血糖測定はストレスの元!?
皆さんは病院に行った時以外にもご自身で血糖値を測定なさっていますか?
私は「フリースタイルリブレ2」を装着して間質液のグルコース(正確には血糖値とは違いますが、だいたい血糖値と相関する)の変動を追っています。
ところが「血糖値を気にしすぎるとストレスになるから、低血糖や高血糖アラートさえ設定しておけばあとはあまり見ないほうがいいのではないか」という考えもあるんですよね。
確かに血糖値が良くないのを見ちゃうと面白くないしストレスになるのは間違いないと思います。
1型糖尿病患者さんの場合、食事以外の原因で血糖値が変動することもあるので常に血糖値の変動を把握しておいたほうが安全と思います。
では2型糖尿病患者の場合はどうでしょうか?そんなことは個人の判断なので「血糖値をこまめに見ろ」も「見るな」もどちらも余計なお世話と言えばそうだとは思うのですが。
血糖値を見ないほうがストレスになる人もいると思いますが…
見たくない人が見ないのはいいけど、こまめに見たい人に「ストレスになるから見るな!」はないわよね。
空腹時血糖値は確かに気にしてもムダかもしれない
血糖値のうち、空腹時血糖値(前回の食事から10時間以上経過している時の血糖値、朝起きた時など)は過剰に気にしても確かにどうしようもないかもしれません。
空腹時血糖値が高くなる原因を考えるのは大切なことですが、たとえば2型糖尿病でインスリン注射をしていない方がちょっとばかり空腹時血糖値が高いのが気になったところで次回受診まではどうしようもないのですから。
また風邪やインフルエンザなどの感染症にかかっているときは血糖値が上がりやすくなっており、何も食べなくても血糖値が乱れがちです。これも治るまでは仕方がないので気にしすぎてもどうしようもありません。女性の場合、月経前に高血糖になる方も居ます(私も)。
インスリン注射を打たない患者の空腹時血糖値は「自分ではどうしようもない」ので、ある意味気にしないほうがいいというのは分かります。
私はグラルギンを打っていますが、主治医から「あなたはそこまで変動はしないでしょうし、よほどのことがない限り安易に追加打ちはしないほうがいいと思う」と言われています。
血糖値を気にする≠血糖値以外を気にしない
「糖質を気にする人たちは血糖値ばかり気にして…」はたまに医師の方が仰ってますが、別に血糖値を気にするからと言ってそれ以外のことを軽視しているわけではありませんよね!
むしろ血糖値以外のこと(血圧、コレステロール等)にも関心があってよくチェックなさっている方が多いと思いますけど。
血糖値をあまり気にしない方が血圧やコレステロールはものすごく細かくチェックしている、ってほうがあまりないんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか?
食後血糖値を「見ないフリ」は危険!!
空腹時血糖値はインスリンを打たない2型糖尿病患者さんの場合はあまり一喜一憂しても仕方がないですが、食後血糖値は違います。
なぜなら食後血糖値の乱高下は、あなたが食べたものによる影響がかなり大きいので…明らかにドカ食いなどして「血糖値を見るとストレスになるから見なければいい」というのは糖尿病患者にとってはとても危険なことですよね。
「食後高血糖をどこまで許容するか」は個人の判断であり自己責任です。確かに「食後高血糖を気にするあまり、食べる楽しみを犠牲にするべきではない」というのはひとつの考えとして理解できます。
しかし、だからといって「糖質制限は食後血糖値を気にするあまり食べる楽しみを奪うからけしからん!」と医師の方が万人に向けておっしゃるのは正直、余計なお世話じゃないでしょうか。「オレは食いたい、お前がどうするかはお前の自由」で良いのでは?
やりたくない人はやらなくていいけど、私達は主治医の許可をいただいたうえで「食後高血糖や高インスリンを避けつつ美味しいものを食べること」を追求しているわけですから。
アメリカの1型糖尿病患者バーンスタイン医師は90歳の現在もお元気ですが、昔、自己血糖測定器が初めて登場した時にいち早くお使いになり、血糖値が1日の中で激しく乱高下していることを初めて知って愕然となさったそうです。
そして糖質制限(朝食は糖質6gまで、昼食と夕食は糖質12gまで)+インスリン少量頻回注射で数々の糖尿病合併症を克服なさったわけですが、やはり食事による血糖値の乱高下は自分の行動の結果ですから、「良い結果を得たいなら」ある程度は気にしなければいけないのではないでしょうか。
もちろん、糖尿病の程度が軽くて、暴飲暴食をやめただけで血糖値が正常化する方はたくさんいらっしゃいます。糖尿病家系ではなく、早期発見できた方でそれまで明らかに良くない習慣があったと自覚のある方。
不摂生により短期間に非常に血糖値が高くなりHbA1cが10%以上でペットボトル症候群となった方でも、元の糖尿病は大したことはなくてあっさり改善する方も多いそうですね。
でもそうではなく、同じ糖尿病でもかなり血糖値が上がりやすかったり糖尿病合併症やその他の持病があって厳格に血糖コントロールを行わないといけない方もいらっしゃいます。
病気とどう向き合うべきかは人によって異なるということを分かっていただけると嬉しいですね。
血糖値をどれだけ気にすべきかはその人によるんですね。
だからあまり気にしなくていい方が他の患者に「そんなに気にしなくても」と言うべきではないわね。