インスリンは悪者なのかそれとも正義の味方なのかじっくり考えてみる

最初はインスリン強化療法をしていました

3年半前に糖尿病性ケトアシドーシスを起こして緊急入院、それがよっしーが糖尿病治療を開始したキッカケでした。

次男を出産後はずっと専業主婦で、一時期パートに出た程度だったので健康診断を受けて自分の血糖値を知る機会がなかったのです。

入院時は何も食べていないのに血糖値が475もある状態だったので、点滴にインスリンを混ぜられていました。

数日が経過して体の状態が落ち着いてきた頃からは、1日4回のインスリン注射(持効型のランタスを寝る前に、超速効型のアピドラを毎食前)を注射するようになりました。

看護師さんに「ねぇ、頑張っていればいつかインスリン注射をやめることができると思いますか?」と思い切って質問してみました。

すると看護師さんは困ったような顔で「うーん…完全にやめるのは難しいと思う…でも努力次第で注射の量を減らすことはできるかもしれないわね」とおっしゃったんです。

「ああやっぱり、私の糖尿病は重症なんだ…でも、インスリンを完全にやめることは無理でもせめてアピドラだけでも中止したいな」と思いました。

知識として「糖質制限」のことはすでに知っていたからです。ただ、ご飯が好きだったのでどうしても実践することができていなかっただけで。

にゃご
看護師さんはたくさんの患者さんたちを見てきているから「インスリン注射を中止することはほぼ無理だ」と知っていたんだろうね。

よっしー
その時はすごくショックだったわ、でも病気が重いので仕方がないと思ったの。

7か月後にインスリン注射を完全に離脱することができました

主治医の許可を得てアピドラを中止して糖質制限を始めましたが、空腹時血糖値を下げるためのランタスは8単位注射していました。

退院直前に行ったいくつかの検査の結果から「あなたは抗GAD抗体は陰性ですが1型糖尿病の可能性もあります」と言われました。

そして退院の3か月後には「あなたはこの先もずっとインスリン注射(ランタス)が必要でしょう」と言われてしまいました。

ランタスを毎晩自分でお腹に注射すること自体は、痛みもほとんどなく、それほど苦痛なことではありませんでした。

ただ糖質制限と軽い運動を行っていただけでしたが、だんだん注射量を減らしても空腹時血糖値をほぼ正常値内でキープできるようになってきました。

そしてランタスを1~2単位注射していた頃、半年ぶりに眼科を受診したら「眼底出血した跡がありますね」と言われました!入院4日目の検査では正常だったのに。

その後調べてみると、ランタスの副作用として「糖尿病網膜症の顕在化または憎悪」があることを知り、ショックでした。そんなこと、主治医から聞いたことはなかったです…

そして糖質制限の先生方のアドバイスを得て思い切ってインスリンを完全にやめてみましたが、血糖値は変化なしでした。そして現在に至ります。

緩徐進行1型糖尿病でインスリンを打っていない方がいらっしゃいます

1型糖尿病でも病気の進行がゆっくりな緩徐進行1型糖尿病(SPIDDM)で、数年前からずっと糖質制限だけでまったくインスリンを打っていない方も複数知っています。

しかも彼ら彼女らの中には、2型のよっしーよりもずっと血糖コントロールが良好な方もいらっしゃるんですよ。

あまりにも状態がよいので、「お前は本当は2型で1型じゃないだろう」とか「今はハネムーン期なだけでそのうち必ずインスリンが必要になるぞ」と言われたこともあるそうですが💦

しかしSPIDDMと診断されてなるべく早期にストイックな糖質制限を開始することで、ずーっとインスリンなしで2型糖尿病と同様に過ごせる可能性があるとのこと!

糖質制限していなくても、1型糖尿病患者のいくらかは数十年経過してもまだある程度のインスリン自己分泌が保たれることも分かったそうです。

また仮説ではありますが、一部の1型患者さんでは糖質制限を継続することによってβ細胞が少しずつ増殖し、ある程度自己分泌が回復することすら期待できるんだとか。

すべての患者さんにこれが当てはまるわけではありませんが、少しでも希望があるのは素晴らしいことじゃないかと思います。

だってもし将来、お子さんやお孫さんが1型糖尿病と診断されてしまっても、それ以上進行しなくて済む希望が残されているのですからね。そしてそのうち、糖尿病を完治させる方法も見つかるでしょう。

インスリンを悪者にしないでくれという気持ちはすごく分かる

新井圭輔先生の「糖尿病に勝ちたければ、インスリンに頼るのをやめなさい」や水野雅登先生の「薬に頼らず血糖値を下げる方法」といった書籍は画期的な内容です。

これらの本の中でインスリンが体に与える悪影響についての説明や2型糖尿病患者がインスリン注射を中止できた事例が多数紹介されています。

でも、それで「インスリン注射を悪者にされているみたいで嫌だな」と感じる方もたくさんいらっしゃるということを知りました。

よっしーだって、自分がインスリン注射をしている時点でこれらの本を読めば同じように感じたかもしれないと思います。

糖質制限の先生方は「1型糖尿病の方は必ず持効型インスリンは必要です」とおっしゃっています。2型でも空腹時血糖値が高い場合は同様だとおっしゃる先生もいらっしゃいます。

24時間少しずつ分泌されている基礎インスリンは、とても重要なものです。これが無いと大変なことになるのは、よっしーも糖尿病性ケトアシドーシス経験者なので分かります。

1型糖尿病で自己分泌ゼロのバーンスタイン先生も、持効型インスリンは1日に6単位ほど注射しているそうです。超速効型は3食合計で10単位ぐらいと少量です。

基礎分泌インスリンはとても大事だけど、糖質を食べた時に分泌される「追加インスリン」は出来る限り少ないほうがいいということです。

インスリンは決して「悪者」なわけではありません。1型の方がどうしても足りない分の基礎分泌を注射で補うことはすごく重要なことです。

ただし1型か2型かを問わず「食事用のインスリンを打てば何でも好きなものを食べられる」というのは時に健康に悪い影響があるかもしれないということです。

糖質と脂質を同時摂取することがもっとも良くないです

糖質を大量に摂取すると追加インスリンがドバッと分泌されます。たまたまインスリン分泌能力が高い人はいいのですが、よっしーのような者はそうはいきません。

糖質の過剰摂取→インスリン大量分泌→内臓脂肪増加、脂肪肝→インスリン抵抗性→インスリン大量分泌…の悪循環に陥り、とうとう2型糖尿病になってしまいます。

皮下脂肪に中性脂肪を蓄える能力が低い人、つまり「太る能力が低い」人はそれほど太らないうちに脂肪肝になり、糖尿病を発症しやすいんだそうですよ!

昔の日本人は米を食べていたと言っても、庶民が白米を食べたいだけ食べられるようになったのは本当にごく最近のことです。

NHK大河ドラマ『西郷どん』では「自分が作った米を食べたことのない者が大勢いますっ!」という台詞が印象的でしたし、白米を食べる江戸の人々に関して糖尿病合併症の詳細な記録も残されています。

現代人はロクに体を動かさないくせに、糖質に加えて脂質も大量に摂取しますよね。大量の糖質と脂質を同時摂取すると、糖質だけ摂取した時以上に食事のたびに中性脂肪が大量に余ってしまいます。これが糖尿病が激増した原因でしょうね。

縄文時代以前のヒトたちのように糖質が少ない食事であれば、脂質が多くても何ら問題はなかったはずなのですが…野生の猫やライオンだって、わざわざ脂身を残したりはしないのでは?

追加インスリンが分泌されると、余った糖質は中性脂肪に変わります。糖質由来の中性脂肪が大量にある状態では、一緒に摂取した脂質だってそりゃ余るに決まっていますよね。

高インスリン血症が体に良くないことはとっくに分かっていた

糖質制限やインスリンの弊害は、ごく最近になって一部の医師が言い出したことだと思っている方も多いかもしれません。

でも実は、糖尿病で血糖値が高いからと言ってインスリン注射で治療するとかえって糖尿病合併症が悪化することは医師たちはとっくにご存知でした。

手持ちの30年前に出版された医師向けの本「糖尿病ワンポイントアドバイス」には次のような症例が紹介されています。

34歳の女性は、10年前に糖尿病と診断されたが治療はサボりがちで数年前から完全に治療を放棄してしまっていました。

それで血糖値300以上になってとうとう「これではいけない」と決意して入院し、カロリー制限食とインスリン注射による治療が開始されました。

すると、入院時にはごく軽度の単純網膜症しかなく尿たタンパクも出ていなかったのに、彼女は治療開始4か月後から尿タンパクが出るようになり、6か月後には増殖網膜症になってしまいました。

インスリンによってHbA1cが改善したにもかかわらず、糖尿病合併症が急速に進行してしまったんです。

文章は「糖尿病治療に携わる者として、少なくとも医原性の合併症だけはつくりたくないものである」と締めくくられていました。

よっしーも主治医に言われた通りにインスリンを打ち、病院食をゆっくり噛んで食べ、半年後には網膜症が出てしまいました。

みなさんの主治医は「低血糖以外のインスリン注射の人体への影響」について何か説明してくれたことはありますか?

1型糖尿病の方でインスリン抵抗性のない方がインスリンを打って普通に糖質を食べるのは、健常者の方が普通に糖質を食べるのとインスリンの量としてはあまり変わらないと思います。

それでも低血糖のリスクは常にありますし、2型でインスリン抵抗性がある方がインスリンを打って糖質をたくさん食べると高インスリン血症になります。

インスリンは人体に必ず必要なホルモンだが…

もしインスリンがまったく体内で作用しなくなると、いずれ死亡します。インスリンはとても重要なホルモンなので、自己分泌がない方は必ず注射で補う必要があります。

そういう意味ではインスリンはとても重要なんです。でも、そのことと「食事用のインスリンを注射して何でも好きなものを食べる」ことは分けて考えなければいけません。

1型糖尿病のお子さんなどは、注射をしてお友達と同じものを食べたいという気持ちはすごーく分かります。それが悪いことだと言えるわけがありません。

ただ、インスリン注射をして糖質を摂取することには低血糖という大きなリスクがありますし、2型糖尿病では高インスリン血症による害が特に心配です。

病院では普通、低血糖のことしか説明が無いと思います。でも実際には、それ以外にも「糖尿病網膜症の顕在化・憎悪、肝機能異常、AST上昇、ALT上昇、過敏症、発疹、発赤、腫脹、炎症、リポディストロフィー、脱力感、倦怠感、高度空腹感、冷汗、顔面蒼白、動悸、振戦、頭痛、眩暈、嘔気、知覚異常、不安、興奮、神経過敏、集中力低下、精神障害、痙攣、意識障害、意識混濁、昏睡、低血糖症状、ショック、アナフィラキシー、全身性皮膚反応、血管神経性浮腫、気管支痙攣、低血圧、皮下脂肪萎縮、皮下脂肪肥厚、ナトリウム貯留、疼痛、浮腫、蕁麻疹、そう痒感、硬結」という副作用が起こることがあるのですよ。

どのようなクスリにも必ず副作用のリスクがあり、インスリン注射も例外ではありません。上記のような副作用が起こり得ることを知った上で、それでもインスリンを打って普通に食事をしたいと思うのはその方の自由だと思います。

でも、これらのリスクを回避したいのでインスリンを打たずに糖質制限を選択する糖尿病患者もいるということは分かってもらいたいです。また低血糖以外のリスクの説明があまりないのは困ります!

自己分泌であれ注射であれ、「インスリン」にはメリットとデメリットが存在します。単純にインスリンを正義の味方だとか悪者だとか言えるものではありません。

状況によってはどうしても必要であり、別の状況では体に重大な影響を与えかねない、それがインスリンというホルモンだと思うのです。

だから私たちは、それぞれの病気の状態やライフスタイルに応じてインスリンとの上手な付き合い方を考えていかなければいけないと思います。

にゃご
インスリンが善か悪か、0か100かで語れるものじゃないんだよね。

よっしー
基礎分泌と追加分泌では意味が全然違ってくるしね…よく考えましょう!

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