インスリンは注射から飲み薬へ?
カナダのブリティッシュコロンビア大学では注射ではない「飲み薬のインスリン」の研究を行っており、ラットを使った実験で注射同様に飲み薬のインスリンを体内で吸収させることに成功したそうです。
飲み薬はうっかり飲み忘れたり2回飲んでしまうなどの危険性もそこそこありますけど、1型糖尿病のお子さんにとっては注射ではなく飲み薬で良いというのは素晴らしいことですよね。
ただ「インスリンが注射ではなく飲み薬になれば、これまでインスリン注射を嫌がっていた2型糖尿病の患者たちも抵抗なく受け入れるだろう」というのはちょっと違う気がするんですよね。
中には大人なのに注射が怖くてたまらないと言う方もいらっしゃるかもしれませんが、それ以外の理由でインスリン注射をしたくないという大人の方が多いのではないでしょうか?
最近何かと話題の新型コロナワクチンに関しても「注射が怖いから打たないんだろう」などと決めつける方が居ますが、多くの方はそうではないと想像します。
私は新型コロナワクチンのメリットとデメリットについて熟考して糖尿病内科の主治医にも相談した結果、未接種です。幸い今のところ何も困ったことはないです。注射は少しも怖くないです…3か月ごとに糖尿病内科で採血してますし!
メリットとデメリットを考えるのは当然のことだよ。
良い点しか説明しない人がいるから困ってしまうのね。
インスリン注射の功罪
たまに勘違いなさる方がいらっしゃるのですが、仮に糖質制限を厳格に行ったとしても1型糖尿病の患者さんにはインスリン注射は必要です。食事とは無関係に24時間少量ずつ分泌されているインスリンを補わないと命にかかわるからです。
ただ2型糖尿病の場合、食事用のインスリンは、糖質制限をすれば中止できる方がほとんどです…私もそのひとりです。私の場合、食事とは無関係の方のインスリンも7か月で離脱できました。
1型糖尿病の場合は「インスリン抵抗性(インスリンが効きにくいこと)」は普通はないそです。だから、足りないインスリンを注射で補えば健康な人に近い生活を送ることが出来ます。
しかし2型糖尿病の場合、個人差はありますが「インスリン抵抗性」をそのままにしてインスリンを注射すると、大量のインスリンを打つことになり「高インスリン血症」が生じます。
高インスリン血症は、高血圧、ある種のガン、動脈硬化などをもたらすので、できるだけ避けたいですよね!
2型糖尿病患者の場合、まずインスリン抵抗性を減らして(遺伝によるものは薬、肥満はダイエット)、追加分泌インスリンがなるべく少量で済むような食事を心がけることが大事でしょう。
自己分泌インスリンと比べれば、インスリン注射はいったん打ってしまうと重い低血糖に陥る可能性もあるということも忘れてはいけませんよね。量が食事とぴったり合わないこともあるので。
注射の針ではなく中身が怖いのだ!
インスリンが飲み薬になるのであれば、ありがたいと思う方もいらっしゃるでしょう。選択肢が広がるのはとても良いことです。
ただしインスリン療法に乗り気ではない患者の全員が「注射が痛いから・怖いからイヤだ」と思っているわけではないことを忘れてはいけません。むしろインスリン注射は痛くなかったですよ、私は。
みなさんちゃんと考えがあって注射しないことを選択しているのに「大人のくせに注射が怖いんですかぁ~?」みたいな言い方をしたらますます敬遠されますよね…
多くの方は注射の針が怖いのではなく、注射の中身が怖いと言うべきでしょうね…短期的な影響も長期的な影響も考えられますから。
↑↑↑たまたま何ともない方もいれば、良くない事が起こる方もいる、それなら慎重に考えてどうしても必要な場合にだけ慎重に用いるのは当然の話しでして。インスリンは薬とは違うかもしれないけど、2型患者の場合は慎重になるべきと思います。
1型糖尿病の患者さんは別としても、そもそも2型の場合は食事を変えればインスリン注射は必要ではない患者も多いのですから、「あ、注射が怖いのなら飲み薬にするから~!」とは言わないで欲しいものです。本当に必要な患者だけに勧めてくださいませね♪
本当に必要な注射なら痛くても受けるぞ!
「本当にどうしても必要なのかどうか」個別の検討が必要ね♪