なぜ運動したのに血糖値が下がらないの!?
みなさんは、運動すると血糖値が下がると思うでしょう?実際、ちょっと糖質の多いものを食べちゃったかなと思った時に長時間歩くと思いのほか血糖値は上がらなかったりします。
でも「高強度の運動ならもっと血糖値が下がるはずだ」と思ってハードな運動をすると、逆に血糖値が運動前よりも上がってしまうこともあります。
また昼間にジョギングしても血糖値はほとんど上がりませんが、朝ごはんの前にジョギングしたら血糖値が30も上がってしまったんですよ。
このような現象は、軽度の2型糖尿病患者にはあまり見られないようです。よっしーのような重症の2型患者や1型患者さんに多いみたいですね。
運動にはいろいろな利点があり、糖尿病患者にとっても体に無理のない範囲で運動はしたほうがいいと思います。現代人はあまりにも運動不足なので…
しかし糖尿病患者においては「運動すれば血糖が消費されるので必ず血糖値が下がる」「運動の強度に比例して血糖値が下がる」などといった単純な話ではありません。
えーっ、運動すればその分血糖値は下がるのが当然だと思っていたぞ!
そんなに単純な話なら、私いくらでも運動するわよ💦というか、若い頃から フィットネス指導者でずっと運動はしていたのに…
朝はインスリンの感受性が低い…
糖質を食べると血糖値が上がることはみなさんよくご存知だと思いますが、実は何も食べていない時の空腹時血糖値は1日中ずっと一定なわけではありません。
健常者および軽度の2型糖尿病患者では空腹時血糖値は1日を通して一定かもしれませんが、よっしーの場合、深夜2時以降少しずつ血糖値が上がり始め、起床後しばらくしてピークになります。
そして夕食前の時間帯が最も空腹時血糖値は低くなります。インスリン感受性は日内変動しており、早朝の時間帯はもっとも良くないと思われます。
バーンスタイン医師によれば、散歩程度の軽い運動なら問題はないけれど、筋トレやジョギング、水泳などある程度強度の高い運動を行うと血糖値を上げるホルモンが分泌されます。
健常者の場合はこのホルモンに対抗できるだけの量のインスリンを分泌してチャラにするので血糖値が上がりませんが、それが不十分だと「運動したら血糖値が上がった」というわけ。
運動するとインスリンとは無関係に血糖値が下がると思いがちですけど、実はそうではないんですね。ここ盲点だと思います。
よっしーが昼にジョギングした時は大丈夫で朝だと血糖値が上がるのは、朝はインスリンの感受性が悪くコルチゾールというインスリン拮抗ホルモンも多く分泌されているので、自分のインスリンでは十分に対処しきれないためでしょうね。
バーンスタイン医師は「われわれの大部分は起床後3時間は運動すべきではない」とおっしゃっています。
先生の患者さんたちの中には、「昼は大丈夫なのに、朝運動するときはあらかじめインスリン注射をしなければいけない方たち」がいらっしゃるそうですよ。
高強度の運動を短時間行うと高血糖になりがち
バーンスタイン医師はまた「短時間の激しい運動は血糖値を上げる可能性があるが、長時間の運動は血糖値を低下させる」とおっしゃっています。
強度の高い運動は長く続けられませんから、長時間行える運動は強度が低いものになりますよね。軽い運動では血糖値を上げるホルモンは分泌されません。
糖尿病治療を開始した最初の年に、うっかり悪魔のささやきに負けて糖質を50gほど食べてしまったことがありました💦
でもその後1時間以上散歩して帰ってきたら、血糖値は110だったんです。あの時はホントに焦りました。歩けば下がるからといって食べまくることはその後していませんけど。
高強度の運動を行うと、血糖値を上げるホルモンが分泌されます。健常者およびインスリン分泌能力がしっかり保たれている軽度2型糖尿病患者では血糖値は上がりません。
しかしよっしーのような重度の2型患者や1型患者さんの場合、逆に血糖値が上がることがあります。午後は大丈夫でも朝だと血糖値が上がってしまう方は多いです!
朝に運動を行うなら、散歩やラジオ体操程度の軽いものにしておいたほうが無難だと思いますよ。なにしろ、何も食べずに運動してもしっかり血糖値は上がるんですから。
よっしーは自分が糖尿病になる前は「糖質を食べても、しっかり筋トレなどの運動をすれば筋肉が血糖を消費してくれるから糖尿病にはならないだろう」と考えていました。
でも実際になってみると「糖質50g食べても運動で200kcal以上消費すれば血糖値は上がらないはずだ(糖質1gあたりのエネルギーは4kcal)」などという単純計算は当てはまらないことが分かりました💦
何しろ体というやつは、ごく一部の糖新生が十分にできない病気の方を除けば、糖質をたくさん食べない時でもアミノ酸やグリセロールなどからいともたやすくブドウ糖を作ってしまうのですからね!
体内で作られてしまうブドウ糖を計算に入れていないから「おかしいな…食べた分と運動で消費する分が釣り合っているはずなのに、なぜ血糖値が下がらないのだろう」ということになるんです。
特に早朝の時間帯は、激しい運動を行うとかえって運動前より血糖値が上がることもあります。よっしーは何も食べずにジョギングして血糖値が130→160に上がって大ショックでした。
痩せ型の糖尿病患者が運動すると血糖値が上がりやすい!?
内科医の水野雅登先生の本「薬に頼らず血糖値を下げる方法」を読んでいると、ちょっとショックな記述を発見しました。
なんと、痩せ型糖尿病患者は運動で血糖値が上がりやすいんですって。糖質制限している痩せ型糖尿病患者が強度の高い運動を行った場合でしょうね。
糖質制限をしている痩せ型患者がハードな運動をする→ただでさえ少ない脂肪の蓄えが減る→糖新生が活発に行われる→十分なインスリンを出せないので血糖値が上昇ということらしいです。
糖新生が極力行われないようにするために糖質を摂取するというのも、糖尿病患者にとっては本末転倒な気がします💦血糖値だけの問題じゃないのにね。
だから対策としては、運動前にしっかりと脂質を摂取しておくといいんですって。水野先生によれば、MCTオイルなら運動の3時間前、バターなら6時間前だそう。
運動をするしないに関わらず、糖質制限を行っていて空腹時血糖値が高い糖尿病患者は脂質をしっかり摂取することで過剰な糖新生を抑えることが重要です。
痩せている方はラードやバターで良いのですが、太りぎみの方はMCTオイルやココナッツオイルを利用するといいんですって。
朝起きたらまず素早くケトン体を増やすMCTオイルを摂取し、その後は数時間ごとに痩せ型の方はバターを、太り気味の方はココナッツオイルを摂取してみては?
血糖値がたとえ上がるとしても…
筋トレを行うと血糖値が多少上がるとしても「じゃあ筋トレをまったく行わないようにしよう」というわけにもいきません。
筋トレを頑張って筋肉を増やしたからと言って、ボディビルダー並みに頑張らない限り「どれだけ糖質を食べてもOK」な状態になるわけではありません。
しかも筋肉をつけて血糖値が上がらない状態になったとしても、その人が糖尿病以外の病気になる可能性は大いにありますよね。スポーツ選手は平均的には一般人よりも長生きですか?
でもやっぱり、筋肉が少なすぎるよりは普通程度にあったほうが良いと思います。筋肉を「過信する」のが良くないのであって。
筋トレ等のハードな運動をするなら、朝の時間帯は避けて午後に行うべきだと思います。あらかじめしっかり脂質を摂取しておくことと、筋トレ後にジムから徒歩で帰るとさらに良いでしょうね。
そして「食べた糖質をすべて運動でチャラにする」のはそうたやすいことではありませんので、どの程度下がったか必ず確認するようにしましょう。
運動をすると血糖値が下がりそうな気がするのに、実際はそう簡単なものではありません。とても難しい問題ですが、上手に運動を取り入れましょう♪
運動する時間帯を考えないといけないし、特に痩せている人は脂質の摂取も大事なんだね。
「運動するから大丈夫」という油断が私の糖尿病の原因かもしれないわ。みなさんは気を付けましょうね!