【世界糖尿病デー】ただ糖尿病合併症の怖さを語って脅すだけで良いのか?

糖尿病になる人はどういう人?

毎年11月14日は「世界糖尿病デー」です。この日は1922年にチャールズ・ベストとともにインスリンを発見したフレデリック・バンティングの誕生日にあたります。

糖尿病は世界中の人々にとって非常に悩ましい問題ですからね…毎年この時期に糖尿病について啓蒙しようというのはとても良いことだと思います。

ただ、糖尿病合併症が進行してしまった方たちの様子を見せて「ほら、悲惨でしょ?こんなことにならないように気を付けましょうね」というだけでは正直どうかと思いますよ。

 

糖尿病合併症の怖さを語って脅すだけでいいのかと疑問を投げかける糖尿病マンガ

そういう時引き合いに出されるのは、決まって「好きなだけ食べて飲んで運動もせず病院へも行かなかった不良患者」なんです。

だから「ああ、こういう人は糖尿病合併症が進行するのは無理もないわね、私はこんなことはしていないから大丈夫だわぁ」と思われちゃうんじゃないでしょうか。

先日の私の糖尿病エッセイ漫画を全部読んでいただいた方はお分かりと思いますが、世間一般の人と比較して特別だらしない生活をしていなくてもなる人はなるんですが…

 

糖尿病漫画『運動好きの私が糖尿病になった件について』
糖尿病は運動が嫌いで大食いの人だけがなる病気だという世間の思い込みを少しでも変えたいのです。

 

チャーコ
チャーコ

自分は大丈夫だもーん!って思っちゃう人も多そうですにゃあ。

よっしー
よっしー

自分がそうならないと分からない人も多いのよ。

本当にそれで糖尿病の発症と進行を防げる?

「食べ過ぎと飲みすぎをやめましょう」「砂糖が入った飲み物をやめて無糖にしましょう」「運動をしましょう」これはどれも良い事なんです。

ただ問題は「すべての人がこれさえ気を付ければ確実に糖尿病の発症を防げるわけではない」という事実なんですよね…

普通のきょうだいや二卵性双生児と比較して、遺伝子が一致している一卵性双生児の片方が2型糖尿病の場合もう片方もそうなる確率はものすごく高いそうです。食事や運動などの影響だけではないことは明らかですよね。

そして「たとえ遺伝的な素質があったとしても生活習慣に気を付けていれば糖尿病にはなりません」と断言する医師もいますが、世間一般で言う普通程度の生活では無理な人、いっぱいいますよ?

 



 

病院で管理栄養士さんが作った「完璧に栄養バランスが計算された食事」しか食べてないのに血糖値が下がらない患者がいるのはなぜでしょう。

大食いしていて2型糖尿病になった人が入院すると血糖値が下がるので(安田大サーカスのクロちゃんもそう)、「食べ過ぎと飲みすぎをやめましょう」には一定の効果があります。

また「砂糖が入った飲み物をやめて無糖にしましょう」も重要です、甘い飲み物は急激に血糖値を上げるからです。

私の場合、お菓子やジュースが良くないことは知っていたけれど、玄米でも血糖値を上げることや果物に多く含まれる果糖は脂肪肝の原因になりやすいことについてはほとんど意識していなかったのが大きな間違いだったと思います。

そしてジムでスタッフとして働いてて時間外にガチ筋トレもしていましたが「筋トレさえしていればOK」と思って1度も自己血糖測定をしたこともなかったです💦

 

でも理想ばかり言ってもなかなか受け入れられない?

ただね、多くの糖尿病専門医の先生方はご存じなんですよ、暴飲暴食をやめたり清涼飲料水を禁止する程度では糖尿病の予防・改善ができない人がいることは。

これまでネットも含めていろいろな糖尿病専門医の先生方と話をさせていただきましたけど、何かしましょうっていうとき、すごく簡単なことでもなかなかできない方が多いのでどうしても優先順位の高いことから言うしかないと。

確かに毎日ゲームばかりしてどこへ行くにも車で毎食どんぶりごはんでデザートにケーキ、ポテトチップス1袋、コーラ…なんて方に「糖質制限してジムへ入会しろ!」とかどうせ無理ですよね💦そういう方はそこまでしなくても改善するでしょうし。

だからまず暴飲暴食と清涼飲料水をまずやめましょうというのは分かります。肝臓専門医の尾形哲先生によれば、清涼飲料水をやめましょうというスライドがテレビの健康番組でスポンサーへの配慮?からダメ出しを受けたそうです!難しいですねぇ。

 

 

「どうせ多くの方ができやしない理想を言ってもしょうがないから簡単なことだけ言う」というのは理解できます。

しかし中には本気で「糖尿病合併症になるのは真面目に治療しなかった人だけです!」と断言する医師もいます…自分の患者さんたちで合併症が進行した人はみんなそうだと言っているのと同じですよね。

正確には「治療をすれば糖尿病合併症になることは少なくなります」というべきで、現在行われている標準治療が万人に完璧な効果を示すものではないことはきちんと認めてほしいのですが…

 

糖尿病デーだから糖尿病について正しく理解してほしい

糖尿病で足を切断した方、人工透析になった方、失明した方…そういう例を見せて「ほら糖尿病は怖いでしょ?こうならないように気を付けましょうね」ということに意味がないとは思いません。

でもね、「あの人たちは食べ過ぎたからそうなったので私は大丈夫だもん♪」と思って将来糖尿病になってしまう人は確実にいますよ。かつての私のように…

まず「食べ過ぎと飲みすぎをやめましょう」「砂糖が入った飲み物をやめて無糖にしましょう」「運動をしましょう」と言うのは良いですが「それでも体質によっては血糖値が上がりやすい方もいらっしゃます、その場合は…」とちょっと添えてくれるだけでどれだけの方が救われることか!

 

 

また、すでに糖尿病合併症になってしまった患者にとって「不摂生の限りを尽くした人が糖尿病合併症で悲惨な結末になる」「糖尿病の末期」などの言葉はどれだけ恐怖と悲しみを与えるか。

そして「私は糖尿病ですが2型ではないので生活習慣が悪かったわけではありません」というのもその方は何も悪くないのでその通りなんですけど、言い換えれば2型糖尿病はみんな自業自得と言っているようなわけで💦

型を問わずどの糖尿病もなりたくてなった方は誰もいませんし、決して「わぁ、あの人カワイソー」って他人ごとみたいに言える病気ではなく、多くの方がいずれは直面する病気なのですから…正しく理解されることを願います。

 

チャーコ
チャーコ

誰もが他人事ではない病気だと思ってほしいですにゃあ。

よっしー
よっしー

そうよ!高齢になって初めて発症する方も多いのだから。

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