ケロイド・肥厚性瘢痕は「炎症が長引く不快な傷跡」
今から40年以上前の話ですが、6歳だった私はヤマハ音楽教室の帰りに友達と歩きながらおしゃべりをしていました。
話に夢中になっていると、猛スピードで走ってきた若い男性の自転車に足の親指を轢かれてしまいました。
痛くて泣いてしまいました。男性は謝ってくれましたが、おしゃべりに夢中になっていた私も当然悪かったわけで。
右足の親指には、楕円形のふくらんだキズが長い間ずっと残りました。はっきりと覚えていませんが、その傷が平坦になってほとんど分からなくなるまで20年ぐらいかかったと思います。
今思うとあの傷はケロイド、または肥厚性瘢痕(ひこうせいはんこん)と呼ばれるものだったのでしょう。
傷が出来た時の炎症が長く続いてしまい、コラーゲンが盛り上がって赤みを帯びてかゆみを伴うことがあります。
レンガをくっつけようと間に接着剤を塗ったら多すぎてはみ出すような感じ?いや、ケロイドはどんどん周囲に拡大していくそうなのでちょっと違うな💦
数年で自然に治っていくのは肥厚性瘢痕で、傷の周囲にも拡大して自然には治りにくいのがケロイドだとも言われますが、私の傷はどちらだったのでしょう?

ケロイドって悪性腫瘍とかではないけど、見た目が気になるよね!

そうなのよ!帝王切開の傷がケロイドになったし、辛かったわ。
【体験談】2型糖尿病患者はケロイドが治りにくい?
ケロイドになりやすい体質、というものがあるそうです。私の場合、両親が特にそうだということはありませんでした。
20代の時に2度、帝王切開で出産しました。悪いことに2度とも傷跡のケロイド防止テープにかぶれてしまい、結局ケロイドになってしまいました。
長男の時は卵巣嚢腫(良性の漿液性嚢腫でした)の切除も同時にするとのことでお腹をタテに切開したので、かなり目立つ傷跡になってしまいました。
ケロイド防止テープは使えないし、皮膚科の女医さんには「これを貼っていて傷跡が前より広がるなんてありえない!私が間違ってるっていうの!?」とキレられるし、結局「治療」は何もできないまま放置しました。
次男を産んだ後5年ぐらいは傷跡が硬くて痛痒くて大変で、時には思い切りかきむしってそこがかさぶたになり、剥がしてはまたかさぶたになり…を繰り返したりしました。
でも5年を過ぎると徐々に症状はおさまっていき、19年ほど経った今では傷は白っぽく目立たなく平らになり、痒みもないです。
特に何もしなくても帝王切開の傷跡がケロイドにならない方もいらっしゃいます。これは体質なのかそれとも…?
「糖尿病と関係があるかもしれない」なんて1度も考えたことがなかったんですけど、私は11年前(次男の出産から8年後)すでに糖尿病合併症があったので、産後すぐに2型糖尿病になっていたと考えると「もしかしたら関係があるのかも」と思いました。
2型糖尿病とケロイドの意外な関係
糖尿病とケロイドは、一見まったく何の関係もない別々の病気に見えます。「糖尿病とケロイドは関係ない」と書かれている医療機関のサイトもあります。
日本医科大学の瘢痕・ケロイド研究室のサイトには「若い頃にケロイドを発症した患者さんでは血管内皮機能が低下していることがわかってきました(中略)血管内皮機能は高血圧や糖尿病で悪化することが知られています。糖尿病の素因があるとケロイド・肥厚性瘢痕はなかなか治りにくくなります」と書かれています。
食後高血糖や食後脂質異常は血管内皮機能を低下させることはよく知られています。動脈硬化の話をする時やたらと悪者にされがちなコレステロールですが、血管内皮が傷ついた時にコレステロールがそこにもぐりこむことで動脈硬化が進行していくのです。
糖質を食べ過ぎると食後高血糖になるのは誰もがご存じだと思いますが、食後に一時的な高脂血症状態になるのは決して「食べたアブラがそのまま血液中に流れていくから」ではありません。
血液検査で「トリグリセライド」という項目が正常値をはみ出したことはありますか?私は糖質制限を開始してからは1度もないです。トリグリセライドは「中性脂肪」です。
「脂肪」という名前なので食事に含まれる脂質が原因と思いがちですが、「糖質のとりすぎ」が原因であることが多いそうです!
ヒトの場合、タンパク質と脂質は腸の吸収限界があるため脂質はある程度以上吸収されることはありません。食べ過ぎれば下痢をします。
ところが糖だけは無尽蔵に血液中に入ることができ、高血糖は体に有害なので大量のインスリンが分泌され、糖は中性脂肪に変わります。
脂質はある一定量までしか人体に吸収できないとはいえ、大量の糖質と一緒に摂取した脂質はすべて中性脂肪に変わってしまいます。
じつは数年前、糖質制限派の医師のブログに「糖質制限でケロイド・肥厚性瘢痕は早く治る」と書かれていたのですが、当時は他に同様の情報がなくて「うーん。そうかなぁ?」と半信半疑で。
でも糖質の過剰摂取で食後高血糖や食後脂質異常になることがケロイドに良くないなら、糖質制限でケロイドが治る方向に転じるのも納得ですよね!もちろん、糖質制限したからといって嘘みたいに完治するとは思いませんけど。
先月(2025年12月)、2型糖尿病とケロイドの意外な関係がまたひとつ明らかになりました。

素人の私にはかなり難しい話なのですが、まったく無関係の病気と思われがちな2型糖尿病とケロイドのあいだで共通する20個の差次的発現遺伝子(異なる条件下で働き方が大きく異なる遺伝子)が見つかったようです。
将来、糖尿病とケロイドの両方を一度に改善できるような治療法が実用化される可能性があるのでしょうか?まず糖質制限を試みるのが早いような気もしますが。
ケロイドが魔法のように跡形もなく消えることはない
どんな病気でも、一般的になかなか治りにくいとされているものを「完治します」と言うと悩む方たちはパッと飛びついてしまいやすいです。
だけど冷静になれば、何かを飲んだり塗ったりするだけでウソみたいに完治するわけがありませんよね。怪しげな商品や情報商材には注意してください、サクラもいますから。
「ケロイドが魔法のように跡形もなく消える」ことは難しくても、時間をかけてゆっくりと目立たなくすることは不可能ではありません。
「糖質の摂りすぎが良くない」とは言っても、他の病気や生まれつきの体質など、ケロイドにはまだよくわかっていないことも含めてさまざまな要因があります。

上は私が以前、医学書(皮膚外科学)を読み込んで描いた皮膚外科の医療漫画『ヒフゲカ!』です。複数の医師の方(皮膚外科医含む)に読んでいただきました。頑張って描いて良かったです。
目立つケロイドに悩む男子高校生の辛さとその悩みを優しく救う皮膚外科医を描いた短編です。無料ですべて読めますので読んでみてくださいね。
そしてかつて悩んだ患者の一人として、皆様のケロイドや肥厚性瘢痕が少しでも早く軽減しますようにお祈り申し上げます。

信頼できる医師に診てもらいながら、自分でも食事などに気を付けるといいかもしれないね。

時間がかかるかもしれないけど焦らずにね。





