1型も2型も糖尿病患者は偏見と差別に苦しみがち
カナダで行われた調査で、1型糖尿病の青年の多くが病気のせいで他人から偏見や差別を受けたり、自分を恥ずかしく思う感情を抱いていることが分かったそうです。
うん?1型糖尿病だけなの?2型は?と思いましたが、よく考えると1型糖尿病は子供の頃や若い時に発症する方も多いですよね。
よっしーのように比較的若い頃に発症する2型糖尿病もありますけど、全体的には40歳以降の発症が多いのです。
子供や若者だとまだ周囲に糖尿病の人がほとんどいない状況なので「糖尿病?お前甘い物ばっかり食べすぎたんじゃないのか?」などと言われてしまうのでしょうか…
そして2型糖尿病患者も偏見に苦しむことがあります。よっしーは糖尿病性ケトアシドーシスで入院した時に辛い思いをしましたね。
同室の、甘いお菓子や果物が大好きで2型糖尿病になったというまん丸体型のおばあちゃんから「まぁ若いのにあなたも糖尿病?今までの生活を反省しなさいね」と言われました。。
1型糖尿病は生活習慣と無関係に突然発症するので、周囲から心無いことを言われて傷つく気持ちはもちろん分かります。
しかし2型糖尿病は、またちょっと違った意味でやっぱり偏見を持たれがち。2型糖尿病患者の中には、不摂生をして太り過ぎたのが原因で発症する方も確かに多数いらっしゃるからです。
不摂生で糖尿病になった方は簡単に改善するのに…
糖尿病で入院したときに、おそらく不摂生が原因で発症したと思われるおばあちゃんから「今までの生活を反省しなさいね」と言われたのは、かなりこたえました。
「あなたと一緒にしないでください、私は遺伝なので、これまでいろいろ健康に気を使ってきた(つもり)なんですから!」と言いたいぐらいでしたorz 言いませんが…
遺伝で発症した方ってどんなに一生懸命頑張ってもなかなか簡単には良くならないのに、明らかに不摂生が原因の方ってちょっと生活を改善するだけで簡単に改善することも多いんですよね。
で、そういう方に限って「糖尿病は甘えだ、糖尿病は食べすぎとデブが原因、だからカロリーを減らして運動しろ、改善しない奴は努力が足りないんだ!」とか言っちゃうんです。
糖尿病患者は世間からの偏見と差別に苦しんでいると書きましたが、むしろ同じ糖尿病患者の中でもごく軽度の方、イージーモードの方からの偏見のほうが厄介なのかもしれません。
だって、今まで毎食どんぶりご飯をお代わりしていてうんと太っていた方が毎食、茶わん1杯に減らすだけで痩せて血糖値も劇的に下がることなんてよくあることです。
でも、もともと茶わん1杯しか食べていなかった人はこれ以上どうしろというのでしょうか…生まれつきのインスリン分泌能力にはかなり個人差があり、これはどうしようもないんですから。
また、これまでひきこもりでまったく散歩もしていなかったような方がジムに通い始めたらそれだけでも急速に筋肉が増えて血糖消費量も増えるかもしれません。
でも、すでにしっかり運動していて糖尿病になった場合、本当にどうすればいいんだかわかりません…ダンスや水泳のコーチで2型糖尿病になった方も知っていますよ。
飲み薬やダイエットやサプリメントや運動などでカバーしきれる程度の軽い人ばかりではないんですよね…もちろん、努力によって多少「マシ」にはなるでしょうけど。
インスリン抵抗性がある場合、その原因を取り除くことで効果は期待できます。しかしインスリン抵抗性には遺伝も関係していますし、すでに大部分死んでしまったベータ細胞をどうやって元通りに増やすんでしょう?
糖尿病患者への差別はどのようなもの?
原則として、糖尿病患者であることを理由に就職を拒否したり解雇してはいけないことになっています。
しかし低血糖を起こす可能性があるような場合、他人の命を預かるような仕事に就くのは難しいかもしれません。これは仕方がないですよね。
よっしーの知人は糖尿病ではありませんが、中学生の頃からある慢性的な病気(意識を失ったりはしない)を持っていると言うだけで就職試験の健康診断で落とされてしまいました。
普通の会社の営業職なのに…まぁとても優秀な彼は1年間勉強して資格を取り、自分の事務所を持って結婚もして40代の今でも元気に働いていますけどね。
インスリン注射をしている方は、低血糖で倒れるリスクは常にあります。でもそうではない場合、会社に自分が糖尿病であることを伝えるかどうかは職種や状況によるのかなと思います。
また「あの人は糖尿病家系だから結婚はやめたほうがいい」などと言われることもあるかもしれませんね。
確かに2型糖尿病になりやすい体質は遺伝しますし(不摂生しすぎた方を除く)、1型糖尿病も、もともとなりやすい体質というものがあってそれに何かきっかけが加わって発症すると言われています。
でもね、日本人の5~6人にひとりは糖尿病か糖尿病予備軍になるんですよ。家族や親戚にひとりも糖尿病患者がいない人がどれだけいるでしょうか?
生まれつきお酒が飲めない人は飲まなければ何も問題が起こらないように、糖尿病体質でも糖質に気を付けていれば大丈夫なんです。
食生活など、その人をサポートしていきたいと思える相手なら良いんじゃないでしょうか…「そんなのヤダ、一緒にラーメンやパンやゴハンを食べられない人なんかイヤよ」と思うなら仕方がありません。
まず糖尿病患者の私たち同士から偏見をなくしていこう
偏見は、本当のことを良く知らないがゆえに起こることです。決して悪意があってのことではないと思います。
よっしーは2型糖尿病なんですけど、先日1型糖尿病の方とお話した時「2型の人は太りすぎや食べすぎでなると思っていた」と言われました。
2型糖尿病=生活習慣病というイメージが根強いからこそ、一部の1型糖尿病の方は「2型の人と一緒にされたくない」と強く思ってしまうのかもしれません。
また同じ2型糖尿病であっても、不摂生が原因の場合と遺伝の場合は病気の程度も違いますし、発症後すぐに治療を開始しなかった場合はインスリン分泌不全が高度になり、1型に近い状態になることもあります。
軽度で運のよかった方が「糖質制限なんてしなくても、腹八分目にバランスよく食べるだけで血糖値が下がるのに」と言っても、それは他の人には当てはまらないかもしれません。
また不摂生が原因で発症したとしても、今さらそのことを責めてももうどうしようもないんです。過去は変えられない、変えられるのは未来だけなんですから。
世間の方たちに糖尿病についてもっと正しく理解してもらうためには、まず糖尿病患者の私たちが「いろいろな患者がいるのだ」ということを認めあわなければね。
多くの方はただ糖尿病について正しい知識をあまり持っていないだけなんです。私たちが妙に卑屈にならずにオープンにしていれば「そうなんだね」と周囲はいろいろ分かってくれるかもしれません。