遺伝子には逆らえないのでしょうか

目に悪いことをしなくても近視になる

近所に、幼児の頃から近視でメガネをかけている兄弟がいらっしゃいます。その子たちのお父さんもやはり、子供の頃から近視だったそうです。

お母さんはお子さんたちのことがとても可哀想だとおっしゃって「よっしーさんのところは2人とも視力が良くて羨ましいわ…」と。

確かに、うちの子たちは今のところ視力は良いです。よっしーも子供の頃は1.5の視力が自慢でした。でも、大人になり、パソコンやらスマホやら…

いつの間にか視力は1.0ぐらいになっていて「メガネをかけるほどじゃないけど、ちょっと近視が入ってる」と眼科の看護師さんに言われて大ショックでした。

 

 

近視になりやすい目の形というものがあり、その設計図(遺伝子)を親から受け継いだ子は別に目に悪いことは何もしていなくても子供のうちに近視になりやすいのです。

でも、そうじゃない子も、ゲームのやりすぎや本の読みすぎ、変な姿勢で本を読むとか、目に悪いことを続けていればやっぱり近視になってしまうんですよね。

これ、糖尿病も同じだと思いませんか?よっしーのように、遺伝で若いうちに糖尿病になってしまう人もいれば、遺伝じゃないのに暴飲暴食のつみ重ねで発症する人もいます。後者のほうがきっと多いですね、若い時に発症する人は少ないですから。

 

父を恨んだこともありました

よっしーが小学生の時に父が2型糖尿病と診断されたので、子供心に「糖尿病って怖い、私も気を付けなきゃ」と思っていました。

だから女子栄養大学のカロリー計算の本を何冊も愛用したり、大学は栄養学を学べる学部を選び、スポーツクラブにも週5日通いました。

ああ、それなのに…20代半ばで赤ちゃんが出来たとたんに妊娠糖尿病と診断されたときはとてもショックでした。太りすぎでも食べすぎでも高齢でもなく運動もしていたのに、なぜ?と。

 

 

そして「これは父からの遺伝のせいだ」と父を恨んだこともありました。弟も30代前半で糖尿病になったので、まぁ遺伝は間違いないでしょうね。

ちなみに弟は太っていたので、会社の健康診断で糖尿病と分かってすぐ糖質制限とウォーキングを開始し、体重がかなり落ちてHbA1cも1年間で12.6から4.9まで落ちました。薬やインスリンは一切使っていません。

現在は、たまに付き合いでご飯を食べてもHbA1cは正常値をキープしているようです。特にジムに通ったりはしていません。食べたら歩いているだけだそうです。

よっしーは弟より病気の程度が重いですが、長年気付かずにほったらかしてしまったせいでしょうね(´・ω・`)

 

遺伝と関係がある病気は山ほどあります

糖尿病や近視に限らず、遺伝と関係がある病気は星の数ほどあります。そのすべてが解明されているわけではありません。

そういう「病気に関係のある遺伝子」を1つも持っていない人など、おそらくいないのではないでしょうか?たぶん、調べれば誰でも何かしら持っているのではないかと思います。

 

 

いわゆる「体質」というのは、つまり遺伝子が決めているんですよね。寮生活で同じ食事をして同じように生活していても太っている人、痩せている人、病気になる人、ならない人がいます。

では、私たちは「遺伝子には逆らうことは出来ないんだから…」と諦めるしかないのでしょうか?

 

デザイナーベビーが誕生する?

ヒトゲノムの解読は、一応ひととおり終わったとされています。これからは、高度な遺伝子編集技術により、親が望むような外見・体力・知力を持ち、病気にならない健康な子どもを人工的に生み出す「デザイナーベビー」が誕生するのではないかと言われています。

もちろん、人間の遺伝子を編集して生命を生み出すことへの倫理的な問題は大きな問題ですが…

今のところ、アメリカの識者たちは「重篤な疾患などを予防する」という目的であれば遺伝子の編集が認められるべきだと考えているそうです。

 

 

いつか、糖尿病になりやすい遺伝子を持つ受精卵の遺伝子が「修正」されるようになる日が来るのでしょうか…?

しかし倫理的な問題ももちろんですけど、この技術が実用化されたとして、世界中で高身長・美形・運動神経抜群・高知能・病気の遺伝子を持たない子供たちばかりが誕生することになったとして、本当にそれで世界は素晴らしいものになるのでしょうか?

遺伝子のもつ多様性により、ヒトも他の生き物も地球上で生き延びてきました。糖尿病になりやすい遺伝子は現代社会では不利ですが、かつて食べ物が豊富でなかった時代には、生き延びるために有利な遺伝子だったはずです。

 

 

すべての人間が同じような遺伝子を持つとしたら、もし何かの拍子に地球の気候が大きく変化したり、ある種のウイルスが蔓延したりした時に一気にみんな死んでしまうような事態になりはしないでしょうか…??

素晴らしい未来をもたらすはずの遺伝子操作技術が、パンドラの箱にならなければいいのですが。

1900年代の初めに「スペイン風邪」が大流行した時、5億人が感染し、5000万~1億人が死亡しました。この大流行の中生き延びた人たちの子孫の中には、エイズウイルスにさらされても発症しない人たちがいるそうです。遺伝子に変異があり、エイズウイルスが取り付くことができないんだそうですよ。

 

遺伝子に屈することはありません

遺伝子と言うのは、突然変異を除けば短期間で変化するものではありません。親のどちらかが2型糖尿病であれば、あなたも2型糖尿病になる確率は高いです。両親が糖尿病なら、その確率はさらに高くなります。

糖質制限の江部康二医師は、ご両親とも2型糖尿病だったそうですよ。だからこそ、よっしーと同じく、玄米魚菜食と運動の習慣があったにもかかわらず発症してしまったのでしょう。

今のところ「糖尿病に関する遺伝子」を修正することは出来そうにありませんし、糖尿病を完治させる方法もまだ実用化されてはいません。

しかし、新井圭輔医師の言葉を借りるなら「ライオンの中にも糖尿病になりやすい体質の者はいるはずだが、彼らは糖質を食べないので糖尿病になることはない、したがって糖尿病かどうかの検査も、治療も必要ない」

 

 

ヒトも、糖尿病になりやすい食生活をやめれば、もともとの体質がどうであろうと糖尿病を発症することなく普通に暮らせるのかもしれません。

かつてヒトがまだ農耕を開始する前、糖尿病になりやすい遺伝子は飢餓に強い、むしろ有利な遺伝子でした。ところが、食生活がガラリと変わったのに遺伝子は変化できていないため、異常に多くのヒトが糖尿病で苦しむようになってしまったのです。

悪いのは本当に遺伝子なのでしょうか?それとも…遺伝子は黙って、私たちの体の中に存在しています。

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