今日は「糖尿病性ケトアシドーシス記念日」なのです
今からちょうど4年前の朝7時過ぎ、よっしーは「このままだと死んでしまうかもしれない」と感じて夫の車で救急外来に連れて行ってもらい、糖尿病性ケトアシドーシスと診断されて緊急入院しました。
糖尿病性ケトアシドーシスは、糖尿病患者が何らかの原因により体内でインスリンの作用が極端に低下して体がブドウ糖をエネルギーとして使えなくなった緊急事態です。
この時のことは過去記事にまとめてありますので、興味のある方は読んでみてください。もう2度と経験したくない壮絶な出来事でした💦
フラフラになりながら検尿や血液検査、腹部CTなどの検査を受け、救急外来の片隅のベッドで横になっていると、若い先生が「今まで糖尿病と言われたことがある?」と。
「血糖値がものすごく高くて、475もあるの。このまま2~3週間ほど入院することになるよ」と言われて頭の中が真っ白になりました。
そして「私、そんなに悪いことをしたんだろうか…」と考えました。世間では「2型糖尿病は運動をしない、太り過ぎで暴飲暴食の人がかかる病気」だと思われています。
「もしかして私、1型糖尿病なんだろうか」と思いましたし医師からもそう言われましたが、妊娠糖尿病の病歴があったので「いや、やはり2型だろう」と思い直しました。
ひたすら「どうしてこんなことになっちゃったんだろう…これからどうなっちゃうんだろう…」と思うばかりでした。
いきなり血糖値475って言われても困るよな…
家族を置いて16日間も入院するのは大変だったわよ💦
人生はなんて不公平なんだろうと思いました
正直、「どうして私がこんな目に遭わないといけないのよっ!!」と激しい怒りと悔しさを感じました。
だって知人の中には、ケーキバイキングに行ったり運動が大嫌いでなーんにもしていないのに一向に病気にならない人もたくさんいます。
子供の頃から「健康になりたい」と思い、フィットネスクラブで働いていて1度もケーキバイキングに行ったことのない私がなぜ重度の糖尿病で合併症にまでなるの!?
あの時はもう本当に悔しくて「私、前世で何か悪いことでもしたのかしら…」と本気で思ってしまった位です。あまりにも人生は不公平だと思いました。
うんと不摂生した人だけが糖尿病になり、糖尿病と診断されても医師の言うことを聞かずにひたすら好きなものを食べまくった人だけが糖尿病合併症になるのならいいのに…
不摂生の限りを尽くす芸能人などが叩かれているのを見ると「ああ、糖尿病合併症のある重度の患者はこんな目で見られているのだろうな」と思ってしまいます💦
糖尿病合併症があるのとないのでは大違い!
糖尿病患者が必ず糖尿病合併症になるわけではありません。比較的血糖コントロールが良くないにもかかわらず合併症にならない人もいますし、HbA1cが5%台でも合併症は起こります。このことはアメリカのバーンスタイン医師の本にも書いてあります。
正直、糖尿病合併症のある患者の苦しみは合併症のない患者さんにはなかなか分かってもらえないでしょうし、まして糖尿病の当事者ではない方や合併症のご家族のいない方には理解できないと思います。
同じ2型糖尿病患者でも、ちょっとばかり血糖値が高いだけで特に合併症がない方はすごく羨ましいです。
1型であっても2型であっても、糖尿病合併症のある患者はいつも不安でたまりません。「突然、目が見えなくなったらどうしよう」「明日の朝、目が覚めなかったらどうしよう」という恐怖が分かりますか?
糖尿病神経障害のある患者さんは、夜もぐっすり眠れないほど苦しんでいらっしゃる場合があります。ごく初期なら血糖コントロールで簡単に改善することもありますが、必ずそうなるわけではありません。
何も悪いことはせず一生懸命頑張っていたのに目が見えなくなった人、人工透析になってしまった人、多くの方がやり場のない怒りと悔しさを抱えて生きています。
こんなにひどい目に遭った上、同じ糖尿病でもたまたま合併症のない方からは「努力が足りないから糖尿病合併症になるのだ」という目で見られることもあります💦
ある意味、健常者の方から無知ゆえに誤解されるよりも、同じ糖尿病の方から「糖尿病合併症になるのは血糖コントロールがきちんとできていないからだろう」と思われるほうが辛い気がします。
若い主治医は私の気持ちに向き合ってくれた…
退院の前日、当時29歳だった若い主治医がよっしーをナースステーションの横にある部屋に呼びました。そして「糖尿病合併症があると思う?」と。
主治医は言葉を選びながら病気の状態を丁寧に説明してくれました。すでに糖尿病神経障害(心臓の自律神経障害など)があること、腎症があること、脂肪肝のことなど。
泣き出しそうな私に主治医は「お子さんたちのためにも、何としてもこれ以上悪くならないように食い止めなければならないよ」とおっしゃいました。
『そうだ、息子たちのためにもこのまま死んではいけない!私は何としても生きなければ』と思いました。生き延びるためなら、主食を食べないことなんてどうってことないと思えました。
眼科医は「眼底検査の結果は異常なしです、次回は1年後でいいです」とおっしゃいましたが、糖尿病内科の主治医は「えっ、1年後と言われた?」と不安そうでした。
そして「1年後と言わず、半年後にもう1度検査を受けた方がいいと思う。目が見えなくなったら大変だから…」と。
その言葉が何となく頭から離れなかったので半年後に何気なく近所の眼科を受診したところ、高眼圧・糖尿病網膜症・黄斑浮腫が見つかったのです💦1年後まで放置していたら大変なことになっていたかもしれません。
今は転勤して別の市の病院にいらっしゃいますけど、あの若い先生は本当に真摯に向き合ってくれる良い先生だったなぁと思います。現在の主治医も、同じように良い先生です。
家族は糖尿病患者の合併症の苦しみを理解できるか?
退院して間もない頃、夫に対して「あなたには私の気持ちなんて分からない、病気の苦しみなんて理解できないでしょ!」と当たり散らしたことがあります。
今思うとあの時は鉄分不足で、そのせいでメンタルが不安定だったのもあると思いますが💦とにかく、分かってもらえないと感じていました。
夫は「分かってあげたいけど、正直全ては分からないよ。仕方がないだろう」と言いました。そうですよね、母だって糖尿病患者である父や弟や私のことをすべて理解しているわけではありません。
「理解しようとする」ことはできるけど、全てを理解するのは無理なのかもしれません。そばにいて見ているのと実際に自分の体に起こることはやはり違いますから…
すべてを分かってもらうのは無理だけど、少しでも合併症のある患者の気持ちに寄り添おうとしてくださる方には本当に感謝でいっぱいです。
逆に当事者でも医師でもない方から「私は糖尿病についてはなんでも知っています」というような顔をしてほしくないなぁ…と思うこともありますね、正直💦
「適度な運動とバランスの良い食事が大事なんですよ」と言われても、あなたに合併症の当事者の気持ちが本当に分かるのですか?と思ってしまいます。
糖尿病合併症があるということはそれ自体とても辛いことですし、将来合併症が進行してしまったらどうしよう…という不安は、とても苦しいことなのです。
糖尿病合併症があっても諦めずに前を向いていたい
すでに糖尿病合併症がある場合、合併症が何もない患者さんたちと比べればいろいろと生活は大変です。
運動にも制限がかかりますし、糖尿病内科以外にも定期的に通院しなければいけません。よっしーは2か月ごとに眼科に通って目薬をもらっています。
いつか本当に合併症が治る日が来るんだろうか…という不安に押しつぶされそうになりながら、時に世間からの偏見に苦しみ、自分の過去に何か悪い行いがあったのだろうかと振り返る日々。
でもあの時の主治医や看護師さんたちのように、「一生懸命頑張っているね」「辛いよね」と患者の気持ちに寄り添ってくれる方たちが必ずいます。
家族や友達であっても、なかなか気持ちを理解してもらえないこともあります。でもそれは仕方がないことなのかも。
TwitterなどのSNSには、同じ志を持つ仲間がたくさんいます。ひとりでいるより仲間と一緒に居れば、苦しみは半分で喜びは2倍や3倍になります!
たまたま隣のおじさんが糖尿病合併症がなくてあなたが合併症持ちだとしても、別にあなたがおじさんより不摂生をしたとは限らないです。だから自分を責めるのはやめましょう。
いつか「昔は糖尿病合併症って怖かったよね」と話し合える日が必ず来ると信じています。その日が来るまで、みんなで元気に前を向いて暮らしていきましょうよ♪
現代の医学ではまだ治せなくても、将来治せるようになる糖尿病合併症は必ずあると思うぞ!
それに糖尿病の食事療法もこれから変わっていきそうだし♪