糖尿病患者も朝食はしっかりと食べるべき?
みなさんは、糖尿病患者の理想の朝食メニューってどんなものだと思いますか?やっぱり、病院の給食で出てくるようなものでしょうか。
一般的に、夕食で糖質を食べると太りやすいので食べるなら朝のほうが良いと言われていますよね?他にも「朝の果物は金」とか「朝食でタンパク質をしっかり摂取すると代謝がUPする」とか。
また、2型糖尿病患者が朝食を抜くと昼食後や夕食後の食後血糖値がより上がりやすくなるというデータはあるそうです。
糖尿病が発覚するまで、よっしーはずっと「朝食はしっかり食べる派」でしたし、糖尿病と分かって糖質制限を始めてからも、最初は糖質オフな朝食をしっかり食べていました。
糖尿病で入院中に朝食後の血糖値が爆上がりしていたのは、ご飯やデザートの果物のせいなので糖質オフな朝食であればたっぷり食べても問題ないはず…
ところがある日、とても重大な事実が判明してしまったのです。それは「朝はインスリンの効きが悪くて食べた糖質量以上に血糖値が上昇すること」と「その時間帯は運動しても血糖値が下がらないどころか、かえって上がる」ということです。
もちろん、すべての糖尿病患者がそうだと言うわけではありません。でも、よっしーのように朝起きた時に前日の夜よりも血糖値が上がっている方は気を付けたほうがいいですよ。
ホルモンが血糖値を上げる…暁現象とは?
インスリンは血糖値を下げるホルモンですが、反対に血糖値を上げるホルモンがいくつかあります。グルカゴン・コルチゾール・アドレナリン・成長ホルモンなど。
糖尿病患者はグルカゴンが必要以上に分泌されやすい状態になっているとされており、これが「食べた量以上に血糖値が上がりやすい」「糖質制限しているのに空腹時血糖値がなかなか理想値まで下がりきらない」原因の一つと考えられます。
アドレナリンは、感情が激しく揺れ動いたとき・強い空腹時・運動時・緊張時などに分泌されやすいホルモンです。アドレナリンの分泌が過剰になると、攻撃的で怒りっぽくなったり、イライラしてキレやすくなるんだそうです。
では、成長ホルモンやコルチゾールはどんなホルモンでしょう?上のグラフは京都高雄倶楽部栄養士の糖質制限Blog様からお借りしました。
成長ホルモンは筋トレ後にも分泌されますし、何かストレスを受けた時にはコルチゾールが分泌されますが、これらのホルモンは睡眠中にも分泌されます。
グラフを見ていただくと、成長ホルモンは深夜が分泌のピークでコルチゾールは朝がピークですよね。健常者の場合はこれら血糖値を上げるホルモンが分泌されている時間帯はインスリンを多めに分泌するので血糖値は上がりません。
でも糖尿病患者の場合、成長ホルモンやコルチゾールが血糖値を上げる働きに対抗できるだけの十分なインスリンを分泌できなかったり、インスリンの効き目がイマイチだったりするので血糖値が上がってしまうんです。
入院中にランタスというインスリンを寝る前に16単位も注射したことがありましたが、さすがにこんなに打つと翌朝の起床時の血糖値は80でした。ちょっと低すぎるかも…という感じ。インスリンが強力に朝の血糖値上昇を抑え込んだのでしょうね。
また深夜に目覚ましをかけて起きて血糖値や血中ケトン体を測定する実験をしたこともあります。よっしーの場合深夜2時ごろまでは血糖値は通常どおりで血中ケトン体も多いです。
でもその後わずか3時間ほどの間に血糖値は上昇し、血中ケトン体は減少することが分かりました。インスリンが多く分泌されているときはケトン体は減る傾向があるんです…
成長ホルモンで血糖値が上がりやすい方は深夜に血糖値が上がっているかもしれません。よっしーは明け方に血糖値が上がり始め、朝8時ごろにもっとも高くなります。きっとコルチゾールで血糖値が上がりやすいタイプなのでしょうね。
コルチゾールについてもうちょっといろいろ調べてみる
コルチゾールは誰でも分泌されているのですが、強いストレスを感じると分泌量が通常の10~15倍にもなるんだそうですよ!
コルチゾールはタンパク質・脂質・糖質の代謝にも関わる重要なホルモンですが、肝臓での糖新生を促して何も食べていないのに血糖値を上昇させたり、インスリン抵抗性を生じさせてインスリンの効きを悪くします。
ストレスで糖尿病になるとか糖尿病患者にストレスが良くないと言われるのは、こういうことだったのですね。
また漫画「ブラック・ジャック」にも登場しましたが、腎臓の上にある副腎という小さな臓器にホルモンを出す腫瘍が出来るクッシング症候群という病気になると、コルチゾールが分泌されすぎるので糖尿病になります。
よっしーは糖尿病で入院した時にホルモン分泌に何らかの異常がないかどうか検査されましたが、異常は無かったです。でもそのようなケースもあるということですね。
ちなみにコルチゾールは運動時にも分泌されます…しかも、運動強度に比例してコルチゾールが分泌されるそうです。適度な運動なら良いのですが、やりすぎは逆効果になるかもしれません。
朝食にたくさん食べたら血糖値が上がった…
よっしーの場合、インスリンの効きが悪く血糖値が上がりやすいと感じる時間帯は朝8時半ぐらいまでで、その後は通常モードに戻っていく感じです。
糖質オフな朝食をしっかり食べて何気なく食後血糖値を測定してみると明らかに血糖値が糖質量以上に上がっていて大ショックだった経験があります。
インスリンの働きが悪い時間帯においては、タンパク質ですら食べすぎると血糖値が上がるみたいなのです…これは残念でしたね。
しかも焦ってジョギングしたら、逆に血糖値が30も上がってこちらも大ショックでした。昼間にジョギングした場合はこんなことはないのに!
アメリカのバーンスタイン医師の患者さんにも、「昼間運動するときは大丈夫だけど、早朝に運動するときはインスリンを打たなければいけない患者さん」がわりといらっしゃるんだそうです。
単純に朝なら食べても大丈夫だとか、運動すれば血糖値が下がるとか、そういうことではないということです。寝る前にガッツリ筋トレしてみたこともありますが、翌朝はまったくいつも通りでした…
よっしーはそれ以来、朝一番の食事はコーヒーとゆで卵1個などごく軽く済ませています。そして息子たちが学校に行き、ひと息ついたところで間食にタンパク質のおかずや野菜などを食べます。運動も朝は避けて昼に行うことにしています。
糖尿病患者の朝食はどうしたらいいの?
完全に朝食抜きにすると、確かに昼食を食べた後に血糖値が上がりやすくなることはあるかもしれません。普通に糖質を摂取している方の場合は特にそうでしょうね。
だからといって朝早くたくさん食べてしまうと、たとえ糖質が少ない食事だとしても血糖値は上がるかもしれません。朝は最もインスリンの働きが良くない時間帯です。こういう時間帯は運動ですら逆効果になる可能性があります。
まずいつも通り食べて朝食後の血糖値を測定してみてください。あまり上がらないようであれば何も変える必要はありません。
でも、もし食べた糖質量以上に血糖値が上がってしまう方は、朝食の量を減らしてその分間食で補うようにしてみてください。
糖尿病患者におすすめの理想の朝食メニューとは「糖質が少なく体に必要なものを厳選して少なめに摂取するもの」だと言えるでしょう。そして運動は早朝の時間帯を避けて、できれば昼~夕方に行うといいです。