患者の大半は○○だ!?
信じられないかもしれませんが、世の中には「患者なんてほとんどが○○(頭が良くないという意味の悪口)ばっかりだ!」と言って見下す医師がいます。
もちろん顔と名前を出して堂々と言っているわけではなく、ツイッターなどのSNSで匿名でそういう風におっしゃっているのを何度か見かけたことがあります。
晒すのが目的ではないので貼りませんけど「患者なんてたかが義務教育の勉強すらロクに理解できないのが大半なのだから、優秀な自分たちの言うことが理解できないのは当然だ」という旨の発言を見てびっくりしました。
それに「いいね」をつけている医師アカウントがわりとたくさんいらしたのもショックでしたね…つまり、同じことを思っている医師が山ほどいらっしゃるということでは?
↑↑↑相手が一般人だと思ってたら実は…なんてこともあるかもしれません!
また一見穏やかに見える感じの医師の方も、上記のような内容をめちゃくちゃオブラートに包んだ書き方でツイートしていらしてショックだったことがありました。
もちろん、このような医師が面と向かって患者さんに「あなたは頭が良くないので私の言うことが理解できないのですね」と言っているわけではないでしょう。
でも…もし内心そう思っていらっしゃるとしたら、すごく嫌な気持ちになりませんか?私はイヤですけれど。
もしSNSにこんなこと書いてる先生が自分の主治医だったらすごく嫌だなぁ。
先生方、わりと身バレすることはあるんだから気を付けてほしいわ。
意見が合わないのは、相手に原因があるとは限らない!
そういう医師が実際に患者さんたちから何を言われたかはわからないです。もしかしたらものすごくひどいことを言われたのでつい…ということもあり得ます。
でも、だからといって「患者の大半が…」というのはあまりにも乱暴ではないでしょうか?
「意見が合わない」とき、必ず相手が間違っていると決めつけてしまうからこんな言い方ができてしまうのではないでしょうか。
中には、自分と意見が異なる相手を「相手が頭が良くないので理解できないのだろう」という言い方をなさる医師もいらっしゃいますが、これはとても危険な考え方ではないでしょうか。
「大半」という言葉のルーツは中国語で、「90%以上」と明確に決まっているのだそうですよ。つまり「患者の90%以上は…」と言っていることになるわけです。
なるほど、確かに高校時代の学業成績が医師たちのそれよりも「下」であった患者は全体の90%を超えるかもしれません。私もその中のひとりです。
でも、そのことがその患者さんの理解力や判断力などが医師よりも低いことを必ずしも意味しませんし、そこまで「偏差値」が高くなくても論文は問題なく読めます。
ひどい医師になると、自分と意見が異なる医師のことでさえ「あいつは私より偏差値が低い大学を出ているじゃないの(笑)」とおっしゃったのを見かけたことがあります。がっかりしますね…確かにその先生は国立大学医学部卒ですけれど。
同業者でさえ大学のランク(?)で見下すような医師は、まして医師ではない患者のことは内心どのように思っているか考えただけでも嫌な気分になりますよ。
伝え方を工夫することはできるのでは?
多分、中には「ああもう!どうしてこんな簡単なことを理解してくれないの!?」と言いたくなるような理解力の低い患者さんもいらっしゃるのでしょう。
でも、仮にそうだとしても、そこで「相手の頭が良くないのが悪い!」で終わってしまっては何にもならないですよね。どうしたらもっと伝わるのか工夫する余地はあるかも。
誰もが知る国民的医療漫画『ブラック・ジャック』の『ときには真珠のように』というエピソードには「人間が生きものの生き死にを自由にしようなんておこがましいと思わんかね」という名言が登場します。
本間丈太郎先生風に言えば「医師がすべてにおいて最も優れていると思うなんておこがましいと思わんかね」です!!
幸い、私の歴代の糖尿病内科の主治医の先生方はちっとも患者を見下すような方々ではありませんでしたが…もし本当はそんな感じだったらイヤですよね?
たとえあなたに対しては優しい医師だったとしても、他の患者さんたちを見下していらっしゃるとしたら信頼はガラガラと音を立てて崩れ去るでしょう。
もちろんそんな先生ばかりではないはずですが、できれば医クラの先生方、患者のためにも先生方自身のためにもあまり患者を見下すようなことを書かないでくださると嬉しいです。
心のなかで何を思ってもいいけど、書いちゃうのは良くないことがたくさんあるもんね!
誰が見ているかわからないのよ…自分の患者さんたちもね!