医師であり糖尿病患者でもあるバーンスタイン先生
当ブログでもよく紹介しているのが、アメリカ人の医師で1型糖尿病患者でもあるリチャード・K・バーンスタイン先生です。
バーンスタイン先生は12歳の時に1型糖尿病を発症なさって、当時はまだ自己血糖測定器というものがなかったので血糖測定をしないで「バランスの良い食事」を食べてインスリンを打っていました。
ところが30代の頃には目や腎臓など体のあちこちに糖尿病合併症が山ほど出てしまい「もう子供たちが成長した姿を見ることはできないだろう…」と先生は絶望なさっていました。また当時、ジムでいくら筋トレをしても筋肉が付かずガリガリだったそうです。
ある時先生はいち早く自己血糖測定器を入手し、1日の中で血糖値が40以下から400以上までジェットコースターのように変動していることを初めて知りました。
そこから先生は試行錯誤を重ね、糖質制限+インスリン少量頻回注射という方法を編み出し、血糖値が正常化して糖尿病合併症も徐々に消えていきました。
糖質制限を開始してからはやっと人並みに筋肉が付くようになったそうです。そして先生は40代で医師になり、84歳の現在も医師としてたくさんの糖尿病患者たちを診察なさっています。
なるべく少量のインスリンで効果的に血糖値を下げる
バーンスタイン先生は1型糖尿病患者ですが、この本は決して1型糖尿病の方だけに役立つ本ではありません。2型糖尿病患者さんたちにもぜひ読んでもらいたいです。
決して安価な本ではないので最初は買うべきかどうか悩みましたが、値段以上の価値がある本なので本当に購入してよかったです♪
バーンスタイン先生によると、真に正常な血糖値は83~85ぐらいで、これは食後でもそんなに上がることはなく、HbA1cも4%台半ばが正常値だとか。ひぃー!!
血糖値を24時間この理想値に近づけることで糖尿病合併症の予防と改善になるので、まず食事は糖質制限(朝は糖質6gまで、昼と夜は糖質12gまで)にします。
たくさん糖質を食べてその分ボーラスインスリンを多く打つと、うっかり「はずれた」時に重い低血糖になる恐れがあるので、糖質制限をしてボーラスインスリンの量をなるべく減らすんですね。
先生自身は1型で自己分泌ゼロに関わらず、1日にベーサルインスリンをたったの6単位(3単位を2回打ち)とボーラスインスリンを3食合計で10単位ぐらいしか打っていないそうです。
2型でインスリンを打っていない方の場合、まず糖質制限、それから運動で血糖値の正常化を試みます。
食事と運動だけでムリな場合は飲み薬でインスリンの効きを良くして、それでもダメなら2型でもインスリンを打つという事です。
バーンスタイン先生の方法は一見、インスリンをガッツリ打って血糖値をかなり下げる方法に見えるかもしれませんが、実はなるべく少量のインスリンで済むように考えられているんですね。
1型の方は糖質制限をしていても絶対にある程度の量のインスリン注射は必要です。打ちすぎなければ、先生のように合併症を克服して健康に暮らせるのはとても心強いことですね。
「正常血糖値&低インスリン」を目指すのは、糖尿病合併症の予防と改善には最善であろうことは想像できるんですが、やってみるとなかなか大変かもしれません、最初は💦
たくさんの患者さんたちの体験談が励みになります
この本にはまず、糖尿病患者であるバーンスタイン先生自身の糖尿病克服体験が詳しく載っています。
糖尿病腎症第3期から薬なしで第1期まで回復された(長年かかってアルブミン尿もまったく出なくなったそうです)というのは本当に素晴らしいですよね。
そして先生の患者さんたちが糖尿病合併症を克服された体験談がたくさん載っているので、これを読むと「よし、私も諦めずに頑張るぞ!」という気持ちになれます。
最初この本を読んだときは「朝食の糖質6g?HbA1c4%台?そんなの絶対無理に決まってるじゃないか」と思ったんです。
でも「どうせ無理だからやらなーい」じゃなくて「カンペキにはできないけど少しでも近づけるように頑張ってみよう」と思うようになりました。
まぁHbA1c4%台と言うのははるか遠い夢ですけど(!)糖質制限は全く苦痛を感じずにバーンスタイン先生のやり方を守れるようになりました♪
これは1型糖尿病の方だけではなく2型糖尿病の方にもすごーくおすすめの本なので、ぜひ読んでみてくださいね。