誰もが糖尿病を早期発見できるとは限らない
たまたま職場の健康診断で血糖値が高いことが分かってすぐに治療を始めることができた方たちはラッキーです。もしかしたら、血糖値が高くなり始めたのはここ2か月ぐらいのごく最近のことかもしれません。
清涼飲料水を飲み過ぎたりあまりにも糖質を食べ過ぎた場合など、短期間で急激に高血糖になることがありますが、そういう方は悪習をやめるとすぐに改善しやすいそうです。
日本人の場合は欧米人と比較すると糖尿病の早期からインスリンを分泌する能力が低下し始めることが多いのですが、それでもなるべく早く発見して治療する方が良いに決まっています。
ただ…誰もが糖尿病を早期発見して治療を開始できるとは限らないのです。正社員として会社勤めをしている方たちは毎年健康診断を受けられるかもしれません。
私が若い頃勤務していたスポーツクラブ(ボス以外は大半がアルバイトスタッフと契約社員でした、支店にもよるのでしょうが)では、アルバイトスタッフの健康診断は血液検査のない簡易的なものでした。
企業は、一般健康診断の場合、無期契約もしくは契約期間が1年以上の有期契約で、正社員の週所定労働時間の4分の3以上働くパートタイム労働者に対しては健康診断を実施する義務があるそうです。
しかしこの条件に当てはまらない方も少なくありませんよね?20代で結婚してパートで働いている女性など、まだ自治体からの健康診断のお知らせもそうそう来ないでしょうし。
漫画家の方など、自分から健康診断を受けに行かないとなかなか血液検査をする機会がないかもしれません。そりゃ自分から受けに行くべきなんでしょうけど、職場で毎年必ず受けなければいけないほうがハードルは低いじゃないですか。
私は20代で息子たちを出産しましたが、次男を産んだ後の糖尿病の検査(経口ブドウ糖負荷試験)でぎりぎり正常値が出てしまいました。
そのため医師は「あなたの人生はまだ先が長いのだから糖尿病にならないように気を付けなさいね」とおっしゃっただけで、その後検査に来るようにとの指示はありませんでした。
その後ジムに通って運動し、若い頃から続けていた玄米食はさらにグレードアップし(雑穀が1回分ずつ小分けパックになったやつを玄米と一緒に炊く)自分なりに努力していたつもりでした。
ところが夜中にお手洗いに起きるようになったりやたらとのどが渇くようになり、そのころはジムでパートをしていたのでおかしいと思いつつなんとなく先延ばしに…
糖尿病ってかなり悪化するまで自覚症状はほとんど無いんですよね。。
それが糖尿病の怖いところなのよ!!
「なぜもっと早く来なかったんですか!?」と言われても
いろいろな事情でなかなか病院へ行けずに重症になってからようやく糖尿病と診断されたというかたたちの中には「なぜもっと早く来なかったんですかッ!」と叱られた方もいらっしゃいます。
そりゃそうなんでしょうけど、このままではいけないと覚悟してやっと病院へ来たのに叱られても…今さら過去はもう変えられないんですから。
それに「初期段階ならともかく、あなたぐらい悪くなるともう僕の手には負えません、改善は難しいです」と言われているようなものですよね。
はっきりと「あなたは糖尿病なので今すぐ治療を始めましょう」と言われていたにもかかわらず断固として何年も拒否し続けた結果…というなら確かにその患者さんに非があるとは思います。
でも、そこまでじゃなくても色々事情があってなかなか病院へ行けなかったという方は多いのではないでしょうか?
30~40代の日本人では「糖尿病だけど治療を受けたことがない」という方が男性で42.0%・女性で54.2%にもなるそうです。
仕事が忙しいとか、病院へ行くお金がないとか、ホント事情は色々あると思うんですよね…もちろん、だからといって糖尿病を治療しないのが良くないのは間違いないのですが…
早期発見できた人だけが救われるというのは、ちょっとキツいなーと思います。現代医学の限界ってそんなものなのでしょうね。
ラクな生徒にしか勉強を教えられない塾の先生!?
もしあなたが中学生で「あまりにも勉強が分からないからもう塾へ行くしかないか…」と覚悟して入塾申し込みに行ったとします。
そうしたら「うちではテストで70点取れる子を85点にすることはできますけど、あなたみたいに10点ぐらいしか取れない子は手に負えません、悪いけどよそへ行ってください、さようなら」と言われたらどう思いますか?
70点取れる子を85点に上げるのなら、ぶっちゃけさほど優秀じゃない先生でも簡単にできると思いますよ。たいしたことないです。私も学生時代に家庭教師をしていたので分かります。
でも、学校の勉強にほとんどついていけない子を平均レベルぐらいまで引き上げるのは、それなりにすごい先生だからこそできることではないでしょうか?
そこまで勉強が分からなくなるまで塾に行かずに放置したのはその子の責任かもしれませんし、もしかしたら頑張ってもどうしても分からない理由が何かあるのかもしれません。
でも「ああ、そういう子は無理無理wwwちょっと教えてすぐできるようになる子しか僕は引き受けません」と言っちゃうような先生は絶対「優秀」な先生じゃないですから。
糖尿病にしたって、放置して悪化してしまったのは本人の責任かもしれないけど、でも「治療しなければ」と決意して病院へ行く人もいると思うんです。
「早期発見できなかったから改善できません」って言われても辛いだけ…今の段階でも少しでも良くなる方法を一生懸命考えてくれる先生はどこかにいないものかなぁと思っちゃいますよね。
糖尿病の早期発見・早期治療開始はとても大事ですが…
糖尿病を早期発見してすぐに治療を開始するのはとても大事なことですが、早期発見できても「寛解」にはならないタイプの糖尿病もあります。1型糖尿病やMODY、ミトコンドリア糖尿病などがそうです。
2型糖尿病でも日本人の場合は早期からインスリン分泌が低下していることも多いので、欧米の高度肥満患者のように「痩せただけで寛解した」とはならない患者も多いですよね。医師でも2型糖尿病の方は少なからずいらっしゃいますよね。
早期発見は大事ですが、いろいろな理由でそれが叶わなかった患者もいます。そのことを責めても時間が戻るわけじゃないでしょう。今出来る事をしなければ…
糖尿病合併症がある患者たちは、毎日不安な気持ちと戦っています。朝起きて「あ、今日も目が見える」とか「今朝も目が覚めた」とほっとする気持ち、先生たちに分かってもらえるでしょうか。
早期発見できてもできなくても、みんなが同じ食事療法や運動療法で同じように効果が出るわけでもありません。ある人たちに絶大な効果があっても、そうでない人はどうすればいいのかという問題が…
今さらどうしようもないことをクヨクヨしたり責められたりしても何も解決しないのです。今からできることを一生懸命やるしかありませんよね。
ただ責めるだけなら誰にでもできるけど、一緒に頑張ることは誰にでもできることじゃないですもんね。
そうね。みんな今からできることを一緒にがんばりましょう!