標準治療で右目を失明したきいちゃんを覚えていますか?
以前『糖尿病合併症で失明した患者の深い悲しみを理解して…』という記事を書いたことがあります。皆のためにとても辛い体験を話してくれたきいちゃんに感謝しています。
きいちゃんは私と同じくお父様が2型糖尿病で、従来の糖尿病治療(カロリー制限+DPP-4阻害剤)で糖尿病網膜症が悪化し、右目を失明してしまったのです。
その後、糖質制限に理解のある糖尿病内科と眼科にかかり、残された左目の視力を守るために頑張っていたきいちゃん。最近目の状態は安定していたそうです。
ところが昨年の暮れ、腎盂腎炎から体調を崩したきいちゃんはごく普通の病院に入院する羽目になりました。
病院の医師は糖質制限には大反対で、とにかく「ご飯を食え!」の一点張り、ビタミンサプリもすべて禁止だったそうです。
病気だから血糖値が高くなっており、点滴にインスリンを混ぜたものを打たれていたそうです。そしてなんという薬か分からない薬を飲まされていたそうです。
きいちゃんが看護師さんに「これは何という薬ですか?」と質問しても「さぁ…」と言われて薬の名前は教えてもらえなかったそうです。実は薬はDPP-4阻害剤でした。
きいちゃんはかつて、DPP-4阻害剤で眼底出血を起こしました。私も糖尿病が発覚して入院したときは「眼底は正常です」とはっきり言われたのに、インスリンとDPP-4阻害剤を使用し始めてから間もなく眼底出血したので使用を中止したのです。
そんなことってあるんですね💦
もちろんみんながそうなるわけじゃないけど、実際に一部の人はそうなっているんだもの…
きいちゃんの入院中の経過とその後…
きいちゃんは普段は糖質制限をしていたのに、入院中は病院食を食べてインスリンを打たれていました。1日当たり30単位ぐらいだそうです。
そして説明なくDPP-4阻害剤も飲まされていました。薬は看護師さんが袋から出して飲ませていたそうです💦
タンパク質の制限された食事のせいか、きいちゃんは入院中肌がカサカサになってしまったそうです。
同室のおばあさんは、病気で血糖値が上がっているのに「お菓子でも食べているんじゃないの?」と決めつけられて責められていたそうですよ。なんだかなぁ💦
きいちゃんは目の痛みを感じ「もしかして眼圧が上がっているのでは?」と不安になり退院後にいつもの眼科を訪れました。
すると、緑内障の手術をしてからずっと安定していた左目に新生血管が出てきて眼圧が爆上がりしており、手術をやり直さなければいけないことになったそうです。。
「ずっと良い状態で安定していたのにね」と眼科のスタッフもとても悲しんでいる様子だったそうです。
とにかく、きいちゃんの左目がまた良くなることを祈るばかりです。私も糖尿病網膜症とそれに伴う黄斑浮腫、高眼圧がありますので決して他人事とは思えません…
冷たく突き放す医師たち
インスリン注射やDPP-4阻害剤で誰もが糖尿病網膜症が悪化するわけではありません。そりゃそうでしょう💦
ただ残念ながら、少数かもしれませんがそうなってしまう患者が存在するのは確かです。インスリン注射による治療を開始して眼底出血した例もあります。
手持ちの医師向けの医学書『糖尿病ワンポイントアドバイス』にもこれとは別の女性患者さんの症例が紹介されています。
糖尿病と診断されたときの彼女は網膜症は軽度で、治療をさぼって放置していたので血糖値はかなり高かったそうです。
ところが心を入れ替えて入院してインスリンによる治療を開始したら明らかに網膜症が悪化し、それまで無かったタンパク尿が出るようになったんですって💦
症例の紹介は「糖尿病治療に関わる者として、少なくとも医原性の合併症は作りたくないものである」と〆られていました。もちろん、これをお書きになったのは経験豊富な医師です。
ああそれなのに、「インスリンやDPP-4阻害剤で眼底出血が起こるわけがない」と決めつけて否定する若い医師たちもいらっしゃいます。
誰とは言いませんが、以前ツイッターで見かけたある医師は水野雅登医師の「糖尿病で眼底出血する理由」という記事を「インチキだ」と誹謗中傷なさっていました。
少数かもしれませんが、インスリン注射やDPP-4阻害剤で網膜症が悪化する患者が存在するのは事実です。もしかしたら最近は医学部でそのことは習わないのでしょうか?
そういう患者の訴えを「気のせいだ」「たまたまそのタイミングで悪化しただけだ」と決めつけ、そういう患者たちを救おうとなさる医師を「金儲けのためにインチキなことを言っている!」と決めつけるのはとても残念なことです💦
ただ幸いなことに、同じ医師たちの中にも「こんなことがあってはならない」と考えてくださる方たちももちろんいらっしゃいます。
前回のきいちゃんの記事をSNSで拡散してくださる医師や、今回の件に関して医薬品副作用被害救済制度を利用してはどうかと提案してくださる医師もいらしたそうです。
もう2度とこんなことがあってはならない!
このごろネットで医師たちが「トンデモ医療撲滅キャンペーン」的な活動を行っていらっしゃいますよね。
確かに、明らかに効果がないと分かっていて危険性が高い「トンデモ医療」を施して高額の治療費をとるインチキなクリニックは許しがたいと思います。
でもね、じゃあ「標準治療」とされている方法で今回のきいちゃんのような良くないことが起こった場合、誰が助けてくれるんですか?
「たまたま運が悪かっただけです!」と言って冷たく突き放すような医師は、本当に私たち患者の気持ちに寄り添おうとする「善良な医師」と言えるのでしょうか。
医学はまだまだ未完成だと思います。そのことを認めて「現在最善とされている治療法でもよくないことが起こることはあるし、そういう患者たちを救わなければ」と思ってくださる医師にはひたすら感謝です。
現在分かっていることだけがすべてだと思ってそれ以外をすべてインチキと決めつけて批判するのは困ります。それでは今のやり方で救われない患者を見捨てているのと同じですよ!
どんな薬にも必ず一定の割合で副作用は出てしまいます。だからといってそれを使用しないわけにはいきませんよね。リスクとベネフィットをよく考えて慎重に使わなければ。
私が言いたいのは、製薬会社がイチオシのどんな薬にも必ずリスクはあるということです。「そんなことあるはずがない!」と冷たく見捨てないでほしいのです。そして、きいちゃんの左目が早く回復することを心から祈りたいと思います。
すべての患者さんにはそれぞれの人生があるんですよね。見捨てないでほしいですよね!
そうよ!一人残らずすべての患者を幸せにしてほしいわよ。