過剰な糖新生を制御することが糖尿病改善へのカギかもしれない

糖新生は誰の体内でも普通に行われています

健康な人の肝臓や腎臓(主に肝臓)では、タンパク質や脂質由来の材料を使って糖を作り出す「糖新生」が行われています。

糖質制限をしている方はもちろんですが、普通に糖質を摂取している方でも夜間絶食時やハードな運動時などには普通に行われていることです。

肝臓などの機能が正常であれば、わざわざ糖質をたくさん食べなくても糖新生によって血糖値は正常値をキープするようになっているんですね。

そして糖尿病患者の場合、この糖新生が必要以上に活発になっているのです。必要ない時にまで肝臓がどんどん糖を放り出すので、何も食べていないのに血糖値が高くなってしまいます。

インスリンは糖新生を抑制するので、インスリン注射をすれば過剰な糖新生を抑え込むことは出来ます。よっしーは入院中、インスリンを打っていて朝の血糖値が80の日がありました。

今思うと、起きた時の血糖値が80なら、深夜に無自覚性の低血糖を起こしていたかもしれませんが…ちょっと怖いですね。

また2型糖尿病患者の場合、多かれ少なかれインスリン抵抗性があると思います。つまり、健常者と同じ血糖値を得るために2倍やもっと大量にインスリンが必要になるのです。

血糖値が高いと糖尿病合併症になると思われてきましたが、どうも高インスリン血症自体が良くないのではないかと分かってきつつありますよね。

にゃご
じゃあまずインスリン抵抗性を下げることを最初に考えないとダメなんだね。

よっしー
そうよね、遺伝もあるから完全には難しいけどまずはそっちをなんとかしないとね。

グルカゴンが糖新生を促し血糖値を上げます

すい臓のβ細胞で作られるホルモン「インスリン」は血糖値を下げますが、α細胞で作られるホルモン「グルカゴン」は血糖値を上げます。

血糖値を下げるホルモンはインスリンだけですが、上げるホルモンはグルカゴンの他にもいくつかあります。これらがちょうどよく働くことで血糖値は一定の範囲内に保たれています。

ところが糖尿病患者ではα細胞の数が増加していたり、α細胞の数は変わっていないがβ細胞の数が減っているために相対的にα細胞の占める割合が大きくなっているんだそうです。

ある種のアミノ酸(リジン、ロイシン、アルギニン)はインスリン分泌を促しますが、糖尿病患者では十分な量のインスリンを分泌できずインスリン拮抗ホルモンであるグルカゴンが多く分泌されて血糖値が上がることがあります。

糖尿病の皆さんは「グルカゴン負荷試験」という検査を受けたことがあるでしょうか?これはグルカゴンを注射してすい臓のインスリン分泌能力を調べる検査です。

この検査の結果が悪い場合は、インスリン分泌が足りていないということなのでインスリン注射を開始しなければいけないと考えられます。よっしーは最初、とても悪い結果でした。

そうそう、最近人気のSGLT2阻害薬は余分な糖を尿に捨ててしまうことで血糖値を下げる薬なのですが、この薬がグルカゴンの分泌を増やし、肝臓での糖新生を増やしているそうです。

血糖値が下がっているにも関わらずグルカゴンが多く分泌され糖新生が活発になっているのはどういうこと…?ちょっと矛盾しているような話ですね。

SGLT2阻害薬によって尿中に排出されたブドウ糖を補うため、代償的にグルカゴン分泌が促進させていると推測されるそうですが…これってどうなの!?

「尿にブドウ糖がたくさん出ちゃうので、頑張って肝臓でたくさん糖を作ろう!」ということになるのなら、最初から糖質をたくさん食べなければいいと思うのですが。

またSGLT2阻害薬が直接すい臓のα細胞に作用してグルカゴン分泌を増加させているという仮説も提唱されているんだそうです。

SGLT2阻害薬はまだ新しい薬なので、血糖値が下がるとしても長期服用した時の体への影響はまだ未知な部分もあるのかもしれません、気を付けるべきですね。

ストレスホルモン「コルチゾール」も血糖値を上げます

「コルチゾール」というホルモンは体のあちこちで糖質・タンパク質・脂質の代謝にかかわる重要なホルモンです。

このコルチゾールは重要なのですが、ストレスによって増加します。そしコルチゾールは糖新生を促進する働きがあり、インスリン抵抗性の原因となるんです。

だから慢性的なストレス状態によりコルチゾールの分泌が増えてしまうと、太りやすく血糖値が高い状態が続くというわけです。

なお、朝の活動に備えて早朝にコルチゾールが多く分泌されるのですが、糖尿病患者はこれが理由で朝の血糖値が高めになりやすいのです。

早朝の時間帯に運動を行うと、かえって血糖値が上がることもあります。特に1型糖尿病の方は、朝に運動するときはそのためにインスリンを打つ方もいらっしゃいます。

またお腹がすきすぎた時や強い恐怖や不安を感じた時、興奮状態、強い緊張、怒りなどの時に分泌される「アドレナリン」も血糖値を上げてしまいます。

風邪など病気の時は糖尿病患者さんの血糖値は驚くほど高くなることがありますが、これは体が身体的なストレスに対抗しようとしてコルチゾールやアドレナリンを多く出すからです。

薬の副作用で血糖値が上がることがある

糖尿病の他のいろいろな病気の治療薬の副作用で血糖値が上がることもあります。よっしーの友人にも、薬が原因と思われる境界型糖尿病の人がいます。

・一部の精神病薬…食欲を増進させる副作用のあるものがあり、肥満が起こりやすく、したがってインスリンの効きが悪くなって糖尿病になることがあります。また肥満とは関係なく、直接すい臓に影響を与えると考えられるものもあります。

・フェニトイン(抗てんかん薬)…すい臓のベータ細胞に作用して、インスリン分泌を阻害します。

・βブロッカー…インスリンの分泌とインスリンの効きの両方を悪くします。

・免疫抑制薬…インスリンの分泌とインスリンの効きの両方を悪くします。

・一部の利尿薬…インスリンの分泌を低下させます。

・エストロゲン、成長ホルモンなどホルモン剤…インスリンの効きを悪くし、血糖を上昇させます。

・ステロイド…肝臓での糖新生を促したり、インスリンの効きを悪くします。

・インターフェロン…インスリンの効きを悪くします。

また薬ではありませんが、ナイアシン(ビタミンB3)の大量摂取で糖新生が亢進して血糖値が上がる人がいるそうです。

先日よっしーもまさにこれだったことが分かって大ショック!試しにナイアシンをやめてナイアシンアミドだけにしてみたら速やかに血糖値が下がりました、やれやれ。

ナイアシンの場合、血糖値が下がる方と上がる方がいるそうで、飲んでみないとどうなるかは分からないんですよね。病院の薬も血糖値が上がらない人と上がる人がいるので気をつけましょう。

タンパク質ばかり食べて脂質を食べないと…

特に女性の場合「糖質制限しているといっても、脂質は太りそうだから脂質も減らさないといけないわ」と思ってしまい、タンパク質と野菜ばかり食べることもありがち。

脂肪が少ないトリササミ肉と野菜の鍋ばかり、なんていう方はいらっしゃいませんか?一見とてもヘルシーな気がする食事ですが…

実は、糖質も脂質も不足した状態では、「糖新生」ばかりが活発になってしまいます。タンパク質を多く摂取しているので筋肉量は減らないと思いますが…下の図はシティリビングweb様のサイトからお借りしました。

糖新生ばかり活発になると、せっかく糖質制限をしているのに空腹時血糖値が上がりやすくなり、それを制御するためにインスリンが多く分泌されてしまいます。

1型糖尿病の方であれば血糖値が高くなるので分かりやすいですが、2型糖尿病であれば基礎分泌インスリンを多く分泌してほとんどカバーできてしまい、気付かないこともありますね。

こうなると「頑張って食事を減らしている割になんだか痩せにくいなぁ」ということになってしまうかも…

糖新生が活発になりすぎない程度に脂質もきちんと摂取するのがコツです。バターやラード、生クリームなどの動物性脂質では痩せにくい方もいらっしゃるので、その場合は中鎖脂肪酸を。

腫瘍ができていると血糖値が上がる?

ここから先はちょっと怖い話ですが、体のどこかに腫瘍ができているのが原因で血糖値が上がることもあります。

血糖値を上げるホルモンを直接あるいは間接的に過剰に作り出すような腫瘍が出来ていると血糖値が高い状態が続きます。

食生活や運動習慣などは何も変えていないのに、ある時から急に血糖値が高くなってきて何をどうやっても下がらない…という場合は注意が必要です。

ちなみに、腫瘍が原因で逆に血糖値が低めになる場合もあります。これはインスリンを作り出す腫瘍によるものです。

こういう腫瘍はそんなにありふれたものではありませんが、一応このような可能性もあると言うことを頭の片隅に入れておいていただければと…

まとめ:過剰な糖新生をなるべく起こさないような生活を♪

糖新生は誰の体内でも行われていることであり、とても大事なことです。糖新生のおかげで糖質を摂取しなくても低血糖になることはないのです。

ただし糖尿病患者はただでさえ必要以上に糖新生が亢進してしまっていますし、それじゃインスリンを注射すればいいという単純なものではありません。

インスリン抵抗性がある患者がインスリン抵抗性はそのままでインスリンを注射すれば、血糖値は良好でも動脈硬化や糖尿病合併症のリスクが心配です。

過剰な糖新生を少しでも減らすためには、糖質制限で脂質まで極端に減らしてしまわないように気を付け、ストレスやイライラをなるべく避けることです。

場合によってはそれだけは不十分で、メトホルミン(肝臓からの糖放出を抑える安価な薬)を服用しなければいけないことも。主治医に相談してみましょう。

よく処方されているDPP-4阻害薬にはグルカゴン分泌を抑制する効果があるので空腹時血糖値を下げますが、糖質を食べすぎた時はインスリンを分泌させてしまいます。

また、他の病気で薬を飲む場合は、副作用で血糖値が上がる場合もあるので慎重に血糖値を観察し、血糖値が上がった場合はすぐ相談するといいですね。

糖質制限で食事による大量の追加インスリン分泌を抑えることができますが、体の中で作られる糖によるインスリン分泌はうっかりしがちなので、気をつけたいですね♪

にゃご
食べてないからインスリンがちょっとしか出てないという単純な話じゃないんだね。

よっしー
そうね、肝臓の糖新生は自分ではなかなか分からないから難しいんだけど、ここをうまく制御することが大事だと思うわ。

Copy Protected by Chetan's WP-Copyprotect.