なぜ8人に1人の妊婦が妊娠糖尿病になってしまうのか

なぜこんなに多くの女性が妊娠糖尿病になるのか

現代日本では妊婦さんの8人にひとりが妊娠糖尿病になる

私が初めて耐糖能異常を指摘されたのは20代半ばの頃、長男を授かった時でした。その前の妊娠が稽留流産に終わったこともあり、赤ちゃんに良くないことは可能な限り避けていました。

だからお菓子も食べずジュースも飲まず、食事は玄米・魚・味噌汁・野菜・納豆のような健康的な内容で散歩を心がけ、妊娠7か月の終わりまでジムの仕事も続けていましたから運動不足はありません。

出産までに増えた体重は、ほぼ赤ちゃんと羊水の分だけでした。それなのに妊娠糖尿病になっちゃったんですよね…同時期に妊娠していた同僚はチョコレートを食べてて何ともなかったのに。

妊娠糖尿病ですねと言われたときは、「ああ…お父さんが糖尿病だからやっぱり私も遺伝で糖尿病になったんだ。頑張ってもダメだったんだ」とガッカリしました。

 

なぜこんなに多くの女性が妊娠糖尿病になるかというマンガ

 

今この記事を読んでくださっている皆さん、妊娠糖尿病になる女性はどんな方だと思いますか?みんな太っていて大食いでお菓子大好きな人だと思いますか?

なんだかおかしいと思いませんか?日本では約12%(8人にひとり)の妊婦さんが妊娠糖尿病になりますが、自然界でこんなに高い確率で女性たちが病気になることなどないでしょう?

だってインスリン注射なんて野生動物たちは使いませんし、昔のヒトも使うことは出来ませんでしたよね。

「妊娠糖尿病?インスリン打つから平気」ではなく、そもそもなぜこんなに妊娠糖尿病になる方が多いのかを考えてみませんか?

 

にゃご
にゃご

オレたち猫の世界では、野生で妊娠糖尿病なんて聞いたことがないニャア。

よっしー
よっしー

特別食べすぎた人だけがなるのならともかく、この確率は明らかに異常だと思うわ!!

 

妊娠糖尿病ってどんな病気なの?

妊娠糖尿病とは、「妊娠中にはじめて発見または発症した糖尿病とまでは言えない糖代謝異常」です。

妊娠すると胎盤から出るホルモンがインスリンを効きにくくします。だからそれまでよりも大量にインスリンを分泌しなければ正常血糖値を維持できないのです。

もともとインスリン分泌能力が高くない女性は、この変化に体がついていけなくなって妊娠糖尿病になるんですよね。

産後は正常型に戻る女性も多いですが、そのまま境界型糖尿病になったり、数年後に糖尿病になる女性も多いです。

もともと糖尿病だった女性が妊娠した場合は「糖尿病合併妊娠」と言い妊娠糖尿病とは区別します。自分が糖尿病だと気付かずに妊娠することもありますね。

75gOGTT(経口ブドウ糖負荷試験)において次の基準の1つでも当てはまると妊娠糖尿病と診断されます。

「空腹時血糖値≧92mg/dL」・「1時間値≧180mg/dL」・「2時間値≧153mg/dL」私は長男妊娠時、空腹時血糖値と1時間値が上の基準をオーバーしていました。

 



 

また、「空腹時血糖値≧126mg/dL」または「HbA1c値≧6.5%」のどちらかにあてはまる場合は「妊娠中の明らかな糖尿病(妊娠前に見逃されていた糖尿病、妊娠中の糖代謝の変化の影響により起こった重い糖代謝異常、妊娠中に発症した1型糖尿病)」だそうです。

私は次男妊娠時、後期にHbA1c6.2(現在の基準に直すとHbA1c6.6)でしたが、これって「妊娠中の明らかな糖尿病」ですよね…

そして糖尿病網膜症がある場合は、妊娠前にすでに糖尿病を発症していた「糖尿病合併妊娠」と考えられるそうです。

 

妊娠糖尿病で治療をきちんとしていないとどうなる?

妊娠糖尿病で治療をきちんと行えていないと、赤ちゃんは巨大児になったり逆に発育不全で小さくなることがあります。

それもただ体が大きいとか小さいというだけではなく、体が大きくても肺がうまく働かないので生まれた後に呼吸困難になることもあります。

私は次男妊娠時、前回も妊娠糖尿病だったにも関わらずなぜか医師からずっと何も言われずに経過してしまい(妊婦健診時に1度も尿糖が出なかったせい?)ほぼ放置状態でした。

だから妊娠後期になって胎児が急速にデカくなり始めて慌ててHbA1cを検査しても、時すでに遅しだったのでしょうか。

 

 

医師からインスリン注射の話も出ず、とにかく「カロリーに気を付けてください」としか言われず、少食を心がけて自分の体重はまったく増えないのに胎児は大きくなり続けました。

そして帝王切開で産まれた次男はすぐに呼吸困難に陥り、1週間ほど人工呼吸器を装着していました。NICUから出られたのは1か月後です。

妊娠糖尿病、ことに重症の妊娠糖尿病では、医学の手を加えなければ赤ちゃんは命を失う可能性もあるわけです。これが自然の摂理だとはとても思えないのですが…

「昔の女性は妊娠中も労働していたから血糖値が上がらなかったのだろう」とおっしゃるかもしれませんが、私も立ち仕事やら徒歩通勤やらでかなり体は動かしていたんですけど…

 

現代の「普通」と思われている食生活が間違っている?

妊娠糖尿病は、母子ともに命を失う可能性もある危険な状態です。自然界において、12%もの高い確率でこのようなことが自然に起こるのはどう考えてもおかしいことです。

だって生存上、めちゃくちゃ不利なことじゃないですか…胎盤からホルモンが出るからしょうがない、などと言われても納得ができませんよね。

妊娠前は大丈夫だったのに妊娠すると耐糖能異常を生じる女性がこんなに多いのはつまり、現代のみなさんが「普通」と思っている食生活は、かなりすい臓への負担が大きい食事なのでは?

妊娠前はなんとか糖尿病にならずにギリギリの線で正常値をキープできていても、妊娠してインスリンの効きが悪化して限界を超えてしまうのでしょう。

妊娠中は、非妊娠時と比較して正常血糖値をキープするために1.5~3倍のインスリンが必要になるそうです。妊娠週数が進むほど、必要量は増えます。

 

 

アルコール分解酵素を多く持たないために生まれつきお酒を飲めない体質の方がいるのと同じで、インスリン分泌能力が低いのは生まれつきです。この能力を「鍛え」て2倍にすることなどできません。

大量の糖質と脂質を食べる食生活(脂質単独摂取では問題にならなくても、2つを同時摂取すると余った糖質と脂質はすべて体脂肪になります)が現代の食生活です。

たまたま余分なエネルギーを皮下脂肪にたくわえる能力が高い人、インスリンを大量に分泌できる体質の女性であればセーフかもしれませんが、そうでない女性は妊娠糖尿病になってしまいます。

もともとインスリン分泌能力が低い方は、高度肥満になる前に脂肪肝などになりやすく、糖尿病を発症してしまいます。だから細い方も妊娠糖尿病や糖尿病になるんですね。

 

糖質制限指導を行う産婦人科が増えてほしいです

お腹の赤ちゃんの体を作るのは、脂質やタンパク質です。それからビタミンやミネラルも。お母さんが赤ちゃんの体を作る材料を十分に食べなければ、赤ちゃんは困ってしまいます。

みなさんの体験を聞かせていただくと、病院ではカロリーのつじつまを合わせるためにとにかくたくさんのご飯を妊娠糖尿病の妊婦さんにも食べさせているようですね。

お母さんが低血糖になると、確かに危険だと思います。でも、肉や魚をきちんと食べている限り健康な妊婦さんは低血糖にならないんですよ?低血糖は、インスリン注射をしている方に主に起こることです。

 

 

千葉の宗田マタニティクリニックでは、妊婦さんたちは通常食と糖質制限食のうち好きな方を選択することができるのだそうです。

上の画像は宗田マタニティクリニック様のサイトからお借りしました。この糖質制限給食、とっても美味しそうですね~!!

そして、最初の妊娠はインスリン注射で何かと苦労したのに2度目の妊娠はインスリンなしで順調に何ごともなく済んだ方、たくさんいらっしゃるんですって。

妊娠中は、赤ちゃんが必要としている栄養をしっかり摂取しなければいけません。非妊娠時よりもエネルギーも当然たくさん必要になります。

 

 

でも、そのエネルギーはすべての方が「糖質」から摂取しなければいけないわけでは無いんです。青魚や脂の多い肉などからで何も問題ないんですよね。

妊娠糖尿病でも、インスリン注射をしていれば好きなものはなんでも食べられます。その方法を選択する妊婦さんがいらっしゃっても別にいいと思います。

しかし、この機会にこれまでの食生活を見直して赤ちゃんと自分の将来のために糖質制限で頑張ろうと思う妊婦さんも増えてきています。

そんな妊婦さんたちひとりひとりに合わせた食事指導を行うことができる医師や管理栄養士の方が今後増えていき、全国どこに住んでいても同じように指導を受けられる日が来ることを願ってやみません。

 

にゃご
にゃご

妊娠していない時はセーフでも、妊娠して初めて問題が表面に出てくることもあるんだよな、気をつけないとニャア。

よっしー
よっしー

もともとの体質は変えることができないんだからそれに合わせた食事をするべきね♪

 

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