カロリー制限すれば2型糖尿病はみんな改善する?
「1型糖尿病と違って2型糖尿病の人の多くは肥満だからカロリー制限をしてダイエットするべき」とか「糖質制限なんてしなくてもちょっとカロリーを減らしてバランスよく食べれば痩せられますよ」とかよく言われますよね。
でもねー、もともと太っていた方がたまたま2型ではなく1型糖尿病になるケースもあれば、全然太っていないどころか痩せているのに2型糖尿病になる人もたくさんいらっしゃいます。
また1日あたり1400~1600kcal程度のカロリー制限食ではなかなか痩せない方はたくさんいらっしゃいますよ。
もともとかなり肥満の方は、その大きな体を維持するだけでもかなりのエネルギーが必要になるので軽いカロリー制限で簡単に痩せていくかもしれませんが…
肥満が原因で糖尿病になった方はダイエットするだけでも血糖値が改善しますし、そのような方はとにかく痩せれば方法は何でもいいと思われがちかもしれません。
摂取カロリーをかなり減らせば、体脂肪と一緒に筋肉も減っていくのできっとものすごく順調に「体重」を落とすことが出来るはずですね、健康には良くありませんけど(汗)
ダイエットと血糖コントロールは別物です
アメリカの2型糖尿病患者グレッチェン・ベッカー女史の著書「糖尿病・最初の1年」には、次のような記述が登場します。本から一部引用させていただきます。
減量は確かにインスリン抵抗性を減らします。しかし血糖コントロールが減量よりももっと重要であることを決して忘れてはいけません。体重は減らしたが血糖値を1日中300mg/dLに据え置いたダイエットを発見したとすれば、それは良いダイエットとはいえないでしょう。
要するに「糖質を食べても確かに痩せることはできるけど、血糖値が上がるからそれって糖尿病患者にはどうなの?」というわけですよね。
もしあなたが肥満の糖尿病患者だとしてダイエットしなければいけないとしても、どうせなら血糖値を爆上げしない方法で痩せるほうがいいですよね。
糖質を食べながらでも痩せることは可能だと思います。実際よっしーも昔、おやつにおにぎりを食べながら運動して痩せたことがありました。
当時は脂質制限と低GIダイエットに熱中していたのでおにぎりは玄米おにぎり。納豆や魚は毎日食べていましたが、卵は1日1個まで。たまに肉を食べる時は茹でたササミばっかり!
でも、糖尿病発症は防げなかったわけです…痩せていれば何の問題も無いと言うのなら、おにぎりを食べて運動して体重が減ったのになぜ糖尿病になるのでしょう?
2型糖尿病の女性患者さんで、カロリーや栄養バランスを計算してくれるサイトで「100点」を目指して頑張っていて体重は何キロか落ちたのにHbA1cは悪化したという方もいらっしゃいましたよ。
痩せ型糖尿病患者が太りたい場合は糖質が必要か?
さきほど「痩せているのに2型糖尿病になる人も多い」と書きましたが、では逆にやせ型糖尿病患者はわざわざ血糖値を上げてまで糖質を食べて太るように努力しなければいけないのでしょうか?
妊娠糖尿病の患者さんたちは「分食」を指導されますよね。お腹の赤ちゃんのためにたくさんカロリーが必要だけど、1度に糖質を多く食べると血糖値が上がるから食事の回数を増やして少しずつ糖質を食べろと言うわけ。
それはひとつのやり方としてはアリだと思いますけど、正直そこまでして糖質を食べないといけないのかなぁ…と思いますね。
千葉の宗田マタニティクリニックでは糖質制限をしている妊婦さんがたくさんいらっしゃいますけど、みなさん無事に健康な赤ちゃんを出産されていますよ。糖質無しで。上の画像は宗田マタニティクリニック様のサイトからお借りしました、入院患者さんの給食だそうです♪
うちの家族や知り合いで糖質制限をしている人たちを観察してみると、正しい糖質制限を行っていればある程度以下に体重が落ちてガリガリになってしまうことってまずないんです。
父は2型糖尿病で「これ以上痩せたらヤバいんじゃないか」と母が心配するぐらいカロリー制限した時期がありましたが、当時血糖値はイマイチでした。
でも糖質制限に切り替えておやつにチーズやナッツを食べるようになったら何キロか太って血糖値は以前よりも改善したんですよ。父は発症後30年以上経ってますが元気です♪
ただ「正しい糖質制限」って意外と難しいのかもしれません。なんとなくヘルシーっぽいイメージの野菜やキノコ、ささみ肉ばっかり食べて豚バラ肉や卵はあまり食べていなかったりしませんか?
「食後血糖値を抑えるためにちょっと糖質を減らさなきゃね」と言いつつ、結局一般的にヘルシーだと思われている食事のイメージから脱出できないため、カロリーの低そうなものばかり食べちゃう方が多いと思います。
タンパク質と良質の脂質をいかにしっかり摂取できるかが成功のカギだと思うのですが、いかがでしょうか。
果物は血糖値を比較的上げにくく太るのに最適ですが、果糖はブドウ糖の10倍もAGEsを作って動脈硬化を進行させると言われています。食べすぎにはご注意を!
まとめ:体重のコントロールも大事だけどそれだけではない
あなたが糖尿病患者でかなりの肥満体なら、1型だろうと2型だろうととりあえず標準体重ぐらいまで痩せましょう。
1型でも肥満を解消することでインスリン注射の量を減らせることがあります。インスリンは重要なホルモンですが、必要以上に大量のインスリンを使うのは良くありませんから。
高度肥満の方はおそらくカロリー制限だけでスルスル痩せる方が多いでしょう。家族に誰も糖尿病患者がいないのに自分だけ太って糖尿病になった場合は、これで十分かもしれません。
今までどんぶりでご飯を食べていた方が毎食茶わん1杯だけに減らせば、それだけでその方にとっては軽く「糖質制限」したことになりますよね♪
ただ問題は、標準体重~ちょいポチャ程度の体型の方。このような方は病院で指導される程度のカロリー制限ではなかなか思うように体重が減っていかないことも多いものです。その上、痩せたとしても糖尿病はさほど劇的には改善しないでしょうね。
このような方にはぜひ糖質制限を試してみてほしいと思います。長鎖脂肪酸代謝異常症・活動性すい炎・肝硬変・かなり進行した糖尿病腎症などの方は残念ながらできませんけど、そうでなければ問題は無いはず。
糖質制限のキモはただ糖質を減らすだけではなく、タンパク質や良質の脂質を多く摂取して脂肪をメインエネルギーとして使うということをお忘れなく。
テレビの健康情報などの影響などでなーんとなくヘルシーっぽい野菜や豆腐やキノコばっかり食べて特に脂質が不足してしまい「糖質制限したらガリガリになった!体調が悪化した!」なんてことにならないようにね。
もともと痩せすぎている糖尿病患者は、筋肉を増やすことを考えましょう。ただ、筋肉を増やすために必ずしも糖質が必要になるわけではないということを知っておいてくださいね。
若かったころのよっしーは、「筋肉を増やせば糖尿病にはならないだろう」と思い込んで、筋肉のために良かれと思って糖質をしっかり摂取して糖尿病になった愚か者でしたからorz
糖尿病患者の血糖コントロールといわゆるダイエットは、世の中で考えられているほど単純な関係ではないってことです。体重も大事ですが、血糖値もとーっても大事ということです♪