研究資金提供を透明化へ…
2017年12月8日 読売新聞によると、臨床研究法が来春に施行されるのに伴い、厚生労働省は製薬会社が資金を提供して行う臨床研究の新しいルールを決めたそうです。
研究責任者となる医師のほか、所属する大学や付属病院への資金提供も公表を義務づけ、抜け道がないように細かく規定し、透明性を高めて不正を防止するのだそうですよ。
臨床研究法は、製薬大手が販売する治療薬のデータ改ざん事件などを受けて、医薬品などの臨床研究を適正に行う手続きを定めており、先の通常国会で成立して以降、来年4月予定の法施行に向けて、ルールの検討を進めてきたそうです。
研究資金のほか、大学への寄付金、講演会の講師謝金、原稿執筆料も、金額をそれぞれ公表しなければならないのだそうです。
これは、とてもいいことですね!だって研究って、どうしても「資金を出す側」にとって都合のいい結果に導かれがちじゃないですか?
お金を出す者にとって都合の悪い結果になりそうな研究にわざわざお金を出す企業は、おそらくないでしょうね…
各製薬会社は糖質制限についてどう考えている?
日本糖尿病学会のHPには、日本イーライリリー株式会社・ノボ ノルディスクファーマ株式会社・サノフィ株式会社・小野薬品工業会社・武田薬品工業株式会社の広告バナーが貼られております。
その製薬会社も有名で大きな会社ですよね。よっしーは糖尿病と診断された当初、サノフィのランタスとアピドラを注射し、小野薬品のグラクティブ(と興和のリバロ)を服用していました。現在はいずれも使用していませんが…
では、これらの製薬会社は糖尿病患者の糖質制限についてどのように考えていらっしゃるのでしょう?HPを見てみることにしました。
・日本イーライリリー株式会社…糖質制限食に関しては言及なし。
1日に必要なエネルギー量に見合った摂取量を守ることが大切です。適切な摂取量は、個々の患者さんによって異なりますので、主治医に相談しましょう。
指示されたエネルギー内で炭水化物、たんぱく質、脂質のバランスをとり、適量のビタミン、ミネラル、食物繊維をとりましょう。
食物繊維を多く含む食物と、糖質指数の低い(食後血糖値の上昇が起こりにくい)食物をバランス良く摂取すると効果的です。
・ノボ ノルディスクファーマ株式会社…「炭水化物の摂取が少ないと低血糖になる可能性がある」と書いている他は、特に糖質制限食に関する言及なし。
糖尿病になったからといって、食べられないものは 何もありません。
炭水化物、たんぱく質、脂質の三大栄養素をバランス良くとり、ビタミンやミネラルなども欠かさずにとることが、糖尿病では大切な“治療”になります。
・サノフィ株式会社…「自己判断の過度な糖質制限には危険が伴う」と書いていますが、医師の指導の元で正しい糖質制限を行うことに関しては問題ないといったところでしょうか。
自己判断の過度な糖質制限では、エネルギーの不足が懸念されるほか、糖質のみを制限することができないことによるリスクもあります。炭水化物を含む食べ物には、食物繊維やミネラル、カルシウムなど体に必須の栄養素も含まれています。極端な糖質制限はこれらの摂取量の不足をもたらすことも理解したうえで、個人の状況に応じた食事の改善をアドバイスするようにしましょう。
・小野薬品工業会社…糖質制限食に関して言及なし。
特別なメニューがあるわけではありません。バランスのよい食事を1日3食摂ることが基本です。
・武田薬品工業株式会社…糖質制限食に関して言及なし。
食事療法では、炭水化物、タンパク質、脂質などをバランスよくとりいれることが大切です。また、朝・昼・晩の食事を規則正しく、腹八分目にすることが大切です。食事療法は、極端な食事制限をするのではなく、食生活の問題点を是正することといえます。
糖質制限を勧める製薬会社があります
ただ大和薬品株式会社は、「糖質制限食のすすめ」と題して、福田一典先生のコラムをHPに掲載されていますね。
どのような会社なのかなと思ってちょっと見てみると、社員数30名の小さな会社のようですが、米ぬか・納豆・ケフィアを加工した機能性食品を作っていらっしゃる会社のようですね。なかなか良いではありませんか。
もし糖尿病薬やインスリンを製造販売している製薬会社であれば、糖質制限食を勧めることはまず絶対にないでしょうね。
…と思ったのですが、ルセフィという糖尿病薬を作っている大正富山医薬品株式会社は、いろいろな食品の糖質量を角砂糖に換算した「糖質制限のパンフレット」を出されたそうですよ。ビックリですね。
ちなみに大正富山医薬品株式会社様は、平成14年に設立した、まだ新しい会社なんです。あの大正製薬グループです。
ルセフィといえば、SGLT2阻害剤。これは余計な糖を尿に捨ててしまうお薬で、糖質制限派のドクターも患者さんによっては処方されているお薬ですよね。
インスリンを分泌させるような薬ではないので、糖質制限食と併用する場合もあるようですね。
もちろん、痩せている方や高齢者など、注意しなければいけない患者さんもいらっしゃいますけれど。
糖質制限食とインスリン・経口血糖降下薬
インスリンや糖尿病薬の中で、糖質制限食と併用可能なのはビグアナイド薬・チアゾリジン薬・DPP-4阻害薬・SGLT2阻害薬・持効型インスリン・GLP-1受容体作動薬ぐらいですかね。
普通は、2型糖尿病であれば糖質制限食だけではコントロール不十分な場合にビグアナイド薬・DPP-4阻害薬・SGLT2阻害薬・持効型インスリンを使うぐらいだと思います。
DPP-4阻害薬とインスリンは2型糖尿病患者には使用しないという医師もいらっしゃいます。1型の方は、糖質制限食をしたとしても2種類のインスリンが必要になります。
1型で自己分泌ゼロのバーンスタイン医師も、糖質制限食を食べる時に速効型インスリンを数単位注射なさっておいでです。
日本の糖尿病患者の95%は2型糖尿病なので、もし患者たちがみんな糖質制限をして薬やインスリンを必要としない人が多くなると、製薬会社はぶっちゃけ非常に困ってしまうでしょうね。
そのことに対する危惧を批判するつもりはまったくありません。どんな会社だって、自分のところの商品が売れなくなるのは困ります。
製薬会社と糖尿病患者、どちらも幸せになる方法は?
製薬会社は儲けを出したい、糖尿病患者は不要な薬をなるべく飲まずに健康になりたい。どうしたらこの両者の思いを両立することができるでしょうか?
糖質制限食と両立可能な薬を作るのもいいですが、もう1歩進んで「糖質制限をサポートするような薬」を開発されてはいかがでしょう!?
禁煙したくてもなかなか意志が弱くて出来ない人のための治療グッズがありますよね?あんな風に、糖質への依存を断ち切るための助けになるような薬、出来ないものでしょうかね…
これからの時代、糖尿病治療を考える上で糖質制限食を無視するわけにはいきません。製薬会社も、いずれ変わらなければいけない時代が来ているのだと思います。
製薬会社と糖尿病患者、どちらも幸せになりたいですね。儲けは大事ですが、製薬会社に勤めている方たちの中にも必ず糖尿病にかかる人は一定の割合でいるのですから。