ドカ食いしてもちっとも太らない!?
皆さんの周囲には「ドカ食い大好きなのにちっとも太らない人」はいますか?そういう人を羨ましく思う方もいらっしゃるかもしれませんね…私はそうでもないです、山ほど食べないと満足できないとしたら食費がものすごくかかりますから(!)
それはさておき「どんなに食べても太らない」ことは必ずしも健康的なこととは言えません。
生まれつきずっとそうだったのならまだしも、ある時点から食べても食べても太らなくなった、これは危険な病気のサインかもしれないのです!
作家の室井佑月さんは35歳の時にすい臓に腫瘍が出来てすい臓の2/3を手術で摘出なさって、3年後にお友達から「いくら食べても太らないのは異常だ」と指摘されたので検査を受けたら糖尿病が発覚したそうです。
室井さんの場合は「すい臓を摘出なさった」ことによる特殊な例とはいえ、インスリン分泌がある程度減ってしまうと「食べても太らない」状態になります。
多くの方は「たくさん食べても太らない人は代謝が良いのだろう」などと思いがちかもしれませんが、決して良いことではないかも…という話です。
食べても太らないのはいいことって思いがちだニャ。
太らない=問題なし、じゃないわ!!
インスリンが出ないとなぜ太らない?
すい臓のランゲルハンス島にあるβ細胞が分泌するホルモン「インスリン」は「血糖値を下げるホルモン」として多くの方がご存知かと思います。
しかし「血糖値を下げる」ということは魔法のように「糖を消してしまう」ことではありません。
血糖値が下がる、つまり血管の中のブドウ糖が減るということは、インスリンの働きによりそのブドウ糖が体の別の場所に移動するということです。
筋肉や肝臓、脂肪細胞がブドウ糖を取り込むのはインスリンの働きによるものです。インスリンが「肥満ホルモン」とも呼ばれたりするのはこのためですね。
逆に、血管内にいくら大量にブドウ糖があっても、何らかの理由によりインスリンが働かなければ体はそれを利用できないので太りません。そして血糖は使われないので高血糖状態が継続します。
初期の2型糖尿病だとインスリンの効きは悪くなっていますが、その分普通より大量にインスリンが分泌されていたりするのでこのようなことは起こらないのですが。
「1型糖尿病になると痩せる」と言われますが、それは未治療の場合で、治療して十分な量のインスリンを注射すればその状態は解消されます。逆に食べすぎて太る場合もあります。
ある意味「食べた分だけ太る」のは「いくら食べても太らない」よりはずっと健康的な状態と言えるでしょうね。
血糖があるのに使えない…糖尿病性ケトアシドーシス
私は10年前、37歳の時に「糖尿病性ケトアシドーシス」で糖尿病と診断されました。20代で2度妊娠糖尿病になりましたが、次男を産んだあとわりと早く糖尿病に移行していたのでしょうね。
入院する1年ぐらい前から自覚症状が出ていました。のどが渇く、たくさん水を飲むからしょっちゅうお手洗いに行く。運動前の安静時に心拍数が120もあって、運動してもあまり上がらない(自律神経障害、現在は症状は消えました)などなど。
当時の私は息子たちが大きくなってスポーツクラブでパートを再開しており、勤務時間外に筋トレを一生懸命やっていて玄米食もずっと継続していたので、まさか糖尿病が進行しているとは思わなかったです。
秋頃、職場のインボディという機械で測定したら筋肉量はかなりあり(特に下半身)内臓脂肪量も正常範囲内だったので「糖尿病ではないだろうな」と安心してしまいましたが、その後体調を崩しがちになり退職。
12月に義父が病気で急逝してバタバタし、年末に家族全員がインフルエンザ?にかかり、私にもうつって寝込んだのがきっかけで糖尿病性ケトアシドーシスになりました。
糖尿病性ケトアシドーシスは1型糖尿病患者さんがインスリンを注射し忘れた時などに起こりやすいですが、私のような重度の2型糖尿病患者もいろいろな原因が重なって起こります。
私は清涼飲料水のがぶ飲みはしませんでしたが、自分でも引くぐらい糖が欲しくなったのは入院する2か月ぐらい前からで、まるで寄生虫ロイコクロリディウムに脳をやられたカタツムリが鳥に食べられるために目立つ場所にふらふら出ていくかのように桃の缶詰のシロップまで飲んだりしていました!!
そして糖毒性(高血糖が続く→インスリン分泌が低下→ますます高血糖…の悪循環)に陥ったと思われます。血糖値が高いとインスリン分泌が低下するなんてね!
そして、血管内には山ほどブドウ糖があるのに、インスリンがほとんど出ないからそれをエネルギーとして使えないという最悪の状態に陥ります。
「最近、食べても太らないなぁ」と思い始めた段階では、まだここまでインスリン分泌は低下していません。しかし放置して進行すると「糖尿病性ケトアシドーシス」という命に関わる事態となります!
若い頃から大食いしても太らなかったとしても…
若い頃はスポーツをしていていくら食べても太らなかった、社会人になってスポーツしなくなったけど大食いの習慣はそのまま、という方もいらっしゃるかもしれません。
若い頃スポーツをしていても、その後2型糖尿病または境界型糖尿病になった方をたくさん知っていますので、決して「自分は糖尿病にはならない」と油断しないでほしいです…まあほぼ全員、ご両親のどちらかが糖尿病なので体質はかなりあると思いますが。
若い頃は健康的で食べても太らなかった方が社会人になってもずっと太らないのは、もしかしたら密かに糖尿病を発症していてそれが進行しているから…という可能性もゼロではないわけ。
食後に倒れるように寝落ちしてしまったり、風邪をひきやすかったり、やたらと糖質を欲しがる、多飲多尿などの症状がある方は要注意です!糖尿病性ケトアシドーシスで入院する前の私がそうだったから!
それと「私の食べている量はたいしたことない、決してドカ食いではないから大丈夫」もわりと罠かなと…世間一般的にはそうでも、あなたにとっては十分すぎる糖質量かもしれません。
とにかく、ご家族に糖尿病患者さんがいらっしゃる方は「私は太っていないから」と言わないで1度「糖質を食べ始めてから1時間後」に血糖値を測定してみてください。それで境界型糖尿病が発覚した方を知っています。
むしろ糖尿病家系の方は早期からインスリン分泌能力が低下しやすいので「痩せているのに糖尿病」という方も多いです。どうかお気をつけて!
太るかどうかと糖尿病は別で考えないとね。
そういうことよ!