ブラック・ジャックは日本一有名な無免許天才外科医
故・手塚治虫さんの漫画「ブラック・ジャック」は、言わずと知れた傑作医療漫画でしょう。
よっしーも小学生の時に初めて読み、無免許天才外科医BJのカッコ良さにすっかりハマってしまいました。
ブラック・ジャックは高額な手術代を請求しますが、そのかわり治せない病気はほとんどありません。そのため世界中から彼を頼って患者たちがやって来るのです。
さて、およそ治せない病気はないと思われるBJですけど、「糖尿病」の患者さんが登場するエピソードはあったでしょうか?…実は、1度だけ糖尿病の患者さんが登場する回があったのです。
※以下、漫画のネタバレを含みます。ご注意ください。
クッシング症候群の若い女性
第87話「満月病」(少年チャンピオンコミックス22巻、秋田文庫14巻収録)に出てくる山下クミという18歳の女性は、「極度の肥満・糖尿病・多毛症・高血圧」の症状があり、どうやら副腎にできた腫瘍が原因らしいとのこと。
高額な治療費が払えないということで手術はしていなかったのですが、クミが恩師の娘なのでBJが手術で腫瘍を取り除き、彼女は完治します。
おそらく、糖尿病も治ったと思われます。彼女の場合、クッシング症候群から来る2次的な糖尿病だったので。良かったですね♪
回復したクミは、すっかり脂肪も取れて見違えるように美しい女性に戻っていました。
しかし、いわゆる通常の糖尿病患者のエピソードは、他に登場しないですね。2次的なもの以外の糖尿病を外科的に治すことは、BJにも出来ないのでしょう。
糖尿病ではない男性に〇〇をした驚きのエピソードがある!
実は、驚きのエピソードがあるんです。第32話「閉ざされた三人」(少年チャンピオンコミックス3巻、秋田文庫6巻収録)では、BJと小学低学年ぐらいの男の子、男の子の父親がデパートのエレベーターに閉じ込められてしまいます。
何と、原因は地下水をくみ上げすぎたためにデパートが傾いたということ、ぞっとしますね!
3人はエレベーターの中で救助を待ちますが、3時間経過しても救助は来ず、次第に呼吸が苦しくなります。「このままではみんな酸欠で死んでしまう」と思ったBJが取った手段は…
なんと、ケガをした父親の「私はどうせもう助からないので、私を殺してください、その分酸素が浮いて息子が助かる」という願いを聞いて、ある薬を父親に注射したのです。
腕に薬を注射された父親は「ウウ…ウウ…ウーン ウーン」と苦しげな声を上げ、汗をいっぱいかいて全身がけいれんし、ガクリと動かなくなってしまいました。
それを見た男の子は「パパを殺したんだな、人殺し!」と泣いてBJに迫ります。やがて救助が来て2人は助かるのですが…死んだと思った父親は実は生きていました。
実は、男性にほとんど息をさせないで酸素を節約するために、BJがインスリンを大量に注射したのです。男性はすぐに病院に救急搬送されることになりました。
「閉ざされた三人」のエピソードから思ったこと
初めてブラック・ジャックを読んだのは小学生の時だったのでよく分かりませんでしたけど、今改めて読み返すと、インスリン注射を大量に注射して仮死状態にするってとても怖いですよね!!
過去には、インスリンを300単位注射して自殺を図った方や看護師が誤ってインスリンを大量に注射して患者さんが死亡するという医療事故も起きています。
また、事故ではなく、看護師が糖尿病ではない患者に意図的にインスリンを大量に注射して低血糖状態にさせるという傷害事件も起きています…
インスリン注射の発明によって1型糖尿病の患者さんが生きられるようになったのは本当に素晴らしいことですけど、反面、インスリン注射は劇薬であることを忘れてはいけませんよね。
手術で糖尿病を治せるか?
ブラック・ジャックが通常の糖尿病の患者を手術で治したというエピソードはありませんでしたが、最近話題になっているのが「胃バイパス手術」です。
高度肥満の糖尿病患者の胃を切って小さくし、小腸につないでしまうことで8割の患者の血糖値が正常化するというのです。たくさん食べられなくなりそうな手術ですね。
しかし、これはあくまでも高度肥満が原因で糖尿病を発症した人の話でしょう。
標準体重で発症し、遺伝的な素質のある患者にはおそらく期待するほどの効果はないのではないかと想像します。
天才外科医のBJでも治すことが出来なかった糖尿病ですが、いつか「完治」できるようになる日が来るのでしょうか。