そのケトアシドーシスの原因は本当に糖質オフ・断食だったか?

糖質制限や断食がケトアシドーシスの原因なのか?

糖質制限や断食を行うとケトアシドーシスになる?

先ほどSNSでフォロワーさんから「未だにケトジェニックダイエットでケトアシドーシスになると言っている人が居て困る、ちゃんと知識をアップデートしてほしい」というお話を伺いました。

「ケトジェニックダイエット」「糖質制限(糖質オフ)」と混同されやすいですが、単に「糖質を控える」というニュアンスの糖質制限よりも一歩進んで「脂質をメインエネルギーとして使っていく体にする」食事法です。

良質の脂質をしっかり摂取することを重視していて糖質もきっちりオフすることから、私が実践している食事法はケトジェニックダイエットということになるかと思います。

たまに「糖質のとりすぎは良くないが脂質も良くないので糖質も脂質も控えましょう!」とおっしゃる方が居ますが、タンパク質しか食べない食事はいわゆるウサギ飢餓の原因となるので危険です。脂質の重要性はなかなか理解されないところで難しいですが…

 

 

ただ糖質を制限するだけではなかなか脂質代謝メインに上手く切り替わらない場合もあるので…この話は長くなるのでまた別の機会にすることにしましょう。

さて。「糖質制限するとケトアシドーシスになる」は本当によく言われますが、少なくとも私は10年半前に「糖質制限はまったくしていない状態で」ケトアシドーシスになった後糖質制限をきちんと行って8年間ケトアシドーシスになりませんでした。

しかし2年半前に断食を数日間行ったときケトアシドーシスになりました。糖質制限はケトアシドーシスの原因にならなくても断食はなるのでしょうか?この際徹底的に考えてみることにします。

 

にゃご
にゃご

糖質制限と断食は別物とは言え、気になるニャ―!

よっしー
よっしー

原因をしっかり考えずに安易に「普通の食事が良いのね」で終わらせては残念だわ。一緒に考えようと思う方は読み進めてね。

 

前回より1日長い断食をやってみた結果…

じつは偶然ですが先日、糖尿病内科の受診後にかねてからやってみようと思っていた実験をひとつ行いました。

2年半前に断食を試みた時にケトアシドーシスになって入院する羽目になり、普段通っているのとは違う病院に入院して若い医師は「糖質が足りないせいだ、飢餓性ケトアシドーシス」とおっしゃいました。

しかしその時はそれで納得したものの、あれからじっくり考えてみると何か違うのではないか?と…

糖尿病ではない方で2週間とか1か月とかの長期断食を難なくやってのける方はたくさんいらっしゃいます。もちろんそれなりに体脂肪がある方なので誰もが真似出来ることでは有りません。

だから「糖質が足りないせいでケトアシドーシスになる」という医師の主張には疑問が残ります。

 

 

 

むしろ私の場合、インスリン基礎分泌が不足しているにもかかわらず当時はスーグラを服用していたために見かけ上血糖値が良好に見えていただけで、その問題が断食において顕在化しただけなのでは?

糖尿病患者がケトアシドーシスに陥るのは、基本的にインスリンの作用がかなり不足しているときのはずです。そうでない状態ではケトーシスになってもアシドーシスに陥ることはありません。

今は毎晩グラルギンを注射して、基礎インスリン分泌不足を補っています。だから今なら断食を行ってもケトアシドーシスにはならないのでは?というわけです。

結論。前回ケトアシドーシスを起こしたときより1日長く断食を行った結果、何も異常は起こりませんでした。注射量も減り、次回のHbA1cは改善していそうな予感がします。前回と同じ日数の断食を昨年試した時も異常はなかったです。

 

2年半前のケトアシドーシスの真の原因は?

10年半前のケトアシドーシスは明らかな「糖尿病性ケトアシドーシス」です。糖尿病を発症していることに気づかず何年も放置し、糖質多めの食事をそのまま継続していたことによりインスリンを分泌するβ細胞は徐々に疲弊し、インフルエンザが最後のダメ押しとなりインスリンがほとんど作用しなくなって発症したと思われます

では2年半前のケトアシドーシスの原因は何でしょう?私の場合、糖質制限が原因ではないようです。それまで8年間毎日実践してきて何ともなかったのですから。

「断食」は文字通り何も食べないことであって、これは糖質制限ではなく、どちらかというと究極の低カロリー食、カロリー制限の延長上にあるものです。どの食品も同じように食べないのですから。

医師は「飢餓性ケトアシドーシスです」と言いましたが、先日1日長く断食した時はまったく異常は起きずに無事に終わらせることが出来ました。

 



 

断食そのもののせいならなぜ前回はダメで今回は何ともなかったのでしょう?前回(2年半前)と今回の違いは以下のとおりです。

 

・前回はインスリン注射はしておらず、飲み薬(メトグルコ、スーグラ)を服用していた

・今回は薬は飲んでおらず、基礎インスリン注射を1日1回行っている

 

10年半前に糖尿病と診断されて糖質制限を開始したとき、基礎インスリン注射の必要量はどんどん減っていったので思い切ってやめてみましたが、HbA1cはまだ少し高めだったので当時の主治医に頼んでメトグルコ、スーグラを処方してもらったのです。

じつは何度か早朝や夜などに気持ちが悪くなることがありました「メトグルコによくある副作用かぁ」と思い、大したことはなかったので主治医にも「ちょっと吐き気がすることはたまにありますが大丈夫です」と軽く報告してしまいました。

また当時はずっと尿ケトンがかなり(3+とか)出ていて「わーいバッチリケトーシスだ!!」と喜んでいましたが、現在は食事内容はまったく当時と同じなのに当時ほどは尿ケトンは大量に出ません。

 

糖質制限食とケトジェニックダイエット、尿中ケトン体。
【14/09/16 横浜のM ケトジェニックというダイエット法先生、内容とは別のことで申し訳ありません。友人がケトジェニックダイエットを始めました。彼女が言うのには、糖質制限の進化系(本に書いてあるそうです)だから、同じよと言います。毎日ウ...

 

じつは糖質制限していても体がきちんとケトン体を利用できるようになると尿にはそんなに大量のケトン体は出ないそうです。

つまり私の場合、「基礎インスリン分泌が不足しているのにメトグルコ、スーグラ服用(主にスーグラ?)の作用で血糖値が良好だったために基礎インスリン不足を見逃してしまい、インスリン補充を行っていなかったためにどうかするとすぐにケトアシドーシスに陥りやすい状態にあった」ことに加えて「断食では糖新生の材料となるタンパク質や脂質の外部からの供給がゼロであること、グルカゴン等のホルモンの増加、服薬、その他複雑な要因が絡み合ってケトアシドーシスになったのでは?」と考えます。あくまでも素人の推測ですけども。

スーグラは「糖を尿中に捨てる薬」です。なぜ断食中にそれを飲んでしまったのかは自分でも分かりませんけど、今思えば本当に馬鹿なことをしてしまいました。「もっと血糖値が下がってきたら中止しよう」と思っていたけど間に合わず…かもしれません。

断食中に正常血糖値をキープするために糖新生を行うのは難なく出来ても、スーグラで捨てられるだけの量の糖を作り出そうとすればかなり大変なのかもしれません。少なくとも断食開始前にはスーグラは中止すべきでした。

ケトアシドーシスの要因はいろいろあったでしょうけど、先日何事もなく実践できたことを考えるとその大きな要因は断食というより「インスリン不足」「服薬」であったと言わざるを得ません。普段はカバーされていたのが、断食によって顕在化されたと言うべきか。

 

糖質制限や断食を行ってはいけない人も居ます!

私の場合、慢性的にインスリン分泌が不足気味であったにもかかわらずそのことに気づかずに居たのは当時の主治医と私の不注意だったと思います。

糖尿病と診断された1年後に1度だけグルカゴン負荷試験を受けましたが、インスリンがどれだけ分泌されているかの検査は1度もしていませんでしたし。

私の場合は、不足しているインスリンを注射できちんと行えば、そして薬を飲まなければ糖質制限を行っても何も起こりませんし、数日間の断食すら何も問題は有りませんでした。

 



 

ただし生まれつき脂質代謝が上手くいかない方、腎臓の機能がかなり低下していたり糖尿病歴が長くて血糖値を上げるシステムも弱っていて低血糖になりやすい方などいろいろな理由で糖質制限や断食すべきではない方もいらっしゃいます。

あとはたまに「1型糖尿病患者は糖質制限してはいけない」なんて聞きますけど、先日90歳で亡くなられたリチャード・K・バーンスタイン医師を始め、1型糖尿病でも問題なく糖質制限を行う方はいらっしゃいます。ただし注意点が2型さんより多く難しいので必ず詳しい医師の下で正しく行わなければいけないだけです。

また「腎臓が悪くなるのはすべてタンパク質の過剰摂取が原因だ」と思い込んでしまう方もいますが、病院で医師から「中年以降、食事や糖尿病とは無関係の腎臓の病気になる人が増える」と言われたことがあります。何もかもタンパク質のせいだと決めつけないほうがいいかも。

糖質制限(や断食)が禁忌の一部の方を除けば、それそのものが悪いわけでは有りません。しかし行うにあたって十分に気をつけなければいけない点はあります。

 


 

糖質制限界隈でも昔、尿にどれだけケトン体が出ているかを競い合うようなことがあったのですが、あれは今思えば間違いだったと反省しています。

私のように、インスリン不足気味で大量に尿ケトンが出ているケースもあるわけですから。そこは気をつけるべき点であって、糖質制限そのものの是非では有りません。インスリン不足を見落とさないことが大事です。

また断食は決して全ての方に安易に勧められるものではありませんけど、もしどうしても試みたいなら医師が書いた本をじっくり読んでから自己責任で慎重にお願いします。

フォロワーさんの「未だにケトジェニックダイエットでケトアシドーシスになると言っている人が居て困る」への私の答えは「特定の病気でない限り糖質制限がケトアシドーシスの原因になることはない、ただし薬やインスリンなど注意すべき点はいろいろあるので、やるならちゃんと勉強して主治医とも相談しつつ慎重に行ってほしいし、問題なく行える人の成功を否定しないでほしい」ですね!

 

長期断食によるケトーシス
長期に断食を行った人の非常に興味深い研究がありました。ブヒンガー・ウィルヘルミ・クリニックというところで断食プ…

 

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にゃご
にゃご

糖質制限はまだ医師もよく知らない人が多いから、正しいやり方を指導できる医師も少ないんだね。

よっしー
よっしー

だからやるならよく勉強しなければいけないし、注意点もあるのね!

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