ケトアシドーシスは糖尿病の急性合併症
「糖尿病性ケトアシドーシス」って聞いたことがありますか?
これは、何らかの理由によりインスリンの作用が極端に不足することにより、血糖値は高いにも関わらず体はその血糖をエネルギーとして利用できなくなります。
体はブドウ糖を利用できないので、代わりに脂肪を分解してエネルギーをつくり出します。このときに「ケトン体」が血液中に急に増える(=ケトーシス)のです。
通常の状態であればケトーシスになっても血液は酸性にはなりません。呼吸によりちゃんと調整されるのです。
ところが、インスリンの作用が欠落してしまうと、この調整がうまく出来ずに血液が酸性に傾きます(アシドーシス)。
症状は高血糖・嘔吐・腹痛などの消化器症状、また脱水状態になったり、呼吸が苦しい、放置すると昏睡状態に陥って死亡することもあるので、早い処置が必要な危険な状態です。
普通は1型糖尿病の方がインスリン注射を打ち忘れたときなどに起こりますが、若い2型糖尿病患者が夏場に清涼飲料水を飲みすぎたときなどに起こることもあります。
このように「糖尿病性ケトアシドーシス」は大変恐ろしいものです。
糖質制限が正常血糖ケトアシドーシスの原因!?
さて、先日の糖尿病内科でのよっしーと主治医の会話。
主治医「よっしーさん、体調が悪くなったことはない?」
よっしー「はぁ???別にないですけど、どーしてですか?」
主治医「糖質制限してると、正常血糖ケトアシドーシスになることがあるんじゃないかと思ってさ」
よっしーは何年も前からきっちり糖質制限をしていますが、体調はバッチリです。
でも主治医のおっしゃってた「正常血糖ケトアシドーシス」が気になったので、後で調べてみることにしました。
普通、糖尿病性ケトアシドーシスではかなりの高血糖になりますが、血糖値が正常値に近くても嘔吐・倦怠感・体重減少などの症状がある場合には「正常血糖ケトアシドーシス」の可能性があるということです。
そしてこれは、いまかなり処方されている糖尿病の飲み薬「SGLT2阻害薬」を服用した患者が手術、高強度の運動、心筋梗塞、脳卒中、重症感染症、長時間の空腹状態などのストレス下に置かれた場合に発生しやすいこと、それもインスリン依存状態の患者において起こりやすいということが分かりました。
きっと主治医は「糖質制限=ケトーシス」と考えてよっしーのことを心配してくださったのだと思います。しかし前述したとおり、インスリンの作用がある程度以上保たれている場合では、かなり血中ケトン体が増加してもアシドーシスにはならないのです。
よっしーは実験してみたことが何度かありますが、血中ケトン体のうち「ベータヒドロキシ酪酸」が5000mol/Lを超えたことがありますが、全く何ともなかったですよ♪
糖尿病薬は、死亡例があっても処方している
病院主催の糖尿病教室で、糖質制限をあまり快く思っていないらしい医師(よっしーの主治医ではない)は「SGLT2阻害薬は案外副作用が少なくていい薬ですねぇ」とおっしゃっていました。
たとえ正常血糖ケトアシドーシスなどのリスクがあっても、それ以上にベネフィットがあるから薬を患者さんたちに処方しているわけですよね。
だったら、糖質制限も同じだと思うのですがね…
ただ、糖質制限であってもSGLT2阻害薬であっても、インスリン依存状態の糖尿病患者さんの場合はやはり細心の注意が必要だと思います。
何か変だと思ったら、すぐに受診するようにしましょうね。