糖尿病は遺伝する？
先日の世界糖尿病デーにはSNSで「２型糖尿病が遺伝と関係があるとは知らなかった、生活習慣だけが原因と思っていた」という投稿を見かけました。
誰もが平等に生活習慣が悪くて２型糖尿病になると思われたら困ってしまいます。どんなに大食いしても一生糖尿病にならない方もたくさんいらっしゃいますしね。
では「親が糖尿病だとその糖尿病になりやすい体質は子供に100％の確率で遺伝するのか？」と言われたら、結論から先に言えば「NO」です。
ある特定の遺伝子が原因で発症する「MODY（家族性若年糖尿病）」は常染色体優性（顕性）遺伝、つまり両親のどちらか一方から変化のある遺伝子を受け継いだ場合に、その遺伝子が発現して病気を発症するという遺伝の形を取ります。
MODYの場合はその遺伝子変異を受け継ぐと生活習慣に関係なく発症しますが、片親がMODYの場合に遺伝する確率は50％です。つまり、遺伝しない場合もあるわけです。
１型糖尿病は一般的に遺伝しないと考えられていますが、一部では「１型糖尿病になりやすい遺伝子」が存在し、そこに何らかの後天的な要因が加わって発症すると考えられています。
1型糖尿病も一部遺伝と関係があるなんて知りませんでした。
あまり知られていないみたいね！
2型糖尿病はどうでしょう？
では2型糖尿病の場合はどうでしょう？じつはMODYと違い、2型糖尿病の発症のしやすさに関わる遺伝子は結構たくさんあります。
「この遺伝子が原因！」とはっきりわかるのがMODY、そうでないのが２型でしょうか。中には日本人の糖尿病患者に多い遺伝子もあります。
きょうだいが２型糖尿病だと普通の2～3倍、両親が2型糖尿病だと普通の3～4倍糖尿病になりやすいと言われています。私は父も弟も若年発症していますから、やはりリスクはかなり高かったのでしょうね。
しかし遺伝するとほぼ発症は免れないMODYでさえ、片親から子に遺伝する確率は50％です。言い換えれば遺伝しない確率も50％あるわけで、片親が2型糖尿病の場合はもう少し低いかもしれません。
努力で2型糖尿病を防いだ！？
たまに「私の父は2型糖尿病ですが、私は食事と運動に気をつけているおかげで発症していません！遺伝だからって発症する人は努力が足りないんじゃないですか？」とおっしゃる方がいらっしゃいます。
その方の努力は尊いですが、もしかしたらその方はそもそも遺伝していない可能性もありますよね！だとしたら、よほど不摂生しない限り発症しないのは当たり前かも！？
きょうだいの中でたまたま自分だけが遺伝しなかった可能性は大いにあります。わざわざ遺伝子を調べたわけではないのなら、そんなことわかるわけがないのです。もちろん、遺伝したけど努力で予防している方もいらっしゃると思います。
２型糖尿病予防のために努力するのはとても良いことだと思いますけど、「発症するのは努力が足りなかったせいだ」とは決めつけないでくださいね！
糖尿病と遺伝、奥が深いですね！
親が糖尿病の場合、自分にも遺伝していると思って気をつけるのはいいけどね。
