糖尿病患者が経験した「飢餓性ケトアシドーシス」とは?

飢餓性ケトアシドーシスと糖尿病性ケトアシドーシス

2度のケトアシドーシス、原因は真逆!?

私は8年前に「糖尿病性ケトアシドーシス」になり糖尿病が発覚しましたが、先日まったく異なる理由で再びケトアシドーシスになり入院しました。

↓↓↓その時の体験を4回に分けて記事にしたので、興味がある方はお読みくださいませ。

 

2度目のケトアシドーシス入院記①
糖尿病性ケトアシドーシスで16日間入院したとき、あまりの苦しさに「もう2度と経験したくない!!」と思ったはずなのに…
2度目のケトアシドーシス入院記②
もう2度と断食はしないし、糖尿病薬も飲みたくないと思って医師にそう告げたのですが…
2度目のケトアシドーシス入院記③
基礎インスリンとGLP-1受容体作動薬の注射。
2度目のケトアシドーシス入院記④
入院は辛い経験でしたが、せっかく医療漫画を描いているのである意味命がけの潜入取材…!?

 

さて、「ケトアシドーシス」とは何らかの原因により体内でケトン体が異常に増え、血液が酸性に偏ってしまう代謝異常です。

糖質を制限した食事をしるとケトン体が増えますが(生理的ケトーシス)、この場合は際限なくケトン体が増えるわけではなく、また呼吸によって調整がうまく行われるので血液が酸性に偏ることもないのです。

 

 

 

私は8年前に「自分が糖尿病を発症していることに気づかないまま糖質をたっぷり食べ」たことに加えてストレス、インフルエンザ発症がダメ押しとなって「糖尿病性ケトアシドーシス」を発症してしまいました。

しかし今回は「糖尿病薬を飲みながら長期間の断食を行ったこと」が原因のケトアシドーシスだと医師から告げられました。まるで真逆ですが、これはいったいどういうことでしょう??

ケトアシドーシスの原因は大きく分けて「糖尿病」「アルコール」「飢餓」に分けられるそうです。つまり糖尿病ではない方もケトアシドーシスになる可能性があるということですよね!

私の場合「糖尿病患者が糖尿病性ケトアシドーシスではなく飢餓性ケトアシドーシスになった」ということになるのでしょうか?ややこしい話です。

ちなみに検査データから、アルコール性ケトアシドーシスは否定されました(飲んでませんでしたし…)。

 

にゃご
にゃご

ひぇぇ!糖尿病性ケトアシドーシスだけじゃないのか!

よっしー
よっしー

まさか2度もこうなるとは思わなかったわ!!

「飢餓性ケトアシドーシス」とは

飢餓性ケトアシドーシス(Starvation Ketoacidosis)は、飢餓状態により細胞が糖分を得られず脂肪を分解してエネルギーを得ようとした結果、体内で異常にケトン体が増えて血液が酸性に傾いた状態です。

飢餓状態は私のように長期間の断食の他、ひどい「つわり」で食物を摂取できない状態が続いた時にも起こります。

特定の病気が原因で、たった12時間の絶食により飢餓性ケトアシドーシスを発症することもあるそうですが、通常はこうなるまでにはもっと長い時間がかかります。

私の場合、普段から糖質制限をしているので容易にケトン体が作られやすい状態だったのと、糖尿病の飲み薬が原因で「制御しきれないほどの大量のケトン体」が作られたのでしょうね。

遺伝子変異が原因で2歳ぐらいまでにケトアシドーシスを起こして診断されることが多いβ-ケトチオラーゼ欠損症という先天性の病気もありますが、稀な病気だそうです。

 



 

糖尿病の飲み薬を飲みながら糖質制限を行っていても、何ともない方が多いです。実際私も何らかの薬を飲んでいても8年間ずっと何とも無かったのです。

やはり「糖新生の材料(タンパク質や脂質を多く含む食品)」をきちんと摂取しているのとまったく食べないのとでは全然違うのでしょうね。

そして糖尿病患者は、健康な方よりもケトアシドーシスになりやすいそうです。インスリン分泌不全のある患者は特にそうだとある医師の方から教えていただきました。私のように「2型でもインスリン分泌不全のある患者」は気をつけてください!

断食だけなら大丈夫な方が多いですが、糖尿病+断食+糖尿病薬という条件が重なってしまい、耐えられなかったのでしょう。この他、感染症などが重なるとさらに危険です。

 

飢餓性ケトアシドーシスの予後は?

アシドーシスの中で最も死亡率が高いものは「乳酸アシドーシス」です。糖尿病薬のメトホルミン、SGLT2阻害薬、利尿剤、感染症、腎機能低下、脱水などで起こることがあり初診時に疑われましたが、後に血液検査データから「乳酸アシドーシスではない」と言われました。

飢餓性ケトアシドーシスの治療は「ブドウ糖の点滴を行う」そうですが、これは糖尿病ではない方の場合でしょう。

私はもともと糖尿病なので、糖尿病性ケトアシドーシスで入院したときと同じような治療(インスリン入りの点滴、電解質補充など)を行いました。

また予後についてですが、主治医がおっしゃるには「当分はインスリン分泌とインスリンの効きが悪い状態が続くだろう」とのことでした。

 

 

ただ8年前と同様、完全に自己分泌インスリンが出なくなったわけではなさそうです。元の状態に戻るまで、必要な基礎インスリンをグラルギンの注射で補うことは仕方がないことです。

前述の通り飢餓性ケトアシドーシスは糖尿病ではない方もなりますが、だからといってこれがきっかけで糖尿病になるとかインスリンが出なくなるという記述は見つけられませんでした。

だからおそらく主治医のおっしゃった通り、8年前と同様にいずれ私のインスリン分泌能力もいずれ通常程度の状態に戻るのかもしれません…もっとも、年を取っただけそのスピードはゆっくりになるかもしれませんがね。

 

なぜ低血糖にならなかったのか?

「長期間(具体的には7~14日間)の断食で糖尿病が良くなる」と仰るカナダのジェイソン・ファン医師の著書には「断食中はすべての糖尿病薬を中止しなければいけない」とは書いてありませんでした。

「低血糖にならないように糖尿病薬を減らす」「たいていの場合、血糖値が改善して糖尿病薬を大幅に減らせるのは5日目か6日目です」とあったので、フリースタイルリブレで血糖値を監視していれば大丈夫と思ったのです。

断食開始から丸3日と半日近く経ち、血糖値は106と良好でした。1度も低血糖になることはなかったのです。しかしその後体調が悪化すると、その日の夕方には血糖値は250を超えました。

これは私の推測にすぎないのですが、低血糖になる前にケトアシドーシスが始まっており、体が血液中の血糖を利用できなくなったので低血糖になることなく高血糖になったのではないでしょうか?

 


 

 

「低血糖にならなければ何の問題もない」と思ってしまったことが私の失敗でした。断食開始と同時に全ての薬を中止していれば、あるいは大丈夫だったのかもしれません。

しかしこうなった以上は怖いので糖尿病薬は飲みたくないですし、断食も2度としません。ケトアシドーシスはとても辛く苦しいので2度と経験したくありませんからね。

「ケトアシドーシスはインスリンの打ち忘れか、または食べ過ぎによって起こる」と思われがちですけど、真逆とも言える「飢餓性ケトアシドーシス」にもどうかお気をつけください!

にゃご
にゃご

糖尿病の方は特に気をつけてね!

よっしー
よっしー

糖尿病薬を飲んでいる方は少しの異変も見逃さないでね!!

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