糖尿病になりやすい体質は遺伝子が決めている?
みなさんは「糖尿病と遺伝」についてどのようなことを耳になさったことがあるでしょうか。「2型糖尿病になりやすい体質は遺伝しますが、生活習慣に気を付けていれば発症しません」などとよく言われますよね。
私は上記を真に受けて「そっか、お父さんが2型糖尿病だけどバランスよく食べて運動もしていれば私は糖尿病にはならないんだ♪」と思っていたのに結局ダメでした…
2型糖尿病の原因となる遺伝子異常は何種類か見つかっていますが、 はっきりと「この遺伝子の異常のせいだ」と特定できる例は稀で、 遺伝子異常がいくつも積み重なることによって糖尿病になりやすい体質を作っている例が多いそうです。
このため「糖尿病の遺伝」といってもかなり複雑で、 糖尿病になりやすい体質もピンからキリまであるものと思われます。
糖尿病家系といっても、少し生活に気を付ければ糖尿病発症を予防できる場合もあれば、相当気を付けていても発症してしまう場合もあるでしょうね。
そして「ある日突然運悪く発症する」というイメージのある1型糖尿病も、発症しやすい体質というものがあって遺伝子が関わっているそうなのです。
家族の中に1型糖尿病患者と2型糖尿病患者が両方いる場合もあるんですって。私も複数の方の例を聞いたことがあります。
遺伝子…というとちょっと難しそうなお話ですにゃー。
私のブログではそんな難しい話はしないから安心して♪
1型糖尿病と遺伝
1型糖尿病は、すい臓のインスリンを分泌する細胞(β細胞)が破壊されてしまいインスリンを分泌できなくなる病気です。
本来は大切な自分のβ細胞を誤って攻撃してしまう自己免疫疾患で、感染症にかかったことがきっかけになることもあります。
北欧では子供の1型糖尿病は日本の30倍も多く、また2型糖尿病ほどではありませんが1型糖尿病の親の子供はそうでない子供よりは発症率が高いそうなので、遺伝子が1型糖尿病の発症のしやすさに何らかのかかわりを持っていることは間違いないでしょう。
生まれ持った遺伝子配列によって、β細胞が誤って敵だと認識されやすいケースというものがあるようです。
それに加えてβ細胞に強いストレスがかかるような状況では、β細胞はどんどん死んで新しいものと入れ替わる必要があり、このスピードがあまりにも早いと誤ってβ細胞が敵であると認識されてしまうのではないかと言われます。
この話はかなり難しいですが、興味のある方はカルピンチョ先生のブログ記事をぜひじっくりとお読みください。
1型糖尿病を発症しやすい遺伝子というものがあり、その体質に加えて何らかの後天的な要因(ウイルス感染や精製糖質を大量に食べる食生活を続けるなど)が加わった時に発症しやすくなるのではないかとカルピンチョ先生はおっしゃっています。
ちなみに、「2型糖尿病患者は肥満が多いが1型糖尿病患者は痩せている」と思われがちですが、日本人患者の2018年のデータでは1型糖尿病患者の平均BMIは23.12で2型糖尿病患者は24.79です。
体脂肪率、筋肉量などによって評価が変わってくるとは言え、いわゆる標準体重がBMI22でBMI25未満は正常であることを考えると、1型と2型にそれほど大きな差があるとは言えない気がします。
また1型糖尿病なのに2型糖尿病と誤診される例や、最初は明らかに2型糖尿病であったのが途中で1型糖尿病に移行した例、2型糖尿病を治療中に劇症1型糖尿病を発症した例もあるそうです。
私は当初「あなたは1型糖尿病かもしれない。抗GAD抗体の検査が陰性でも1年後とかに1型糖尿病と判明する可能性もゼロではない」と前の主治医から言われていました。
1型糖尿病と2型糖尿病は、お互いに「自分たちとは違う!」と言い切れるようなものではないのかもしれませんね。
2型糖尿病と遺伝
2型糖尿病ではすい臓のβ細胞から分泌されるインスリンの量が不足していたり、インスリンは十分に分泌されているのにその「効き」が不十分であるために血糖値を十分に下げられない病気です。
欧米の方は高度肥満によってインスリンの効きが悪くなるタイプの方が多いのです。ところが日本人の場合はインスリン分泌不全がある方や少し太っただけで発症する方がかなり多いとのこと。
一般的に肥満や喫煙、極端な運動不足などがインスリン抵抗性(インスリンは分泌されているのに効きが悪くなること)を引き起こすと言われています。
しかしある種の遺伝子の異常がインスリン抵抗性と関わっていることが明らかになってきています。まだ分かっていない部分もあるでしょうね。
2型糖尿病の発症につながりやすい遺伝子というものはじつはかなりたくさんあって、太りやすくなる遺伝子やインスリン抵抗性、インスリン分泌不全にかかわる遺伝子などじつにたくさんあるようです。
これらの遺伝子の組み合わせで「ちょっと2型糖尿病になりやすい人」から「めちゃめちゃ2型糖尿病になりやすい人」まで差が出るのでしょう。
また一卵性双生児では遺伝子が100%一致していますが、同じ両親から生まれた子供でも普通のきょうだいは完全に同じ遺伝子を持っているわけではありません。
私の弟はもともと運動がキライで、1度もスポーツクラブに入会したこともなく外食も大好きでかなり太っており、糖尿病と診断されて糖質制限とウォーキングのみで20キロ痩せたら糖尿病が寛解しました。今はある程度普通にご飯を食べているそうです。
ところが父と私は残念ながらそうではありませんでした…特に父はまじめな性格で、糖尿病になるとすぐにジムに入会して熱心に水泳や筋トレ、カロリー制限に励んでいたのに💦
母は夜ドラマを観ながら麦チョコなどをつまんでも一向に糖尿病にはなりません。母方の祖母も甘いものが好きでしたが糖尿病になることはありませんでした。
弟は母方の血を多く受け継いでいて、不摂生によって発症したタイプなのかもしれません。私は父に似たようです。一口に2型糖尿病体質の遺伝と言ってもずいぶん幅があるのではないでしょうか?
特定の遺伝子異常が原因だとわかっている糖尿病
糖尿病の中には、普通の1型糖尿病とも2型糖尿病とも異なる分類の糖尿病がいくつか存在しています。
「MODY(若年発症成人型糖尿病)」は糖代謝にかかわる特定の遺伝子異常が原因で若いうちに発症する糖尿病で、13種類の原因遺伝子が発見されています。
25歳以下で発症することが多く、抗GAD抗体は陰性です。タイプによって薬を使わなくてもカロリー制限や運動だけで血糖コントロールできる軽症例から1型糖尿病と同じようにインスリン注射が不可欠になるタイプまで幅広いそうです。
私もMODYかもしれないと知り合いの医師から言われたことがあるんですけど、遺伝子検査をしないとわからないので真相はいまだに謎です💦
「ミトコンドリア病」は指定難病になっている病気で、細胞のエネルギー工場と言われるミトコンドリアの機能に障害があるためにさまざまな症状が引き起こされる病気です。
ミトコンドリア病による糖尿病の場合、他にも全身でさまざまな症状が現れるのでそれらをきっかけに診断されることもあるようです。
「私は大丈夫」と思わないで…
現在糖尿病ではない方でも加齢とともに糖尿病を発症する方が増えますし、もともと糖尿病になりやすい体質を持ちながら発症していなかった方でも妊娠やステロイド剤内服によって耐糖能異常が起こることがあります。
1962年に日本で行われた調査によれば、ステロイド剤を投与された患者の7.3%が糖尿病を発症したそうです。
早期にステロイド服用をやめて糖尿病が寛解した例もありますが、残念ながらステロイドをやめても糖尿病が治らない場合もあるんですって💦
日本人であれば「自分だけは絶対に大丈夫!」と言い切れる人は少ないのが糖尿病ではないでしょうか。
生まれ持った遺伝子を変えることは今のところまだできません。だから遺伝子に合わせた生活をしていくしかありませんよね。
よくわかりましたにゃー。ぼくも遺伝子に逆らわない生活を心がけますにゃあ。
そうね!自分らしく無理のない生活がいいわ。