なぜ痩せなかったり痩せすぎたりしてしまうのでしょうか
ヒトには、健康のためにちょうどいい体型というものがあります。太りすぎも痩せすぎもどちらも健康にはよくありませんよね。
軽度の2型糖尿病患者の場合、肥満によるインスリン抵抗性をダイエットによって解消すればそれだけで劇的に改善する方もいらっしゃいます。
ただ中には、まだかなり太っているのになかなか痩せない方や、逆にもうちょっと太りたいのになかなか食べられず太れない方もいらっしゃる。
野生では肥満になるほど大量に食べ物を得られることはまずないでしょうし、たとえ獲物が豊富だとしても動物たちは必要以上に食べすぎることは無いのです。
そして、十分な食べ物があるにもかかわらず食べることができずにやせ細っていくことは、死につながります。どちらも健康な状態とは言えませんよね。
糖質制限をきちんとしていると、多くの方はほどよい体型(やや細め~普通~ぽっちゃりぐらい)で落ち着くと言われています。
しかし、どう頑張っても全然痩せなかったり、逆に痩せすぎてしまう方もいらっしゃいます。このような方たちは何か原因があってそうなってしまっているのではないかと思いました。
どうしても糖質を減らせずに痩せない理由は?
普通、体重が重い方ほどちょっと食事を減らすだけで簡単に痩せられるような気がしませんか?その体を維持するだけでも相当なエネルギーが必要になりますから。
しかし内科医の水野雅登先生によると、鉄不足がある高度肥満の方は糖質を食べたくてたまらない状態になっており、糖質制限しようとしてもうまくいかず痩せないということです。
細胞の中のミトコンドリアでエネルギーが作られる時、鉄が必要になります。鉄分不足があるとこのエネルギー産生が上手くいかないので、体は糖質を分解してエネルギーにします。
糖質をただ分解するエネルギー産生方法では鉄は必要ないので、鉄不足がある方はひたすら糖質ばかリ求めるようになるんだそうです。
後者のエネルギー産生は効率が悪く、疲れやすくなったり体温が低下したりといった良くない状態になりやすいのだそうです。その効率の悪さゆえ、どんどん糖質を欲しがります。
高度肥満でどうしても糖質制限が出来ない方、たとえ太っていなくても甘いものが大好きでなんとなく慢性的な不調を抱えている女性などは鉄不足に陥っている場合が多いとか。
よっしーは若い頃、明らかに運動をやりすぎていました。そして貧血でした。氷をやたらとかじりたくなったのは貧血の症状ですし、妊娠中に貧血を指摘されました。
当時は「私はちゃんとご飯を食べて運動しているから太らない」と思っていましたが、今思うとあんなに運動をやたらとしないと体型を維持できなかったのはちょっと異常です…
肺炎で全治6週間だったこともあれば、風邪で寝込むこともわりとよくありました。また低体温でもあったんです。学生時代の平熱は35度台でした(現在は36.6度ぐらい)。
肉を食べられない、なかなか太れない痩せすぎの方は?
また逆に、痩せすぎの糖尿病患者さんもいらっしゃいます。食べてもなかなか太れず、筋肉がつきにくいタイプです。
このような方に「もっと肉を食べたらいいんじゃないの?」と言ってもなかなか食べることができないですが、なぜか糖質であればけっこうラクに食べられるようなのです。
先ほど「高度肥満で糖質ばかり食べたがる方は鉄不足であることが多い」と書きましたが、実は鉄だけではなくタンパク質も同時に不足している場合が多いそうです。
タンパク質が不足している状態で鉄剤だけせっせと飲んでも、ほとんど意味が無いんですって。だからおにぎりと野菜ばかり食べて鉄剤を飲んでも、なかなか貧血は改善しないでしょうね。
そして痩せすぎの方もまた鉄分やタンパク質が不足しているケースがあるんだそうです。長年、糖質に偏った食事を続けてきた方、あまり肉などを食べてこなかった方はタンパク質不足にも関わらずタンパク質を食べられない状態になっています。
肉が足りていなかったために、もう肉をきちんと消化することができずに下痢をしたり吐き気が出たりして肉を受け付けなくなってしまっているんだとか。悪循環ですね。
このような方は糖質なら食べられるのでつい糖質を多く摂取しようとしがちですが、グルタミンなどのサプリを摂取しながら卵スープ、しじみのみそ汁などから少しずつ慣らしていくという方法があるそう。
タンパク質が不足している状態ではいくら糖質を食べて筋トレをしても筋肉は増えていきませんので、少しずつタンパク質が摂取できる体を目指していきましょう。
太りすぎも痩せすぎも「栄養不足」だなんて!
よっしーが糖尿病と診断されて糖質制限を始めて間もない頃、たしかMEC食の渡辺信幸先生の本に「太りすぎの人も痩せすぎの人も栄養不足です」と書かれていたのを読んだ記憶があります。
当時はまだ「えーっ、太りすぎと痩せすぎは正反対なのに原因が同じってあり得なくない!?」と思いましたが、今なら理解できます。
本来、食べ物がきちんと入手できる環境であればヒトは他の動物と同じく極端に太りすぎることも痩せすぎることも無いんですよね、ちょうどいい量を食べてきちんと消化吸収します。それが健康な状態ですから。
太りすぎまたは痩せすぎで糖質制限が上手くいかないという方は1度、内科で「フェリチン」を測定してみてはいかがでしょうか?
またタンパク質不足だと「むくみ」が起こりやすくなったり、血液検査でBUN・総タンパクなどの項目が低値になります。こちらもチェックしてみて下さい。
痩せるとか太るとかの問題は、単純にカロリー収支だけで決まるような分かりやすいものではないかもしれないということです。食事内容をちょっと見直してみませんか?