。
長年、すい臓に負担をかけ続けると、インスリンを分泌するすい臓のベータ細胞はだんだん弱っていきます。

そしてついには過労死してしまいます。

 

(上のグラフはあたふた奮糖記様より引用)

 

上のグラフを見てください。
もとのベータ細胞の数を100とすると、まだ糖尿病と診断されるよりも何年も前から、だんだんベータ細胞は数が減っているんです。

これは2型糖尿病の場合ですが、1型糖尿病の中には、ごく短期間のうちにすべてのベータ細胞が死滅してしまうことだってあるんです。

運よく2型糖尿病を早期発見できた人でも、元の6割しか残っていません。
まして長年検査を受けずに、糖尿病であることに気づかずに放置してしまった場合などは、かなりのベータ細胞が死滅してしまっている状態です。

いったん死んでしまったベータ細胞が生き返ったり再び増えることは、まずありません。

それを何とかして増やしたり、外部から補ってやろうという試みが、動物実験段階で行われていますが、ヒトに実用化されるまではまだまだ時間がかかるでしょう。

糖尿病が完治するというのが、発症前と完全に同じ状態に戻るという意味での「完治」であれば、現段階では糖尿病を完治させることはできないと言うしかありません。

 

治ったのと同じように健康に暮らすことは可能

糖尿病を治すことはまだできませんが、実質、健康な人と変わらない暮らしをして長生きすることはできます。

残されたベータ細胞がこれ以上減らないようにして、残されたベータ細胞だけでやっていけるような食事、運動、必要に応じて服薬なども取り入れていけばいいんです。

中には、インスリン注射が必要になる方もいらっしゃいます。

工場の労働が過酷すぎて、労働者が半分過労死してしまったらどうしますか?
仕事の量を減らすか、労働者の数を増やすしかないですよね。

でも残念ながら、労働者の数を増やすことは今のところ出来ないんです。
そういうことです。

食後に運動すれば、いくらか血糖を消費することができます。
しかし運動で消費できる血糖の量には限界があります。

プロのスポーツ選手で若い時から体をうんと鍛えていても重症の2型糖尿病になってしまった選手がいることを考えれば分かると思います。
過信は禁物です。

 

 

糖質制限食は食後のインスリンの需要を減らします。
運動はインスリンの効きを改善し、血糖を消費します。

経口血糖降下薬の中には、インスリンの効きを改善したり、いくらかの糖を尿中に捨ててくれるものがあります。

しかしいずれの方法も「糖尿病を根本的に治す」ものではないことを忘れてはいけません。

「これを飲めば糖尿病が治る」などというサプリメントがあるはずもなく、飛びついてはいけないのですね。

飛びつきたくなる気持ちは、よく分かりますが…

 

例外もある

糖尿病は治らないと書きましたが、例外もあります。

妊娠糖尿病の場合は、出産すると正常値に戻る場合が多いです。

しかしいったん妊娠糖尿病になった人は、そうでない人と比べると将来2型糖尿病になる確率が約7倍です。もともとそういう素質を持っていたからこそ、妊娠による負荷に耐えられずに妊娠糖尿病になったわけです。

また、家族に糖尿病の方がいる場合はもともとインスリン分泌能力が低いので糖尿病になりやすいのですが、そうではなく、単に暴飲暴食して太りすぎで糖尿病を発症した人の場合。

このような人は、暴飲暴食をやめて体重を落とすだけでほぼ治ったと思うぐらい劇的に改善することがあるそうです。

 

 

アメリカ人であまりにも太りすぎた人などは、そのようなタイプが多いそうです。

単に極度の肥満でインスリンの効きが悪くなっていただけで、ベータ細胞はあまり減っていなかったという人たちです。

しかし元々あまり太っていないのに糖尿病になった人の場合は、そのようなことはあまり期待できないですね。

糖尿病は現段階で治せませんが、血糖コントロールを良好に保って元気に生きていれば、そのうち治せる病気になる日が来るかもしれません。

その日が来るまで、皆さん、元気でいましょうね。

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