高タンパク食は腎臓に良くないの?
よっしーは糖尿病を発症しても専業主婦で検査を受ける機会に恵まれなかったため、何年間も気付かずにほったらかしてしまいました。
そのため、4年前に糖尿病性ケトアシドーシスで入院した時の検査で「両側の腎臓が腫大している、糖尿病腎症の疑いあり」と言われ、タンパク尿も(3+)潜血が(2+)出ていました。
糖尿病腎症は糖尿病の3大合併症の一つで、進行すると最終的には人工透析(機能を失った腎臓に代わって、人工的な方法で血液のろ過を行う)をしなければいけなくなります。
下の表はメディマグ様のサイトからお借りしました。よっしーはまだ腎機能は低下していませんが、ただいま糖尿病腎症第2期です💦
糖尿病患者の皆さんが大いに気になるのが「糖尿病腎症って進行を止めたり治したりできるの?」ということではないでしょうか?
実は、薬なしで糖尿病腎症第3期Aから第1期まで回復したのがアメリカのバーンスタイン医師です。
先生は84歳ですが、30代で糖質制限を始めて1年後にまずタンパク尿が出なくなり、その後かなりの年月を経てアルブミン尿もまったく出なくなったそうですよ。
そこまでいかなくても、第2期まで回復した方や第2期から第1期まで回復した方はたくさんいらっしゃいます。
「でも糖質制限ってタンパク質をたくさん食べるから腎臓に悪いんじゃないの?」と不安に思って糖質制限なさらない方もたくさんいらっしゃいますよね?
よっしーは一時期「持続性タンパク尿」が+1出ていたことがあるのですが(現在は陰性です♪)。その時に主治医は「別にローカーボで腎臓が悪くなるわけじゃないだろう」とおっしゃいました。
実際、腎臓もタンパク質で出来ているという記述に納得ができたので思い切ってタンパク質の摂取量を増やしたぐらいですし…
主治医は「糖尿病腎症とは無関係の腎臓の病気もいろいろある」とおっしゃっていましたし、病気の状態によってはタンパク質制限も必要になるでしょう。
しかし現段階で腎機能が低下していない人の腎臓に関して、タンパク質ばかり悪者にする方が多いようですけど本当にそうなのか?もっと気を付けるべきことがあるのでは?と思います。
ええっ、オレたちも肉をしっかり食べているけど危険なのか??
たぶんね、タンパク質以上に腎臓に良くない物が他にあるのよ。
もっとも腎臓に悪いのはタンパク質でしょうか?
日本の成人の約8人のひとりが慢性腎臓病(CKD)にかかっていて、その中にはまだ自覚症状もなく未治療の方も相当いると思われます。
原因としては糖尿病の方がかなり多いですが、肥満・高血圧・その他の病気から起こることもあります。
何となく「タンパク質をたくさん食べると腎臓が悪くなるのではないか」と不安になる方は多いですよね?
日本腎臓病学会は「eGFR60ml/分以上あれば顕性タンパク尿の段階でも、タンパク質は過剰な摂取をしない」つまり腎機能がある程度保たれていればタンパク質制限までしなくていいとしています。
アメリカ糖尿病学会は糖尿病腎症の患者がタンパク質制限をする意義を否定しており、厚生労働省の2015年の「日本人の食事摂取基準」では「現時点ではタンパク質の耐容上限量を設定し得る明確な根拠となる報告は十分には見当たらない」とのことで耐容上限量は設定されませんでした。
eGFR(推算糸球体ろ過量)とは、腎臓にどれくらい老廃物を尿へ排泄する能力があるかを示しており、この値が低いと腎臓の働きが悪いということになります。
すでに腎臓の機能がかなり低下してしまっている場合は、残された腎臓の糸球体の負担を減らさないといけないのでタンパク質制限をしなければいけないこともあるんでしょう。
ちなみに、かなり腎機能が低下すると高カリウム血症になるため野菜や果物も制限しなければいけなくなります。
腎機能が正常な人の腎臓が、常識の範囲内でのタンパク質摂取で悪化するという信頼できるエビデンスはまだないんです。
もしタンパク質がもっとも腎臓を悪くする原因なのであれば、糖尿病患者よりもむしろボディビルダーやアスリートたちに腎臓病が多く発生しているはずではありませんか?
本格的に体を作るために大量にタンパク質を摂取している人たちよりも少量のタンパク質しか摂取していない糖尿病患者たちが次々と糖尿病腎症になるのはなぜでしょうか。
日本では年間16000人もの糖尿病患者が新たに人工透析を開始していますし、本当はもっと多いのではないかという話すら聞いたこともあります💦
では、平均的な糖尿病患者よりもたくさんタンパク質を摂取していると思われるアスリートやボディビルダーのみなさんは、そんなに高い確率で人工透析になっているでしょうか?
タンパク質を多く摂取することよりもはるかに腎臓にダメージを与える原因があるのではないか…と考えるのが普通ではありませんか?
なぜ糖尿病腎症になってしまうの?
腎臓はソラマメのような形をしていますが、腎臓の中身は糸球体という細い小さな血管の塊が集まったものです。
この糸球体ひとつひとつが血液中の老廃物をろ過してくれるのですが、糖尿病で血糖値が高い状態が続くと糸球体の血管に動脈硬化が起こり、血管が狭くなって十分なろ過を行えなくなってしまいます。
しかもこれは血糖値が高いだけではなく、肥満や高インスリン血症、高血圧などによっても悪化するそうです。
まだ糖尿病と診断されたわけではない境界型糖尿病、いわゆる「糖尿病予備軍」の段階でも、肥満でインスリン抵抗性があると少しずつ腎症が始まっていることがあるのはこのためです。
糖尿病患者で血圧が高い方、肥満の方は今すぐそちらを解消しましょう。塩分制限や血圧を下げる薬を使用することもあります。
そして誰でも年齢とともに糸球体が変化したり数が減っていくので、80歳を過ぎると4~5割の方が慢性腎臓病になってしまいます。
糖尿病患者は特に腎臓を悪くする可能性が高いので気を付けなければいけません。糖尿病患者の高血糖や高インスリンの最大の原因と言えば…そう、糖質ですよね。
「タンパク質は腎臓に悪そうな気がする」と言いながら糖質の摂り過ぎにはそれほど危機感がない方がたくさんいらっしゃるのは、とても心配なことです。
タンパク質をどの程度摂取すべきかは、まだ専門家の間でも意見が分かれるところではあるので慎重になる必要はあるかもしれません。
でも糖質の摂り過ぎは明らかに良くないことがはっきりしているのですから、まずそちらを何とかするべきではないでしょうか。
糖尿病腎症って治すことはできるの?
リチャード・K・バーンスタイン医師によれば、ネズミの実験では糖尿病腎症のネズミの血糖値が正常化すると、新たな糸球体ができて腎機能が正常に戻ったそうです。
残念ながらヒトの場合は、いったん失われた糸球体が「復活」するというのはそう簡単なことではないのでは?
でもね、もう修復不可能なぐらい壊れてしまった糸球体はどうしようもないにしても、まだ元通りになる可能性のある糸球体を何とかして元の状態に戻すことができればいいんですよね。
そのためには、ケースバイケースですが降圧剤、減塩、ダイエット、糖質制限などを組み合わせてじっくりと取り組んでいくことになるでしょうね。
いろいろな情報を探しましたが、どうもいろいろ手を尽くしてもいったんダメージを受けた腎臓を「復活」させるにはけっこう時間がかかるようです。
バーンスタイン医師は1年でタンパク尿が陰性になりましたが、微量アルブミン尿も完全に出なくなるまでにはかなりの年月がかかったように彼の著書からは読み取れました。
要するに結果を焦ってはいけないということですね。糖尿病腎症ではない糖尿病患者さんや、糖尿病腎症でもまだ腎機能が保たれている方は江部先生のブログや著書をよく読んでから実践しましょう。
そして腎機能がある程度低下している方や何か他に問題がある方は、糖質制限に理解のある病院で診察を受けることをお勧めします。
腎臓はとても大事なので、気を付けようね。
すでに腎症がある方は血圧が上がるような高強度の運動も良くないので気を付けましょうね。