ちょっと太めの2型糖尿病患者が最も痩せにくい!?
これまで、いろいろな糖尿病患者さんたちとお話していてふと思ったことがあるんです。それは「すごーく太っているわけじゃないけど、ぽっちゃり程度の体型の2型糖尿病患者って痩せにくいのでは!?」ということ。
家族に誰も糖尿病患者がいなくて自分だけ太りすぎで糖尿病になった高度肥満の患者さんたちは、ちょっと頑張って食事を減らすだけで簡単に痩せて血糖値も改善することが多いです。
なぜなら彼らの場合、インスリン抵抗性の原因は肥満だけですし、大きな体を維持するだけでも相当な量のエネルギーが必要だからです。
でも、糖尿病家系でちょっとぽっちゃりした糖尿病患者、それも特に女性は本当に痩せにくいみたいです。よっしーも最初は全然痩せなくて困っていました…
中には糖質を制限するだけで肉や魚や卵をお腹いっぱい食べてもどんどん痩せる方もいらっしゃいます。男性の方に多いです。
で、そういう方は「糖質さえ減らせばカロリーは無制限でも痩せられます」とおっしゃるわけです。でも実際は、その方法では上手くいかない方がたくさんいらっしゃいます。
2型糖尿病患者の場合、ちょっと痩せるだけでも血糖値は改善する方も多いそうです。だから痩せなきゃと思っているのになかなか思うように痩せなくて困っている方もきっと多いはず。
日本人は標準体重の範囲内でも糖尿病になりやすい
太るとインスリンという血糖値を下げるホルモンの感受性が低下する、つまりインスリンの効きが悪くなることはみなさん既によくご存知だと思います。
同じ量のインスリンを分泌しても十分に血糖値を下げきれないので、インスリンを通常の2~3倍も多く分泌しなければいけなくなり、もともとインスリン分泌能力が低い人は耐えきれません。
欧米人はかなり太ってからインスリン抵抗性が生じますが、日本人を含むアジア人の場合はそれほど太っていなくても(医学的に標準体重とされる範囲内であっても)インスリン抵抗性が生じやすいそうです。
高度肥満の方はインスリン抵抗性がありますが、その体重を維持するだけでも相当な量のエネルギーを必要とするために少しの努力でぽっちゃり体型ぐらいまでは痩せやすいと思われます。
また、高度肥満体型になれるということは、インスリンを分泌する能力がもともと高いということです。インスリンは別名・肥満ホルモンと言われています。
糖質を食べ過ぎてもどんどん皮下脂肪としてたくわえてしまうことができるのは、インスリンを分泌する能力が高い人です。こういう方が糖尿病になるのは、かなり不摂生をした場合です。
それに比べて、アジア人に多いタイプ、ことに家族に糖尿病患者が多い方はもともとインスリンを分泌する能力が低いので、そこまで太れないまま糖尿病を発症してしまいます。
それほど太っていないので体重を維持するためにさほどたくさんのエネルギーが必要なわけではなく、なおかつもともと糖尿病体質でインスリン抵抗性はしっかりある…これが「2型糖尿病のぽっちゃり患者が痩せにくい理由」とは考えられませんか?
悪循環から何とかして抜け出さなくては…
妊娠糖尿病や境界型糖尿病などと違って「ガチの糖尿病」には完治はありません。寛解と完治は違うものですよね。
しかし完治は無理だとしても、よっしーの糖尿病内科の主治医は「2型さんは3㎏ぐらい体重を減らすだけでもかなり違うよ」とおっしゃっていました。
実はちょっと前にはごろものカーボフという低糖質パスタにハマりまくったことがあるんです。血糖測定をしても20ぐらいしか血糖値が上がらないので嬉しくて毎日食べていました。
そしたら体重が2㎏増えて、HbA1cも上がってしまい…あれから深く反省してカーボフを食べるのはやめて、増えた体重も元に戻りました。ほっ。
2型糖尿病(1型糖尿病でも肥満の方はインスリン抵抗性があるので2型と同様に痩せたほうがいいそうです)患者は、何とかして理想体重まで痩せなければいけません。
痩せなければいけないにもかかわらず、なかなか痩せないのですから、心が折れそうになる気持ちはとてもよく分かりますよ!
まず方針としては、インスリンを大量に分泌させるような食事をなるべく避けること。それから、空腹時に糖新生をなるべく起こさないようにすること。そしてインスリン感受性を良くすることです。
そのためには糖質制限を正しく行い、体脂肪になりにくい脂質(中鎖脂肪酸を含むココナッツオイルやMCTオイル)を日に何度か、体重が増えない程度に摂取することです。
よっしーは昨日ためしに朝・昼・夕・寝る前にココナッツオイルを大さじ3/4杯ぐらい摂取してみましたが、食事はいつもと同じなのに体重が800g減っていてびっくりしました。
でも、たまたまかもしれないので良かったらみなさんも試してみてください。これらのオイル以外の脂質は青魚に含まれるもの以外は控えめにするのがポイントです。
そしてインスリン抵抗性を改善するためには、軽い有酸素運動を日常に取り入れることです。なるべく電車や車を使わずに歩くだけでも効果があります。
筋肉を増やすことも効果的ですが、今までほぼ寝たきりのような生活を送っていた方でない限り、短期間で劇的に筋肉を増やすことはまず無理です。あくまでも気長に考えてくださいね。
インスリン抵抗性には遺伝もかかわっているので、これでもダメなら主治医と相談してメトホルミンやピオグリタゾンなどの飲み薬を出してもらうのもいいでしょう。
頑張って「肥満→インスリン抵抗性→痩せない→血糖値悪化→薬やインスリンを増やす→肥満」の悪循環から抜け出すことができれば、見た目もスッキリして血糖値もいくらか改善するでしょう。みなさん、頑張りましょうね♪