私は10年前に糖尿病と診断された時すでに「糖尿病腎症です」と言われました。糖尿病を発症してから腎症になるまでには何年もかかりますから、次男を産んでわりとすぐ糖尿病に移行していたのでしょうね。
入院時はタンパク尿(3+)潜血(2+)で非常に不安になりましたが、おそらく糖尿病性ケトアシドーシスだったので一時的にかなり出たのでしょう。
その後はたまにタンパク尿(+)が出るぐらいで、続いたり増えることはなく、タンパク質制限は全くしていませんが腎症は10年経っても進行はしていないようです。ありがたいことです。
さて。
「糖質制限は高タンパクだから腎臓に悪い!」と主張なさる方はよく見かけます。確かに腎臓は食事から摂取したタンパク質を代謝して老廃物を尿として排泄しますので「たくさんタンパク質を摂取すると腎臓への負担が増えるのではないか」と思うのは当然ですよね。
しかし一般人よりかなりタンパク質を多く摂取するボディビルダーや糖質制限実践者が皆腎臓が悪くなるわけではないことから、単純に「タンパク質のとりすぎが腎臓を悪くするのだ」と言う事が出来ないのは明らかでしょう。
そもそも「糖尿病腎症」になるのはタンパク質が原因ではないですよね?あえて言うなら長年の糖質過剰摂取でしょう、慢性の高血糖によって糖尿病腎症になるわけですから。
甘いものを食べた後に自己血糖測定を行えば「ああ、こんなに血糖値が上がるんだ」と因果関係はすぐに分かりますけど、タンパク質摂取が腎臓に悪影響を与えているかどうかを自分で知ることは非常に困難ですよね。食事とは関係ない腎臓病もありますし。
↑↑↑糖質制限を実践しながらフルマラソン、ウルトラマラソンにも出場なさっているドクターシミズこと清水泰行医師の最近のブログ記事です。
記事中でたいへん興味深い研究が紹介されていました。すでにある程度腎機能が低下した2型糖尿病患者に2年間ケトン食と通常の糖尿病食をしてもらい腎機能の変化を調べたものです。
なんとケトン食では腎機能が改善し、通常の糖尿病食では腎機能が低下したそうですよ。それも「ちょっとケトン体が増えた人たち」より「かなりケトン体が増えた人たち」でより改善が見られたんだそう。
ケトン体は昔はよく分かっていなくて「危険!」なんて言われてましたが、近年、心臓や脳に加えて腎臓への保護効果も分かってきました。
慶應義塾大学病院腎臓・内分泌・代謝内科の先生方は2019年すでに下のように発表しておられます。今まで分からなかったことが今後はどんどん明らかになるでしょう。
今回、我々研究グループは、ケトン体の1つであるβ-ヒドロキシ酪酸をポンプを用いて直接投与することによって腎虚血再灌流障害が改善することを見出しました。低炭水化物食などの食事や薬剤などにより、β-ヒドロキシ酪酸の血中濃度を上昇・維持させることができれば、急性腎障害に対する新しい治療戦略になりうる可能性があります。【ケトン体(β-ヒドロキシ酪酸)による腎保護作用のメカニズム 田島敬也、脇野修、伊藤裕 (腎臓・内分泌・代謝内科)より引用】
でも、やるかどうかは個人の自由。すでに腎機能がかなり低下していたり、他の病気をお持ちだったりでどうしても糖質制限が合わない方はいらっしゃるので、自分の主治医に相談しましょう。
そして清水泰行医師のブログはコメント欄が開放されていますので、疑問点がある方は質問を投稿してはいかがでしょうか?
脂質制限をしている方が腎臓が悪化したら「脂質制限のせいだ」とは言われないのに糖質制限している場合は「糖質制限のせいだ」と決めつけられがちなのは変だと思います。思い込みではなく原因をはっきりさせることは大切ですよね。
なんとなく「タンパク質は腎臓に悪いんだ!」と言い続けるより、医師に疑問点を話すほうがスッキリすると思いますよ♪
なんとなく腎臓に悪いんだって思っているのはもったいないね。
その人ごとにやれるかどうかは異なるので医師に相談してほしいわね!