糖質制限は大正時代の「最先端の糖尿病治療食」だった!?

甘党だった糖尿病の夏目漱石

糖質制限に「挫折」してしまった夏目漱石

甘いものが大好きな文豪・夏目漱石が糖尿病患者だったことは有名です。以前にも夏目漱石が糖尿病で「厳重食(現在でいう糖質制限食)」を行っていたことは記事にしたことがあります。

夏目漱石が糖尿病神経障害と思われる症状を訴えたのは大正5年で、教え子だった医師から当時の最先端の糖尿病治療である「厳重食」を指導されました。

「厳重食」とは、江部康二先生によれば次のような内容の食事療法だったそうです。昭和初期の女子栄養大学の本「栄養と料理」に掲載されていた内容だそう。

 

 肉類(牛、豚、鶏、魚肉、内臓、心臓、肝臓、舌、膈、腎臓、骨髄)、貝類、卵類(鶏卵、鳥卵、魚卵)、脂肪類(バター類、豚脂、ヘッド、肝油、オリーブ油、ごま油、)、豆類(豆腐、油揚げなど)、味噌は少量、野菜(含水炭素5%以下)小松菜、京菜、白菜、筍、レタス、蕗、大根、アスパラ、果実(含水炭素の少ないもの)びわ、すもも、苺、いちじく、メロン、パイナップル、パパイヤ、りんご、蜜柑、夏みかん・・・
*梨、ブドウ、柿、バナナはやや糖質が多いので警戒を要する。

 

食べていい物は魚介類や卵、脂質、大豆製品、糖質が少ない野菜と果物だったんですね。糖質制限はごく最近始まった新しい食事療法だと思っている方も多いでしょうけど、実はそうじゃなかったんです。

漱石は厳重食で頑張っていったん糖尿病神経障害も改善しましたが、どうやらその後「挫折」して厳重食をやめてしまったらしいのです💦

 

 

漱石はとにかく甘いものが大好きで、パンにはバターだけではなく砂糖を振り、紅茶にも砂糖を入れ、お菓子をいただくと家族には分けず一人で食べてしまったそうです。

主治医から甘いものをやめろと叱られても漱石は家じゅうを探し回って奥様が隠したお菓子を見つけては食べ、いちごジャムを毎日食べていました。

そして晩年は病気療養のために宿泊していた宿にアイスクリーム製造機を持ち込んでまでアイスクリームを食べていたとか!体型は決してデブではなかったようですが…

そんな生活がたたったのか、漱石は49歳の若さで胃潰瘍でこの世を去りました。インスリンが発見されるわずか5年前のことでした…

 

にゃご
49歳か…まだ若いのに残念だったな。でも夏目漱石さん、どうしても糖質が好きで食べたくてたまらなかったんだね。

よっしー
たとえ病気でもどうしてもやめられないのが糖質の怖いところなのね。

 

昔から日本にもあった糖尿病

日本人の場合、糖尿病患者の95%は2型糖尿病であり、普通は進行がゆっくりなのでかなり悪化するまでは何の自覚症状もありません。

そのため医学が発達していなかった昔は、糖尿病になっても気付く前に寿命を迎えていた者もけっこういたのではないかと思われます。平均寿命も短かったですしね。

藤原道長とその一族何人かは2型糖尿病でしたし、江戸中期の香川修徳は「一本堂行全医言」の中で糖尿病合併症についてかなり正確な記録を残しています。つまり当時の日本にもそれなりに糖尿病患者はいたわけ。

カナダの整形外科医フレデリック・バンティングと医学生チャールズ・ベストがインスリンの抽出に成功したのは1921年の事でした。日本では大正時代の半ばのことです。

 

 

インスリンの発見により、それまで生き延びることができなかった1型糖尿病患者たちが生きられるようになったのはとても素晴らしいことです。

なぜなら24時間少しずつ分泌されているベーサルインスリンが無いとヒトは死んでしまうからです。

でもこのことが、2型糖尿病患者たちをいつの間にか「厳重食なんて必要ない、インスリンを打てば何でも好きなものを食べていいんだって」という方向へ向かわせてしまいました。

2型糖尿病患者は単にインスリンの分泌が足りないというよりも、インスリンが分泌されていてもきちんと働きにくいことが問題なんですけどね💦

 

どうか挫折してしまわないで…

超甘党だった夏目漱石さんにとって、当時の最先端治療である「厳重食」はとても辛かったことでしょう。

何しろ当時は低糖質アイスクリームも低糖質チョコもなーんにもなかったわけですから。だからいったんは厳重食で結果が出たのに、結局挫折してしまったのも分からなくはありません。

現代においても、いったん糖質制限で頑張って結果が出たのに「ああもう辛い、やーめたっ♪これからは糖質いっぱい食べるわ」という方は結構いらっしゃるんですよね。

「インスリン打っときゃ何を食べてもOK」なら、真面目に通院して治療している患者さんたちは糖尿病合併症になるはずがないです。でも残念ながら現実は厳しいものです。

 

 

どうかくれぐれも夏目漱石さんのようにならないように気を付けてください…従来の糖尿病治療の結果が、日本で年間3000名が視力を失い16000名が人工透析を始め、3000名の足が切断されているということなのですから💦

先日Twitterでお医者さんたちが「糖尿病患者は儲かる」と会話しているのを見てショックでしたが、糖質を食べたい患者と儲けたい先生方の利害が一致するといったところでしょう。

将来「しまった!こんなはずじゃなかったのに…」なんてことにならないためにも、自分でよく考えましょうね。

 

にゃご
上手いこと言われてお金取られて…か。オレはそんなの絶対に嫌だぞ!

よっしー
まだ合併症がない方はあまり危機感がないかもしれないけど、よく考えてね!

 

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