糖尿病合併症、いったんなるともう手遅れなのか?

糖尿病合併症、いったんなるともう手遅れなのか?

糖尿病合併症の進行を何とかして食い止めなければ!

糖尿病で何が怖いかと言えば、血糖値が高かったり尿に糖が出ること自体ではなくいろいろな「糖尿病合併症」が出てくることですよね。

いわゆる糖尿病予備軍の段階からすでに動脈硬化は起こっていますが、「糖尿病神経障害」「糖尿病網膜症」「糖尿病腎症」と診断されるようになるのはたいていは糖尿病を発症してから何年も経ってからになります。

ペットボトル症候群(ジュースやアイスクリームなど吸収されやすい糖を大量摂取することが続くことによって急激に高血糖になる)のように短期間で血糖値がかなり上がったとしても、すぐに治療すれば合併症にならないままでよくなります。

しかしそうではなく、何年も高血糖を放置していると私のように「糖尿病と診断されたときには糖尿病合併症もあった」ということになってしまいがちです💦

 

糖尿病合併症

↑私の漫画『運動好きの私が糖尿病になった件について』より。作中では「目は大丈夫」と言われていますが、ちょっと遅れて糖尿病網膜症と診断されました。

 

糖尿病合併症は、進行して行くところまで行ってしまうと非常に恐ろしいものです。神経障害が進行すれば種類によって突然死や手足の感覚が無くなったりします。

腎臓の障害が進行すれば腎臓は機能を失い、人工透析をしなければいけなくなってしまいます。網膜症が進行すれば視力を失うこともあります。

とにかく糖尿病合併症の進行を何とかして食い止めなければいけないわけですが、そのためには「血糖コントロール」しかないのでしょうか?それとも、いったん合併症になればもう手遅れ??

 

にゃご
にゃご

ひぇぇ!糖尿病合併症はとても怖いよー!!

よっしー
よっしー

私は糖尿病と糖尿病合併症が同時に分かってとてもショックだったわ!

「高血糖の記憶」が糖尿病合併症をもたらす

毎年、職場で健康診断を受けていて「昨年はセーフだったけど最近甘いものを食べ過ぎていて今年初めて引っかかっちゃった!」という場合、血糖値やHbA1cがかなり高い数値だとしてもおそらく容易に良くなるでしょう。

先ほど紹介した「ペットボトル症候群」では時にHbA1cが2ケタになることもあるそうですが、その後食事療法だけで血糖値が正常化する人も多いんですよね。

ただそうではなく、長期間(年単位)でとても血糖値が高い期間が過去にあった場合、その後どんな手段を用いて血糖値を健常者並みにコントロールしたとしても「過去のツケ」というべき「高血糖の記憶」が長く残り、場合によっては10年後などかなり遅れて合併症をもたらすかもしれないというのです。

 



 

高血糖の記憶に関してはいろいろ考えられていますが、高血糖によって「糖化(体内で糖とタンパク質が結びつく)」が起こり、体内のあちこちにAGEsという有害な物質が蓄積されるせいではないかと考えられています。

このAGEsそのものは簡単に「消える」ことはなく、臓器によってターンオーバー(新しい細胞に入れ替わる)のスピードに差があるのである程度消えていくことも期待できますが、ほとんど入れ替わりのない場所ではAGEsもずっと残っているとか…恐ろしいですね💦

「いま現在、食事療法をさぼっている」からではなく、過去に高血糖の期間が長くあったために、いま頑張っていてもどんどん悪くなっていく…それで腎不全に至った方もいらっしゃるのではありませんか?

 

糖尿病神経障害は血糖コントロールを頑張る!

糖尿病合併症のひとつ「神経障害」はあまりひどくなる前なら血糖コントロールを頑張ることによって比較的改善しやすいと言われています。

私も入院する前には安静時頻脈(運動もしていないのに脈が速い)や足の指先のしびれ、ちくちく感がありましたがこれらは治療開始後1年以内にすべて消えました。

神経に栄養を送る血管が詰まると神経障害の症状が出ることがあるそうですが、そのつまりが解消されると症状も消えます。

 


 

また根本的な解決ではなく対症療法ではありますが、不快な症状を和らげるための薬もいろいろとあります。

ただ、神経障害が進行して痛みを感じなくなったすでに神経が死んでしまっているようで、こうなるともう元通りに治すことは今のところできないのかもしれません💦

現在、障害を起こした抹消神経の再生を促す研究などが進められています。今はまだ無理でも将来、進行した糖尿病神経障害を元通りに治せる日が来るかもしれません。

 

糖尿病網膜症は「完治」はしない?

目薬でよく知られた参天製薬様のサイトには「糖尿病網膜症は、完全に治すことのできない病気です。治療は、症状の悪化を防ぐために行われます」と書かれています。ガーン!!

単純網膜症の場合は、改善する可能性もあります」「初期の単純網膜症なら、血糖コントロールの改善で軽快することもある」…つまり初期段階の網膜症であれば「完治」はなくても「寛解」し得るという理解でいいでしょうか。

先述のAGEs(終末糖化産物)は活性酸素や血管内皮増殖因子(VEGF)を増やし、糖尿病網膜症の発症にかかわっているそうです。

 



 

それならばAGEsは長年の高血糖により何年もの間ずっと残っているので、血糖値が良くなったからと言って簡単に「完治」にはならないのは納得がいきますよね!

完治しなくても「寛解」状態であればとりあえず心配はいりませんが、蓄積したAGEsが一瞬で消えてなくなることはないので、いったん診断されたら油断はできませんね。

対策としては、これ以上新たにAGEsが蓄積しないような食生活、血糖コントロールを心がけ、場合によっては抗VEGF注射やレーザーなどの処置が必要になることもあるでしょうね💦

 

糖尿病腎症は降圧剤を賢く飲む必要がある?

とても意外だったのですが、糖尿病専門医の牧田善二先生のクリニックのサイトにこんな患者さんの話が掲載されていました。

その患者さんはHbA1c5.1と血糖コントロールは完ぺきで、健常者並み!でも腎臓の数値はものすごく悪くて、すでに人工透析が必要なレベルだったというのです。

その人は糖尿病と診断されてからは真面目に頑張って血糖値を良好な状態でキープされていましたが、それ以前のダメージ、10年も前の高血糖のツケであるAGEsが腎臓に蓄積してダメージを与えていたということです💦

なるほど、確かに私も糖尿病を発症してからの期間が長く、なかなか自分が糖尿病だと気づくことができませんでした。


 


だから糖尿病と診断されて血糖値は良くなっても、腎臓や目がなかなかすんなり良くならない人も多いのですよね💦

このような場合、いくら血糖値「だけ」を良くしてもなかなか良くならないそうで、血圧の薬のテルミサルタンによって血圧を下げると同時に腎臓に開いてしまったフィルターの「穴」をふさぐことが可能だそうです…本当に!?

気になる方は上の本を読んでみてください。本には初期段階ならほぼ確実に効果があると書かれていますが…

現在この問題が気になる方は、次の診察で主治医に相談なさってみてはいかがでしょう?特に高血圧の方は気を付けたほうがよさそうです。糖尿病で高血圧だと非常に良くないです💦

 

糖尿病合併症が出てしまうと「手遅れ」なのか?

「糖尿病合併症が出たらもうおしまいです」という言い方をする人もいます。しかしそれは言い換えれば「その人の知っているやり方では糖尿病合併症を劇的に改善することは不可能だ」ということになります。

確かにある程度以上に糖尿病合併症が進行してしまったら、完全に元通りにすることは現代の医学では難しいかもしれません。

糖尿病腎症の件で牧田善二医師が書かれた本を読みましたが、さすがにあまりにも悪化していた方の場合は薬を飲んでも「手遅れ」であり、人工透析を開始するのを少しでも遅らせることで精いっぱいだそうです💦

糖尿病合併症の発症や進行が単に「血糖値」と関係があるだけではなく長年蓄積された「AGEs」によるものである以上、そう簡単に「ハイ完治!」とはいかないのはむしろ当然です。

 

↑私の漫画『運動好きの私が糖尿病になった件について』ラストページ

 

それをもって「手遅れ」と考えるのか「簡単ではないけれど長期戦でじっくりと取り組みましょう」と考えるのか。「完治」ではなくても「寛解」または「それ以上の進行を阻止」できてそれが5年10年それ以上と続けば、実質心配はいらなくなるのでは?

運悪く糖尿病を初期段階で発見できない人もいます。子育てをする専業主婦で、やっと子供の手が離れてパートを始めても正社員ではないので健康診断がなかった私もそのひとりです。

でも、糖尿病合併症が見つかってもその後、人生は続いていくんです。糖尿病合併症を治す方法を知らない人に「合併症になったらもうおしまいです」と言われても困るんですよね💦

すでに糖尿病合併症のある患者にとって、蓄積したAGEsとの戦いは容易ではないかもしれません。しかし、今できることはあるはずです。私はこれからも「できること」を継続するつもりです。

 

にゃご
にゃご

いまできることをがんばるしかないね!

よっしー
よっしー

できれば合併症がこれ以上進行しないようにね♪

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