「ロカボ」で有名な医師・山田悟先生!
皆様は、北里大学北里研究所病院糖尿病センター長でいらっしゃる山田悟医師をご存じでしょうか?
本もたくさん書いていらっしゃる先生なので、当ブログの読者様の中にはすでにファンの方も多いでしょう。
私も山田悟先生の顔写真と「ロカボマーク」がついた低糖質プリンなど何度も購入して食べたことがあります。おいしいですよ!
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山田悟先生と言えば「
ロカボ(緩やかな糖質制限)」のイメージが強いため、
「山田悟先生も極端な糖質制限はダメだと言っている!やり過ぎは危険だ!」と思っていらっしゃる方が少なくないようです。
糖質制限もピンキリで、どこまで制限するかはその方の体調と他の持病の有無と考え方と色々な要素が絡んでくるので「人による」んですけど、山田先生がおっしゃっていないことを「山田先生もこう言ってる!」と利用されては困りますね。
山田悟先生は一部の方がおっしゃるように「極端な糖質制限」に本当に反対なさっていらっしゃるのでしょうか?今回はそんなお話です。

にゃご

よっしー
糖尿病専門医の中でもいち早く糖質オフに注目なさった先生なのよ。
メディカルトリビューンで連載されている山田悟先生
会員登録しないと読めない記事で申し訳ないのですが、医師ではなくても会員登録できる(医師以外は一部機能に制限あり)医学・医療ニュースサイトの
「メディカルトリビューン」で山田悟先生が
連載をなさっています。
この連載は10年前から続いており、11年近く前に糖尿病と診断された私は医師の方から勧められてずっと山田先生の連載を読んでいました。
他にもたくさんの記事があるのですが、ざっくり言うと「最初はケトン体が出るような極端な糖質制限は危険だと思って反対していたが、だんだんケトン体は安全で臓器保護効果など良い効果がたくさんあることが分かってきて、極端な糖質制限をしても特別にケトアシドーシスなどのリスクが上がるわけでもないと分かったので今では患者本人が希望すれば極端な糖質制限も許可している」ということです♪
ただし、この食事方法は辛くて続けられない人も多いので「自分から積極的に患者に勧めることはしない」とも。
どうですか?現在の山田悟先生は決して「ケトン体が出るような極端な糖質制限は危険だ!」とは考えていらっしゃいません。あまり詳細に書きだすわけにはいかないので、本当かどうか知りたい方はこの機会に会員登録してお読みください。
山田悟先生を紹介するサイトは多いですが、もしかしたらかなり古いもので、ずっとアップデートされていないからそれを読んだ方が「今もそうなのだ」と誤解なさることはかなり多いのではないでしょうか。
「危険だから勧めない」のではなく「継続できない人も多そうなのであえて勧めはしないが、やりたい患者さんには反対しない」ということ。私の前の主治医もまさにそういう感じでしたね。
糖尿病対策よりもっと極端な「ケトン食」は保険適用!
一般的に糖尿病患者が行っている糖質制限食よりさらに極端とも言えるのが、難治性てんかんのお子さんなどが行う「ケトン食」です。
てんかんは脳の神経細胞の電気信号の乱れから発作を繰り返す病気です。必ずしも薬で発作が止まるとは限らないそうです。
ケトン食は糖質をきっちり制限するだけではなく、脂質を多く摂取してタンパク質は適量に抑え(タンパク質の比率が多すぎるとケトン体が増加しにくくなるため)ケトン体がたくさん作られるようにする食事法です。
ケトン体が脳の神経細胞に作用し、てんかん発作を抑制すると考えられています。複数の抗てんかん薬を飲んでも発作が止まらない患者が、ケトン食で発作が減ったり止まったりする効果が期待されるそうです。

難治性てんかん 糖質減らした「食」で挑む - 日本経済新聞
難治性てんかん患者を対象に、糖質摂取を極端に減らした「てんかん食」による治療が4月、保険適用された。約100年前に考案され、抗てんかん薬の登場で廃れかけたが、薬が効かない患者への有効性が再評価された。ただ厳しい食事制限を生涯続けなければなら...
この「ケトン食」はタンパク質の制限もある食事法で、なおかつ成長過程にある小児に行うことが多いので医師の指示の下で注意しながら行う必要がありますが、日本では平成28年に「てんかん食」として保険適用になっています。
小児に対してかなり大量にケトン体が生成されるような「ケトン食」でさえ保険適用になっているのに、それより緩い成人対象の「糖質制限食(江部康二先生がおっしゃるところのスーパー糖質制限食)」が果たしてそこまで危険なのか?と思いますよね。
もちろん先天的な疾患や糖尿病の状態が悪化(血糖値を上げるシステムまで弱っていたり、ホルモンを分泌する腫瘍や腎機能悪化などで低血糖になりやすいなど)して糖質制限が向かない方はいらっしゃるので主治医への相談は大事ですけど、周囲の医師でもない方が主治医の許可を得てやっている人たちに対して「糖質制限は危険だ!」と言うのは何か違うと思うのです。
一般向けには言いにくいこともあるんです
山田悟先生だけに限ったことではありませんが、いわゆる一般人向けの記事や本では無難なことしか書きにくいというのはあると思いますよ。
前の前の主治医も「あなたはいいけど、よく理解していない人には怖くて糖質制限はさせられない。認知機能が低下している人なんかもね。何かあったら対処できないから」とおっしゃってました。
山田先生にしても、一般向けには「ロカボ」だけを推奨なさっているように見えるかもしれないけど、メディカルトリビューンのような専門的なニュースサイトでは本当のことを書いていらっしゃいます。
9~10年ぐらい前は糖質制限派の中には「山田悟先生は中途半端なことしか言わないから駄目だ」と先生を悪くおっしゃる方もいらしたのですが、私はある時ふと「山田先生は賢い方だな」と思いました。
私も糖尿病の医療漫画を商業出版した経験があるので「商業となると本音を100%書ける(描ける)わけではない」ことはよくわかっています。
いろいろな理由から一般向けの情報は「ぬるい」ものになる傾向があるのに、それしか知らずに「ほら!極端なのは危険だ!」と言うのは残念なことです。
もっとも、どこまでやるかは個人の自由であり、自分よりストイックorにゆるゆるにやっている人がいるからと言って主治医でもないのに余計な干渉はすべきではありません。

にゃご

よっしー
みんな主治医と相談したうえで自分がやりたいようにやればいいのよ。