糖尿病はまだ治せない病気です
妊娠糖尿病の方は、産後は何もしなくても自然に治る方がほとんどです。よっしーもそうでした。また境界型糖尿病の方が1年間糖質制限したら7割の方が完治したというデータはあります。
しかし、いわゆるガチの糖尿病の場合、残念ながら現代の医学ではまだ「完治」はありません。それは1型糖尿病も2型糖尿病も同じです。
何らかの努力(運動、食事療法、薬、インスリン)によって、ほぼ糖尿病が治ったのと変わらない状態にまで持っていくことは可能です。
しかし私の某友人のように「運動が大嫌い、カロリー制限なんてしたこともない、甘いもの大好き」でもまったく糖尿病にならない…という状態には、絶対に戻ることはないのです。
なぜなら、はっきりと「あなたは糖尿病です」と診断された時点ですでにすい臓のβ細胞の何割かは死んでしまっていることが多いからです💦
しかも2型糖尿病で生まれつきインスリン分泌能力が低い方の「体質」は遺伝子に刻まれたことで、変えようがありません。
真に糖尿病ではない方は、何をどれだけ食べても運動なんてしなくても一生大丈夫なんです。だからそういう意味での「完治」は残念ながら難しいでしょう。
遺伝子は変えられない上、すでに死んでしまったβ細胞をどうするか…ってことだよな。
運動や糖質制限で食後血糖値を上がりにくくすることはできるけど、それって「完治」じゃないのよね。
すい臓を再生できるようになる
動物実験段階では、iPS細胞ですい臓を再生することにすでに成功しています。
この技術がヒトで実用化されれば、1型糖尿病の方がインスリン注射から解放されるかもしれません、非常に素晴らしいことです。でもそれで皆が病気にならずに健康になれるでしょうか?
確かに失われたベータ細胞を再び増やせれば糖質を食べても血糖値は上がらなくなるでしょうけれど、食べても血糖値が上がらないということはどういうことなのか思い出してみてください。
おそらく…治療を受けた人たちは「ウェーイ、これで何を食べても平気だぜ!」とばかりに好きなものを食べ、再びインスリンの効きが悪くなり始め、それを補うために大量のインスリンを分泌するでしょう(2型糖尿病の初期では、むしろインスリンは健常者よりも多く分泌されています)。
そして、また糖尿病になったらベータ細胞を補う治療を受け、また好きなものを食べて…その繰り返しで糖尿病は克服できたとしても、長年の高インスリン血症による動脈硬化や癌が、その人の生命を奪うかもしれません。
よっしーは少し前に水野雅登医師に「ちょっぴりβ細胞が増えるんだよ」と教えてもらったガンマオリザノールのサプリを飲んでいます。
4年前に重度の糖尿病と診断された時、すでによっしーのβ細胞はかなり死んでしまっていたはずです。せめて少しでも、β細胞が再び増えてくれるといいのですが💦
血糖値が上がらなくなればそれでいいですか?
よっしーは、糖尿病と診断されたとき「治りたい」と思いました。おそらく糖尿病患者のみなさんは「完治したい」と思い、時にはワラにもすがる気持ちにもなるでしょうね。
しかし血糖コントロールを続けていくうちに、糖尿病は単に血糖値が上がるだけの問題ではないこと、糖質制限は血糖値を上げないだけではなく、じつは食後に追加インスリンを必要以上に分泌させないことこそがキモであることを知りました。
たまには「あー、糖質や血糖値のことをなーんにも気にしないで、大盛りチャーハンにギョウザなんかをお腹一杯食べてみたいなぁ」と思うことだってあります。
・糖尿病の方へお願いがあります🙄
『〇〇すれば治る』『〇〇しなさい』『〇〇で治りました』などの書籍、SNS投稿などは鵜呑みにしないでください。
自前のインスリン分泌量や体型、年齢、合併症の有無などで、一人ひとり治療法が異なります。
見ず知らずの書き込みより、主治医を信用してください🥺— おだQ 💉糖尿病の糖尿病医 (@OdaQ_DM) September 8, 2020
でも、意志の弱い私ですから…きっと、糖尿病を治すことができるようになったとしたら、ズルズルと「月1回」が「週1回」になり、そのうち毎日になるに決まっています。
まだインスリン分泌能力がなくなったわけではない私、フルマラソンに出場する直前であれば何を食べても大丈夫なのかもしれませんが、正直そこまでして食べたいとは思いません。
せいぜい、時々ローソンの糖質オフスイーツを食べて歩くぐらいのもんですね。消費しきれない糖質は食べない、これでいいと思っています。
糖尿病合併症を進行させないでその日を待ちましょう
いつか糖尿病が「完治」できる日はきっと来ます。その日まで、糖尿病合併症を進行させることのないように血糖コントロールを頑張って行きましょう。
遺伝子に刻まれた情報を「書き換える」ことはまだまだいろいろな意味で難しいかもしれません。治るとしたら、2型糖尿病よりも1型の方が先になるような気がするのです。
もし「糖尿病が治った」としても、以前と同じ生活ではまた同じことを繰り返すだけです、2型糖尿病のみなさんは…以前の食生活が体質には合わないのですから。
いつの日かせっかく「糖尿病が治るチャンス」を与えられたなら、もう2度と同じ過ちは繰り返さないようにしたいものです。
「昔は糖尿病という恐ろしい病気があったね」といつか語られるようになるといいね!
子供たちの世代に私たちと同じ苦しみを味わってほしくないわ。