医師ではない素人は黙ってろ!?
医師になるのは実に大変です。よっしーは小学5年生の頃『ブラック・ジャック』を読んですっかりハマってしまい、医師を目指そうと思いました(無免許医じゃないですよwww)。
中学では勉強が得意だったので余裕でイケると思ったんですけど、高校生になると微分積分や物理がどうにもこうにも苦手になってしまい…特に物理は「ロケットの打ち上げ軌道?何それ美味しいの?」状態でした💦
結局、得意科目ではカバーしきれないので医学部は諦めて別の道を選びました。そんな過去があるので、医師であるというだけで病院の先生たちのことを尊敬してしまいます。。
糖尿病内科の主治医は年齢が近いこともあり、わりと何でも話せる関係を築くことができているかな~と思います。最初は「この先生真面目そうだわ…」と感じましたが。
さて、このごろはSNSを活用なさる医師たちがとても多いようです。先日患者さん用のパンフレットの漫画を描かせていただいたサクスマのお仕事も、尾形哲先生とTwitterで出会ったことがきっかけでした。
肝臓専門医の尾形先生は『薬を出し続けて患者を一生外来に通わせるって、 結局治してないってことじゃないのかな、何とかならないかな』と、糖尿病専門医の西森栄太先生と一緒にスマート外来を担当していらっしゃいます。
ところが、実にいろいろな先生がいらっしゃるようで…中には「素人は薬や健康について余計なことは何も知らなくていい!」「素人は黙ってろ(意訳)」などとおっしゃる医師たちも💦
医師になるのは大変ですし、「先生」と呼ばれる専門家ですからプライドが高い方も大勢いらっしゃるのは分かるのですが…
素人は何も語ってはいけないんですか?それはちょっと…
医師ではない人が医師のふりをして語るのは大いに問題だと思うわよ。だけど患者が個人の体験を語るのはいいじゃない、ねぇ。
今は素人である患者がよく勉強している時代です
「素人は難しい用語を知る必要はない」「患者は自分が飲む薬について詳しく知らなくていい」との医師の発言があったと聞いてびっくりしました。
今時、素人といってもテレビの健康番組や健康雑誌ばかり見ている人ばかりではありません。医師ではなくても、しらねのぞるば氏のようにそこらへんの医師よりはるかに勉強なさっている方もいらっしゃいます。
栄養学や生化学のテキストだって誰でも自由に購入できますし、医学論文だって読むことができます。主治医は「この論文が面白いから読んでごらん」と紹介してくれたこともありますよ。
患者に意見されると不快に感じる医師は少なくないそうですが、言い方には十分気を付けるとしてもどうしても主治医に言うべき時ってあるとよっしーは思います。
ちょっと難しい質問をされると無視して答えてくれない先生もいらっしゃいますけど、主治医はきちんと話せば「なるほど、確かにそうかもしれないなぁ…じゃ、そうしてみようか」とおっしゃる良い先生です♪
人は「俺は正しい、俺を尊敬しろ!」と言われるとかえって不信感を持つ生き物だと思います。黙っていれば、本当に尊敬すべき人は勝手に尊敬されるものです。
明らかにそれは詐欺…という情報を批判するのは分かるとして「自分はいつも正しいんだ」とおっしゃる先生方には正直うんざりしてしまいます。
基本的には診療ガイドラインに従うとして「この方法では良くならない患者がいる。彼らにはもっと良い方法があるのかもしれない」「いま最善とされている治療が必ずしもそうではないかもしれない」ぐらいに思って下さるとありがたいのですが…
なんといっても、先生方は日々の診療に追われてとーっても忙しいはずです。たまに主治医が無精ひげを生やしていることがありますから、夜勤明けでそのまま…なのでしょう💦
教科書やガイドラインに書いていないことを自分で実験して確かめようなんていう時間が取れるわけがありません。だから私たちがじっくりと試すの。
分かったことは何でも報告するよっしーです。だから電子カルテにはいろいろなことが書かれていますよ(笑)
「正しい医療情報」とは何でしょうか?
確かに、ネット上には怪しげな血糖値サプリだのインチキ療法だのがあふれています。「これを飲めば糖尿病患者でもどんなに糖質をバカ食いしても血糖値は全然上がりません」なんてあるわけがない💦
ああいう人たちって時にはサクラとか自作自演までしますからね、うっかり騙されないように気を付けないといけませんよね。
このような現状を見て、正義感の強い医師たちが嘆くのも無理はありません。そこで「自分たち医師が専門家として正しい医療情報を伝えなければ!」ということになるのでしょう。
ただ気になるのは、医師の間でもまだ意見が分かれていることを「自分の考えと違うから」という理由でインチキ呼ばわりする医師も少なからず見かけます。
↑「自分こそ正義の医師の代表だ!」と信じて疑わない白拍子先生。
糖尿病に関して言えば、たとえば糖質制限は糖尿病診療ガイドラインではまだきちんと認められていませんが、微妙にその扱いは変化してきています。次回はどうなるか分かりません。
日本人を対象としたランダム化比較試験で良い結果も出ていることですし、いずれアメリカのように正式に認められる可能性があるけれど現在はまだそうではないものまでインチキ呼ばわりはひどいでしょう。
「医師でさえ間違った人が多い。自分たちが正しい医療情報を患者たちに伝えなければ」という言葉の裏には「自分たちは常に正しいのだ」というとてつもない自信が見えるのですが…
他の病気のことは知りませんけど、少なくとも糖尿病に関しては現在日本で推奨されている標準的な糖尿病食ですんなりうまくいく患者ばかりではないのは明らかではないでしょうか。
その方法でうまくいく患者ももちろんいます。そうでなければ日本糖尿病学会が認めるわけがないでしょう。しかし、すべての患者がその方法で救われるわけではありません。
先生方は基本的にガイドラインの通りに指導することが無難なやり方であるのはもちろん理解できますが、それでうまくいかない患者を必ず見てきているはず。
ガイドラインの通りにやらなければ医師たちが罰を受けるわけではないそうですから、よっしーの主治医のように「この患者にはやらせてOK」と判断した患者には好きにやらせてくれるとありがたいです。
まだ分かっていないことも多いのだから「自分たちは常に正しいのだ」とは思わないほうが良いんじゃないでしょうか。医療は、患者のためにあるものなので…
患者の個人的な体験は無意味だとは思いません
SNSで「患者の体験なんてエビデンスにはならないし、標準治療以外の方法で改善したと言っている人たちは気のせいよね」という医療関係者の方を見かけたことがあります。
個人の体験は確かにエビデンスにはならないでしょうけど、個人の体験の積み重ねは決して無意味ではないと思いますが…それに「気のせい」はあまりにも乱暴じゃないでしょうか。
そもそも、ネズミと違って人間を研究所に長期間閉じ込めてきっちり食事の管理をして食事が健康に与える影響を正確に確かめる研究を行うのは難しいです。その結果、食事調査はたった数回の自己申告のみというお粗末な研究をもとに話をすることになってしまいます。
先ほど漫画『ブラック・ジャック』に登場する正義の医師・白拍子先生をちらっと紹介させていただきましたよね。
白拍子先生は常に自分は患者のために正しい医療を行っていると信じているのですが、ある時重大なミスをしてしまい、最初保身のためにそのことを隠そうとしました。
だがブラック・ジャックから「まともな医者ならなぜ当たり前のことができねェんだい!」と言われ、ようやく自分のミスを公表することにしたのでした。
患者にとっては、治る(または改善する)ことが何よりも大事です。それが偉い先生の勧める治療法だとかそんなことははっきりいってどうでもいいことです。
「自分の発信する医療情報をいかに患者たちに信じさせるか」というより「いかにして患者たちを治すか」を考えていただけるとありがたいなと思います。
医クラのおきて…医師もつらいよ!?
ちょっと小耳にはさんだ話ですが、TwitterなどのSNSの中での人間関係には先生方もなかなか苦労なさっているようです。
フォロワーの多い先生の発言には同調しなければいけないとか、そうしなければどうなるこうなるとか。そしてあまり直接見たことはないですが、あちこちでケンカが絶えないようです💦
糖質制限系の指導者たちの間でも、微妙な意見の相違からほとんど名指しの状態であれはだめだのこれはだめだの、そういうエアリプ合戦になっているのをたまに見かけます。
おそらく、世界から戦争がいつまでもなくならないのはお互いに自分が正しいと信じて疑わないせいなのでしょうね!
先生方はどうせなら「俺が正しいんだ」「俺は専門知識を持っているんだ」というプライドより「俺の受け持ち患者は絶対に病気を進行させないぞ!」というプライドを持って下さるとありがたいなぁと思います。
「自分が正しい」よりも「患者さんたちが良くなること」を優先させようと思えば、自然と「この人にはこの方法は合わないから…」と柔軟にいろいろな方法を選択することができそうです。
そして、科学や医学は今や医師たちが独占するものではなくなってきています。もちろん患者を診察したり手術などの医療行為は資格がある医師にしかできませんが、勉強するのは患者の自由!なのです。
患者は、自分の命がかかっているので一生懸命なんです。だから医師以上に勉強している人もたくさんいます。そのことを分かっていただいて、良い関係を築いていければ幸いに思います。
プライドにもいろいろあるんですねぇ~
先生方の「良いプライド」が患者を救うと思うわ!