インスリンが出過ぎるとがんになりやすい!?
これまで当ブログでも何度も取り上げていますが、血糖値を下げるホルモン「インスリン」が健康な人よりずっと大量に出ている状態、つまり「高インスリン血症」は健康上さまざまな問題を引き起こします。
生まれつきインスリンが出過ぎて低血糖になる病気も稀にありますが、細胞がインスリンのに反応しにくくなる「インスリン抵抗性」が原因で高インスリンになることが多いです。
インスリンが効きにくいので、健康な人よりたくさんインスリンを出して(またはインスリンを注射して)血糖値を下げることになります。
インスリン抵抗性がある人の場合、インスリンは血糖値を下げるには不十分でも、食べ過ぎた糖を体脂肪として蓄えたり動脈硬化を進行させたりするには十分だったりするのが困るところですよね。
そして困ったことに、高インスリンは「がん」のリスクも上げます。私は11年近く前に糖尿病と診断されましたが、当時の主治医から「糖尿病患者さんはがんになりやすいから気を付けてね」と言われたことがあります。
しかし「なぜ糖尿病だとがんになりやすいのか?」は教えてもらえなかったので後で自分で調べてびっくりしました!

ただ「気を付けてね」と言われても何をどうしたらいいか分からないですね…!

そうでしょう?だから勉強しようと思ったの。
糖尿病患者のがんリスクが高いのは血糖値が高いから?
「えっ?糖尿病患者のがんリスクが高いのは血糖値が高いせいでしょ?インスリンは悪くないよ!」と思われる方もいらっしゃるでしょうね。
確かに、高血糖により「酸化ストレス」が増加すると、染色体がダメージを受け、正常細胞ががん化されます。さらに、高血糖自体が細胞増殖のエネルギーとなり、がん化した細胞の増殖が促進されるのだそうです。
高血糖はがんの原因になりますが、高血糖「だけ」ではありません。いくつかのがんにおいて、血糖値が同じでも血中インスリン濃度が高いとがんのリスクが高くなることが分かっています。

つまり「高血糖も高インスリンも、どちらもがんリスクを上げる」というわけです。真に健康な方(ここでは耐糖能異常が皆無の方という意味)では高血糖も高インスリンもないですからね。
「それって2型糖尿病の話でしょ?私たちはインスリンを打てば何でも好きに食べていいし」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし1型糖尿病患者を28年超追跡してがんの発症率を調べ、危険因子について検討したところ、1日当たりのインスリンの使用量が多い患者ほどリスクが増加する傾向が見られたとのことです。

インスリン抵抗性がなくても、大量にインスリンを注射する(または大量にインスリンが分泌される)生活はがんリスクを上げるということですね。
「甘いものや糖質をいっぱい食べても、その分インスリン注射をして血糖値を下げれば大丈夫」とは言えないわけです。
糖尿病と診断されてなくても高インスリン状態!?
まだ糖尿病と診断されていなくても高インスリン状態になってしまっている方はいます。もしかしたら「糖尿病の前段階」なのかもしれません。
私のようにいわゆる糖尿病家系だと早期からインスリン分泌不全になりやすいですが、そうではない方の場合はインスリン抵抗性になっても大量にインスリンを分泌できるので、どんなに食べ過ぎてもただ太るだけでなかなか糖尿病とは診断されなかったりします。
インスリン分泌能力が高い人は糖尿病にはなりにくいかもしれませんが、高インスリンによるその他の健康被害は受けますので、がん・高血圧・動脈硬化・脳や心臓の疾患などにはくれぐれもご注意を。
また先日90歳で亡くなられたアメリカのバーンスタイン医師は、HbA1c5.8(血糖コントロールが良い状態)でも糖尿病合併症になった患者さんを診たそうです。やはり血糖値さえ良ければ万事問題ないというわけではないようです。
高血糖と高インスリンの両方を避けるには?
ヒトはいつか必ず死ぬので「病気にならない生活を」とこればかり考えて生活するのは面白くないかもしれません。
その一方で「しんどくない範囲内で、気を付けられることは気を付けたい」と思う方もきっといらっしゃるでしょう。
高血糖、高インスリン、いずれもがんリスクを上げます。そして低血糖も眼底出血や睡眠中の突然死などのリスクを上げます。高血糖・低血糖・高インスリンのいずれも起こりにくくするにはどうしたら良いでしょう?

やるかどうかはその人の自由ですが、事実は知っておくべきですね!

ええ、そう思うわ!




