管理栄養士「日本人はお米では太らない」!?
今から10年以上昔の話になりますが、某女性向け雑誌で管理栄養士さんが書いていらした文章に驚いたのを今でも覚えています。
「日本人はパンなどの小麦製品で太る。私は米で太った人を一人も見たことがない、日本人は米を食べるべきです!」
当時も「えええ!?まさかね」と思いましたけど、今思い出してもやっぱりなにか変だなと思います。
パンが好きでも痩せている人は居ますし、主食はお米派でも太っている人はたくさんいるはず。管理栄養士さんでありながら「私は米で太った人を一人も見たことがない」とまで断言して大丈夫かしらと…
そしてインスリンの作用を考えると「パンで太る、米なら太らない」というのなら「米よりパン食のほうが圧倒的に脂肪肝や2型糖尿病になりやすいです」ということになるでしょうか。
おそらく「昔の日本には2型糖尿病になる人は少なかった。それが今はこんなに増えている!食の欧米化のせいだ」と仰りたいのでしょう。
しかし残念なことに、昔と現代で変化しているのは「食の欧米化」だけではありません。家事労働は昔とは比べ物にならないほど楽になっていますし、庶民が白米を好きなだけ食べられるようになったのは長い人類の歴史でもごく最近のことですよね。
日本人だから米、ってなんとなくもっともらしく聞こえるニャ。
それって科学ではなくある意味宗教的なものになっているかも!
藤原道長たちはなぜ糖尿病になったのか?
現在、NHK大河ドラマ『光る君へ』が放送されていますが、これが本当に面白くて毎週夢中になって観ています!
私も1度記事にしましたが、札幌の小野百合内科クリニックの小野渉先生が「平安貴族の栄華と影:なぜ藤原道長は糖尿病だったのかについて徹底解説」という記事を書いてくださったのでご紹介します。
藤原道長は糖尿病患者だったと考えられますが、彼の一族に同じ症状を訴える者が複数いたことから、1型ではなく2型糖尿病と思われます。
先ほどの管理栄養士さんの説が正しいとすると、道長たちはパンやうどんを常食していたのでしょうか?
日本に小麦が伝わったのは弥生時代とされています。奈良時代になると少しは生産量が増えたようですが、大量に栽培されるようになったのは江戸時代だそうです。
そして平安時代の貴族と庶民の食事について解説しているサイトを見つけましたが、貴族の主食はうるち米を甑(こしき)で蒸した「強飯」(こわいい)をてんこ盛り、庶民は「麦類」や「アワ」・「キビ」そして現在のうどんのようなものも食べていたそうです。
もちろん甘いお酒やお菓子、運動不足の生活やストレスなどが影響したのでしょうけど、少なくとも「小麦がすべての悪!米なら大丈夫」ということはなさそうです。
また現代でこそ相撲の力士たちはちゃんこ鍋だけではなく洋食も食べていいことになっているようですが、明治時代の力士たちはほぼ、大量の米だけを食べていたそうです!それで太れたということですよね。あれ?米では太らないっていうのはやはり間違いでは?
「量」を考えることが大事!
私が病院に入院しているとき週1回だけ朝食がパンの日がありましたが、食後血糖値の上がり方は米と全然変わらなかったです。
米だろうとパンだろうとたくさん食べれば太るし血糖値は同じように上がると思うので「日本人だから米なら大丈夫」などと根拠のない話を鵜呑みにしないほうがいいと思うのです。
だいたい「食生活の欧米化が悪い。パンは悪だが米は良い」というなら糖尿病教育入院でほとんどの日米を食べていた私の血糖値はなぜ少しも良くならなかったのでしょう。
大切なのは「米かパンか(アレルギーの方は除く)」ではなく量の問題ではないでしょうかね…
パンも米も同じ糖質だものニャ!
おかしな話だと思うわ。