大人の10人にひとりが糖尿病患者!
さて、今年もこの日がやってきます。明日11月14日は「世界糖尿病デー」であり「医師に感謝する日」でもあります。
最新のデータによれば、世界の糖尿病患者は5億3,700万人で、成人の10人に1人(10.5%)が糖尿病にかかっており、そのうち44.7%は糖尿病と診断されていないそうです。
そして世界の5億4,100万人(成人の10.6%)がいわゆる「糖尿病予備群」で、将来2型糖尿病を発症するリスクが高いのだそうです。
(マンガの続きは記事の後半へ…☆)
もしこのまま有効な対策が取られないままだと仮定すると、糖尿病人口は2045年までに46%増加し、7億8,300万人(成人の8人にひとり)に達するだろうと予想されています。
糖尿病患者と糖尿病予備軍はだいたい同数なので、このままでは成人の4人にひとりが耐糖能異常ということになってしまいますよね💦
本当に有効な糖尿病対策とはいったい何なのでしょうか。今までされてきたことは残念ながら「効果抜群」とは言えないのではないでしょうか。
そんなにたくさん!?なんとかしないと大変なことになっちゃうよ!
そうでしょ!?こんなに糖尿病に苦しむ人が多いなんてね…
糖尿病にはいろいろなタイプがあります
2型糖尿病は、インスリン分泌不全(インスリンが十分に分泌されない)やインスリン抵抗性(インスリンの効きが悪い)になりやすい遺伝的な因子に何らかの後天的な要因が加わって発症すると考えられます。
1型糖尿病は約90%が自己免疫性(免疫システムがインスリンを作るβ細胞を敵と勘違いして破壊してしまう)、残り10%が原因不明とされています。
2型糖尿病のように遺伝が大きく関与しているわけではありませんが、一部の患者では特定の遺伝子が発症にかかわっており、その場合は家族内で複数の患者が出ることもあるそうです。
MODYは特定の遺伝子が原因で若い時から発症する糖尿病で、遺伝子検査をしないとなかなか分からなくて1型糖尿病や2型糖尿病として治療されている場合も多いそうです。
片方の親がMODYであれば、子供は50%の確率でMODYになります。症状はタイプによって軽度の方からインスリン注射が必要になる方までいらっしゃいます。
MODYはインスリン抵抗性よりもインスリン分泌能の低下がメインなので、肥満型の2型糖尿病のように「ダイエットすれば寛解する!」というものではありません。
ミトコンドリア糖尿病は、遺伝子異常によってミトコンドリアDNAが変異していることが原因で感音性難聴などを伴い糖尿病を発症します。母親からしか遺伝しません。
ステロイド糖尿病は、他の何らかの病気の治療でステロイド薬を投与されたことによってインスリン抵抗性と肝臓からの糖放出の亢進、筋肉や脂肪組織でのブドウ糖の取り込みを抑制することなどによって発症する糖尿病です。
妊娠糖尿病は、それまで糖尿病ではなかった女性が妊娠して初めて発見された糖代謝異常です。私も20代の時に妊娠糖尿病と診断されました。
妊娠すると、胎盤から出るホルモンの働きでインスリンの働きが抑えられ、また胎盤でインスリンを壊す働きを持つ酵素ができるため、インスリンが効きにくい状態になります。
健康な妊婦さんではインスリン分泌を増やして対応するので高血糖にはなりませんが、もともと2型糖尿病になりやすい体質の女性はこの負荷に耐え切れずに血糖値が上がってしまうのです。
そのため、妊娠糖尿病になった女性はそうではない女性と比較して将来2型糖尿病になる確率は7.43倍であったという報告もあります。
どうしたら糖尿病の発症を防げるか?
このように糖尿病と言ってもいろいろありますので、糖尿病の発症を防ぐにはどうしたらいいかという話はそう単純にはいきません。
ステロイド糖尿病は薬の副作用なので、なるべくステロイド以外の治療法が確立されるのを期待するしかないでしょう。
1型糖尿病を発症してからの治療法はいろいろ進歩しつつありますが、そもそも発症を防ぐ方法を見つけてほしいですよね。
1型糖尿病を発症しやすい遺伝子を持つ方の一部は、糖質の過剰摂取をしないことで発症や進行を防げるのではないかという仮説もありますが、まだ分かっていないことが多いです。
2型糖尿病はその患者によって「インスリン抵抗性」がメインの人と「インスリン分泌不全」がメインの場合があります。前者は欧米人に多く、後者はアジア人に比較的多いとのことです。
インスリン抵抗性がメインの場合は、食べ過ぎをやめてやせて運動を心がけるだけで糖尿病を防げる可能性があります。
2型糖尿病家系やMODY家系だとインスリン分泌不全があるので、普通程度(?)に食べたり運動する程度では発症を予防しきれないこともあるかもしれません。
一般的に言われている「糖尿病予防法」はインスリン抵抗性にしか有効ではないと思うので、劇的に効果がある人とそうでもない人がいるのでしょう。これだけでは足りません💦
普通の人よりも少量のインスリンでやっていけるような食生活を心がけることが大事で、できる範囲で食後に運動することも助けになるでしょうね。
糖尿病とスティグマの問題は根深い…
世界糖尿病デーは、健康な方を含めて世界中の人たちに糖尿病のことを正しく知ってもらうことが目的の一つであるはずです。
ただ「糖尿病を正しく知ってもらう」と言うとどうしても「1型糖尿病やMDOYは2型糖尿病と違って何も悪くないんです!」「そうか食べ過ぎや運動不足が原因なんだ」という話になってしまいがち。
いや1型糖尿病の患者さんは何も悪くないんですけど、「2型糖尿病と違って」という言葉がいちいちくっついてくるのがどうにかならないかなと…
「2型糖尿病患者はものすごくだらしない生活をしていたから病気になったに違いない」という負の烙印(スティグマ)に苦しむことになります…何をどれだけ食べても、それこそ夜中にケーキやカップ麺を食べても一向に何ともない人も、糖尿病専門医も含めてたくさんいらっしゃいますのに。
また「糖尿病になると最後はみんな失明したり人工透析になったり足を切断するんだ」と決めつけられてあれこれ言われるのもスティグマだそうです。
別に修行僧のような清く正しい(?)を送っている人だけが健康というわけじゃないのに、糖尿病になってしまっただけで負の烙印を押されるのは不本意ですし、仮に過去に不摂生をしていたとしても、発症後に昔のことを責めても何になるでしょうか。
ただ「あの習慣はよくなかったな」と自分で思うことがあれば、診断後はそれをやめたほうがいいとは思いますけどね。
世界糖尿病デーを機に、どうか改めて考えてみてください。通り一遍の「糖尿病予防はバランスよく食べて運動しましょう♪」だけで納得しないでください。糖尿病ってそんなに単純じゃないですから…
糖尿病患者は糖尿病患者の気持ちを理解してくれるのか?
糖尿病に関して職場などで何か心無いことを言われた経験のある方は「健康な人は何も分かってくれない」「糖尿病の人じゃないと私の気持ちは分かってくれない」と思うかもしれません。
しかし、必ずしもそうとは言い切れないのです。確かに健康な方は「無知」ゆえに間違ったことを言ってしまう場合はありますが、そこに悪意はない場合が多いのです。「知らないせい」なのですから。
しかし糖尿病患者の場合、一部ではありますが「自分の経験だけが正解だ」と思い込んで、それ以外のやり方をすべて否定してかかる人もいるようです💦いろいろな患者がいるのにね。
また医師や看護師などの医療関係者で糖尿病患者でもあるという方は結構たくさんいらっしゃいますが、これまた患者の気持ちを理解して親切にしてくれるとは限りません。
「自分は医学の知識を持つ専門家だし、患者としての長年の経験もある。だから他のどんな医師よりも自分は正しいのだ」と思い込んでしまう方もいらっしゃるようです。
「医師として長年診療してきたが、自分が糖尿病を発症したのをきっかけにそれまでのやり方が本当に正しいのかどうか疑問を持った」という方々もいらっしゃいます。これはホント、人によるみたいですね。
糖尿病になりそうなのに不摂生しまくる人はどうする?
もしかしたらあなたのご家族やお友達、職場の同僚の方などで「糖尿病になりそうなのにいくら忠告してもぜんぜん聞いてくれず、好き放題をしている」という方もいらっしゃるかもしれません。
人間、残念ながら、実際にそうなってからではないとなかなか自分がそうなるかもしれないということを理解できないものなのですよ💦
忠告したときはぜんぜん耳を貸さなかったくせに、いざ発症すると「なぜあの時もっとしつこく言ってくれなかったんだ!」と怒ったという方の話も聞きましたが、それは身勝手というものです。
また、昔の私みたいに「大丈夫だよ、砂糖は使わないし運動もジムでがっつりやってるから♪」と気を付けているつもりの人も要注意です。
砂糖は使わなくてもイモ、果物、主食はしっかり食べていたりしますし、昼にジムで2時間ぐらい運動しても夕食後は何もしないかもしれないでしょう?
糖尿病を予防するには、無難な「バランスよく食べて運動しましょう」「砂糖を控えましょう」だけでは足りない人もいるということを覚えておいてくださいね♪
糖尿病の家族がいる人は特に気をつけてニャア!
何をどう食べるか、少しだけ考えてみませんか?